Round 11ドイツGP
決勝
2018.07.22(日)
第11戦ドイツGPは、午後3時10分から決勝レースが行われました。雲に覆われたものの、時折り日差しも出て暑さを感じさせるホッケンハイム・リンクは、気温26℃、路面温度43℃、降水確率60%のコンディションで決勝レースを迎えました。
予選17番手のピエール・ガスリーはパワーユニット(PU)を交換したことにより、ペナルティーを科され最後尾からのスタート。これはトラブルではなく、予選順位を考慮した上で、今後の戦いに向けて、PUのスペアを確保する目的で戦略的に交換を行ったものです。予選18番手のブレンドン・ハートレーは、ペナルティーによるグリッド降格車が出たことでスターティンググリッドが2つ繰り上がり、8列目16番手からのスタートとなりました。Red Bull Toro Rosso Hondaは、2台ともスタートにソフトタイヤを選択しています。
スタート、そして1周目は大きな混乱もなく過ぎました。ガスリーは、1周目に18番手にポジションを上げますが、3周目には20番手に下がります。そのガスリーと前後して、ハートレーは18番手で走行を続けました。
20周前後から、タイヤ交換のためにピットインするマシンが出始め、ハートレーも28周を終えてピットインしました。雨が近づいている予報もあり、ガスリーはタイヤ交換を引き延ばす作戦へ。他車のピットインにより12番手までポジションを上げたガスリーは、タイヤが厳しくなり15番手まで後退しますが、レースが終盤に向かう40周過ぎ、コースの一部に雨が降り始めました。雨は次第に強さを増し、インターミディエイトタイヤに交換するマシンが出始めます。チームは雨が強くなることに賭け、ガスリーのマシンを43周目にウエットタイヤに交換。しかし、雨が収まり始めたことで、その作戦は功を奏さず、ペースの上がらないガスリーは46周目に再びピットに戻りウルトラソフトタイヤに交換。ポジションを19番手に落としました。
しかし、その直後から、再び雨が強くなり、52周目には、トップを走行していたマシンが雨でグリップを失いコースアウト。これによりセーフティカー(SC)が導入されます。このタイミングで、ハートレーはピットインし、ウルトラソフトタイヤに交換。終盤の追い上げを狙います。このSCの間に、タイヤ交換を行うマシンが相次ぎ、SC先導が終了する57周目には、ハートレーは9番手までポジションを上げました。
残り10周となった終盤、激しい入賞争いが展開されます。ハートレーは激しく追い上げてくる後続にパスされ、11番手でチェッカーフラッグを受けましたが、前車にタイムペナルティーが科され、10位に繰り上がり入賞を果たしました。ハートレーはアゼルバイジャンGP以来のポイント獲得。チームにとってもモナコGP以来5戦ぶりのポイントとなりました。また、雨の混乱などで、一時最後尾まで下がったガスリーですが、終盤粘りの走りを見せ14位完走を果たし、アゼルバイジャンGP以来となる2台揃っての完走となりました。
第12戦ハンガリーGPは、ブダペスト郊外のハンガロリンクで7月27日(金)~29日(日)に行われます。
田辺豊治 | Honda F1テクニカルディレクター
「予測が難しい雨により波乱となったレースの中で、2台のマシンが完走できたことはよかったと思います。また、ハートレー選手は16番手からのスタートでしたが、最後に粘りを見せて確実にポイントを獲得してくれました。
ただ、ここ数戦を見ると我々のパッケージにはまだ課題が多いと思っています。来週のハンガリーGPに向けて早急に現状分析を行い、パフォーマンス改善に努めます」
フランツ・トスト | Scuderia Toro Rossoチーム代表
「後方グリッドからレースをスタートすることは、決して簡単なことではありませんでした。しかし両ドライバーともにいいスタートを切ってくれましたし、レース中もそれぞれの状況に合わせたパフォーマンスを見せてくれたと思います。ブレンドンにとってはポイント獲得の一戦となり、とても喜ばしい結果になりました。ピエールは、雨が降り始めた時に雨量がさらに増えると予想し、ピットストップを行いウエットタイヤへ変更する賭けに出ましたが、天候は味方せず、作戦成功とはなりませんでした。ピエールには大変申し訳なく思っていますが、ときには挑戦することも必要であり、残念ながら今回は我々が選んだ作戦が奏功しなかったのです。マシンのパフォーマンスはレース中に改善が見られ、いいラップタイムで走った周もありました。よかった面は自信に繋げ、次戦のブダペストでさらに強いチームのパフォーマンスを見せられるよう準備したいと思います」
