ROUND04

ロシアロシア ソチ・オートドローム 2017.04.27(木)

2017 RUSSIAN GRAND PRIX - プレビュー

2017 RUSSIAN GRAND PRIX - プレビュー

Hondaは、FIAフォーミュラ・ワン世界選手権(以下、F1)の第4戦ロシアGP(開開催地:ソチ、4月28日~30日)に向けて準備を進めています。今大会のサーキット情報や、今週末のレースの見どころなどをレポートします。

※ FIAとは、Fédération Internationale de l'Automobile(国際自動車連盟)の略称

コメント

長谷川 祐介 (株)本田技術研究所 主席研究員 F1プロジェクト総責任者
長谷川 祐介「残念な結果に終わったバーレーンGPを終え、その後に同じ場所で行われたテストまでの数日間、チームはレースウイークに頻発したMGU-Hの問題に対して暫定的な対策を投入するために、非常に忙しい日々を送りました。

チームの懸命の努力もあり、テスト2日目には81周の走行を重ね、問題に対する対策の方向性をある程度固めることができたと考えています。

自分たちの現状を踏まえると、今週末も我々にとっては厳しいレースになると予想していますが、2016年のロシアGPでは、2台のマシンがポイント圏内でフィニッシュすることができたので、今年もその再現を狙うよう努力を続けます。

サーキットはストレートといくつもの90度コーナーの組み合わせにより、パワー、エネルギーマネージメントと燃費のバランスが重要になります。

フリー走行の時間を有効に使いながら、マシンのバランスとパワーユニットのセットアップをMcLarenとともに入念に進め、日曜日はいいレースを見せられればと思います」

フェルナンド・アロンソ
#FA14 MCL32-03
フェルナンド・アロンソ「ソチ・オートドロームは、攻略が難しいポイントもいくつかありますし、面白いサーキットです。さらに今年は、新しいレギュレーションの影響で、今までと異なる攻め方が必要になるとも思っています。昨年はターン3がトリッキーな複合コーナーで、ラインから外れないためにはカーバランスとコントロールが重要でした。しかし、今年はそこまで難しくはないようなので、実際に走った時の感覚がどう違うのか確かめたいです。ゆるく曲がった2つの長いストレートといくつかの高速コーナーがあるこのサーキットは、今の私たちのマシンには少し厳しいレイアウトかもしれません。ただ、マシンはバランスがよいので、このサーキットの特徴でもある直角コーナーではうまく走れると思います。市街地コースでもあるソチ・オートドロームですが、幅広のトラックで高速のレースが展開されます。つまり、接戦が予想されますし、オーバーテイクの機会も多くあります。

ここ数週間は信頼性の問題が発生しているので、ソチで2台のマシンともに完走することができれば、まずはいい結果と言えます。私もバーレーンテストの内容を確認していますし、マシンとパワーユニット双方の有用なデータを得ることができたと思っています。また私は、McLaren-Hondaのメンバー全員が、できるだけ早くデータを活用できるように全力を尽くしていることを知っています。レースシーズンは長いものの、大陸をまたいだ移動もあり、レース間の時間は限られています。ですから、バーレーンテストの2日目で多くの周回を走れたことはポジティブな結果で、今後のレースに活用できるものだったと思っています」

ストフェル・バンドーン
#SV2 MCL32-01
ストフェル・バンドーン 「2015年にGP2でチャンピオンを決めたのが、ソチでのレースでした。その時にはいい結果を得ることができましたし、それは今週末のレースでもアドバンテージになると思っています。ここ何戦かは、私が乗るマシンに問題があり、十分な距離を走れていませんが、今週末には改善されていることを望んでいます。

この数週間は難しい日々が続いていただけに、バーレーンテスト2日目の結果には私もチームも希望を感じています。テストの結果は私たちの後押しになりましたし、今後のマシンの方向性に関して多くの情報を得ることができました。ですから、バーレーンGP終了直後とは異なり、今は前向きな気持ちでソチに臨んでいます。

以前にも言った通り、ソチのようなストレートのあるコースはスピードが重要で、その点では私たちのマシンは若干不利だと思っています。現時点での私たちの目標は、信頼性を回復して、できるだけ多くの走行時間を得ることです。マシンに何も問題が起こらなければ、現状でベストな走りをレースで見せることができると思います」

エリック・ブーリエ McLaren-Honda Racing Director
エリック・ブーリエ 「ここ何戦かの内容は、私たちの期待を下回るものでした。マシンの2台ともに問題が起き、レースで走るためにはまずそれを解決する必要がありました。Hondaは、MGU-Hの問題解決に全力を尽くしていますし、McLarenもレースに必要なオペレーション手順の改善に取り組んでいます。ですから、今週末は最低でも両マシンがチェッカーフラッグを受けることができるはずです。

バーレーンテストを終え、ソチで新しいパーツを導入できるように全力を尽くしています。シャシーに関しては、私たちが取り組んでいる改良に自信を持っていますし、どんな場所であれ最良の走りができるように絶えず努力しています。マシンの現状に関して両ドライバーからいい感触を得ていますし、今後もいい結果を出せるように改良を続けていきます。

McLarenがソチ・オートドロームを走るのは4度目です。まずは全セッションをトラブルなく走り、週末を無事に終えることに集中します。MCL32に乗る両ドライバーがレースでいい走りをするためには、それが最低限の条件必要だからです。接戦が予想されるロシアGPで、私たちがライバルといいレースができることを期待しています」