ブレンドン・ハートレー
「今日のレースにはとても満足しています。レース序盤はウィリアムズの後ろで苦戦しましたが、いいバトルをすることができました。固めのコンパウンドのタイヤを使用していたときのほうがマシンのペースはよく、終盤でウルトラソフトを履いたら逆に難しく感じました。グロージャン選手に抜かれてしまったのは悔しかったですが、彼のほうが明らかにペースはよかったので仕方のない結果だったと思います。レース中は安全に走ることを優先し、雨が降り始めたときは一か八かコース上に留まることを選択しました。コンディションが変わっていく中、チームと僕の間で密にコミュニケーションを取り、終盤ではその成果が現れたと思います。耐久レースでの経験を今回の作戦成功に役に立てることができ、その結果ポイントをチームに持ち帰ることができて本当にうれしいレースになりました!」
ピエール・ガスリー
「戦略的理由でPU交換をし、最後尾スタートのペナルティーを受けたので、今日のレースは簡単な一戦にはならないと覚悟を決めて挑みました。失うものはなにもないことが、立てた戦略に忠実に戦うことを後押ししてくれたと思います。天気の変化を読むのが難しく、雨が強まることに賭けてウエットタイヤに変更しましたが、雨量は思ったより少なく増えることもありませんでした。乾いてきた路面によって、温まりすぎたウエットタイヤで走行を続けるのは困難だったので、戦略外のピットストップを急遽行いウルトラソフトタイヤに変更しました。結果この作戦は上手く作用はしませんでしたが、あのときはリスクを負ってでも遂行するべきだったと思います。今大会は思う通りになかなか運ぶレースではありませんでしたが、気持ちを新たに来週のブダペストに向けて集中したいと思います」
順位 | No. | ドライバー | チーム | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 44 | ルイス・ハミルトン | Mercedes | 67 | 1:32'29.845 |
2 | 77 | バルテッリ・ボッタス | Mercedes | 67 | +4.535 |
3 | 7 | キミ・ライコネン | Ferrari | 67 | +6.732 |
4 | 33 | マックス・フェルスタッペン | Red Bull | 67 | +7.654 |
5 | 27 | ニコ・ヒュルケンベルグ | Renault | 67 | +26.609 |
6 | 8 | ロマン・グロージャン | Haas | 67 | +28.871 |
7 | 11 | セルジオ・ペレス | Force India | 67 | +30.556 |
8 | 31 | エステバン・オコン | Force India | 67 | +31.750 |
9 | 9 | マーカス・エリクソン | Sauber | 67 | +32.362 |
10 | 28 | ブレンドン・ハートレー | Red Bull Toro Rosso Honda | 67 | +34.197 |
11 | 20 | ケビン・マグヌッセン | Haas | 67 | +34.919 |
12 | 55 | カルロス・サインツ | Renault | 67 | +43.069 |
13 | 2 | ストフェル・バンドーン | McLaren | 67 | +46.617 |
14 | 10 | ピエール・ガスリー | Red Bull Toro Rosso Honda | 66 | +1Lap |
15 | 16 | シャルル・ルクレール | Sauber | 66 | +1Lap |
16 | 14 | フェルナンド・アロンソ | McLaren | 65 | DNF |
NC | 18 | ランス・ストロール | Williams | 53 | DNF |
NC | 5 | セバスチャン・ベッテル | Ferrari | 51 | DNF |
NC | 35 | セルゲイ・シロトキン | Williams | 51 | DNF |
NC | 3 | ダニエル・リカルド | Red Bull | 27 | DNF |