サーキット情報

名称ソチ・オートドローム
初開催 2014年
優勝者 2016 ニコ・ロズベルグ
2015 ルイス・ハミルトン
2014 ルイス・ハミルトン

歴史

ロシアGPが初めて行われたのは、2014年の冬季五輪閉会式から8か月後。全長5.848㎞のサーキットが、ソチのオリンピックパークに建設されました。今シーズンのカレンダーのうち、五輪会場の跡地を利用したサーキットはソチを含めて3つで、ほか2つはカナダGP会場のジル・ビルヌーブ・サーキット(76年モントリオール五輪)、スペインGP会場のカタルニア・サーキット(92年バルセロナ五輪)です。

ソチは、ロシア最大のリゾート地であり、黒海とコーカサス山脈に挟まれた美しい風景の広がるサーキットで、激しいバトルが繰り広げられます。一方、スポーツ会場としても有名で、冬季五輪とパラリンピック、F1のほかに2018年のFIFAワールドカップの開催地にも決定しています。

F1開催に至るまでには長い歴史があり、前F1ボスのバーニー・エクレストンは1983年に企画しましたが、2014年の冬季五輪開催を契機にようやく実現しました。ちなみに、第一次世界大戦前の1913年と14年に、サンクトペテルブルクで非選手権レースとしてロシアGPが開催されています。

ちなみに、今季の開催地のうち、ヘルマン・ティルケ氏がデザインしたサーキットは10カ所あり、ソチもそのうちの一つです。また、これまでのロシア人F1ドライバーは、ヴィタリー・ペトロフ選手とダニール・クビアト選手の2名です。

コース

全長 5.848km ※カレンダー中3番目の長さ。最長はスパ・フランコルシャン、最短はモナコ
2016ポールポジション ニコ・ロズベルグ 1分35秒417
2016ファステストラップ ニコ・ロズベルグ 1分39秒094(52周目)
ラップレコード 1分39秒094(ニコ・ロズベルグ、2016年)
エンジニアリング コーナリング時のグリップを維持しつつ、直線でのスピードを高められるかがカギとなる。ソチ・オートドロームの長いストレートに合わせて、ダウンフォースレベルを下げたくなるが、ブレーキングと立ち上がりのトラクションでも妥協しないことが重要。
ドライビング ターン2の出口で縁石を使うのがポイント。アウト側の縁石を踏むことで、その先の高速180度コーナーであるターン3に向けた脱出スピードを高めることができる。また、ラップ終盤のターン13~16がドライバーにとっての難所。ターン13手前では左に曲がりながらのハードブレーキングを強いられ、そこから続く複合コーナーは緩やかな下り坂になっているため、パワーのコントロールが難しい。
マシンセットアップ リアタイヤの耐久性を重視し、中レベルのダウンフォースとする。アロンソ担当のレースエンジニア、マーク・テンプルは「フロントタイヤの摩耗はそれほど激しくなく、リアにかかる負担が増えるためセットアップで気を付けるべきポイント」と語る。
グリップレベル 低い。アスファルトに含まれるタールが多く、滑りやすい路面を形成する。時間が経過するごとに路面が変化してグリップレベルは上がるが、エンジニアは滑りやすくタイヤの摩耗が少なかった昨年と大差ないと予想している。
タイヤ ウルトラソフト(紫)、スーパーソフト(赤)、ソフト(黄) ※オーストラリアGPと同様の組み合わせ
ターン1までの距離 450m ※カレンダー中最長はバルセロナの730m。
最長ストレート 650m ※カレンダー中最長は中国の1.17㎞
トップスピード 時速345㎞(ターン2への進入時) ※カレンダー中最速はモンツァの時速350㎞
スロットル全開率 60% ※カレンダー中最大はモンツァの75%
ブレーキパッド ミディアム。大きなブレーキングポイントはターン2と13の2カ所のみなので、ブレーキへの負担は大きくはない。
燃費 1周あたり1.9㎏を消費。カレンダー中では高め。
ERSの影響 低い
ギアチェンジ 40回/1ラップ、2120回/レース

レース

周回数 53ラップ
スタート時間 現地時間15時(日本時間21時)
グリッド ポールポジションがコース左側のレーシングライン上にある。この左側の奇数グリッドのほうがグリップは高いが、右列がターン1のイン側にあたるため、スタートで前に出られればその後のターン2への飛び込みで有利になる。
DRS ゾーンは2つ。ターン2とターン13の手前にそれぞれ設けられている。1つ目の区間はターン1のエイペックス(コーナーの頂点)から始まり、2つ目は右コーナーのターン11から12へかけての区間。両方ともよいオーバーテイクポイントになる。
ピットストップ レース中盤の1ストップ戦略が主流になると予想される。
ピットレーン 330m。1回のストップでのタイムロスは約21秒と比較的短い。
セーフティカー 出動率は66%と高め。過去3回の開催のうち2回はセーフティカーが入るレースとなった。ランオフエリアが狭い部分があるため、アクシデントが起こると破片などを回収するためにセーフティカーかバーチャルセーフティカーが導入される。
注目ポイント ターン3。左曲がりの180度コーナーで、予選・レースともに全開走行が可能な場所であるため、さまざまなライン取りやオーバーテイクが期待される。その後のターン4でイン側を確保するための駆け引きに注目。
見どころ タイヤのライフが長く、戦略による差は付きづらいので、順位を上げるにはコース上でオーバーテイクをする必要がある。ターン2と13が主な抜きどころで、特にスタート直後のターン2には最高速からのハードブレーキングで多くのマシンが競り合うため、迫力ある戦いが見られる。また、ダウンフォースが増した今年のマシンでは、ターン4でのバトルも期待される。

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