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「ウイング?」

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 フロント・ウィングは、ロードコース用とオーバル用で異なる。ロード用は2エレメント(2枚構造)で表面積が大きく、ウィング1枚ずつの角度が調整可能になっている。オーバル用は、フロントはシングル・エレメントで角度調整が可能。リヤはロードコース用は2枚構造で、それぞれ角度調整ができ、オーバルではハンドフォード・デバイスと呼ばれるスピードダウンを目的としたスペック・ウィング(後述)を装着しないとならない。
 オーバル・コースで使うフロント・ウィングはこんなに小さい。大きければマシンを地面に押し付ける力も大きくなり、マシンは安定するが、チャンプカーのものはこれだけ小さく、枚数も片側1枚に制限されている。なぜかというと、コーナーの中でのスピードが上がり過ぎないよう、主催者のCARTがレギュレーション(ルール)でウィングの大きさ、枚数を制限しているからだ。

 オーバル・コースで使うリヤ・ウィングは、フロントとは逆に空気抵抗が大きいものになっている。その理由はフロントと同じで、スピードが高くなり過ぎるのを防ぐため。その上、オーバル・レースでは全員が同じウィングを使用するルールになってもいる。この大きなウィングは”ハンドフォード・ディバイス”と呼ばれている。マーク・ハンドフォードというエアロダイナミシスト=空力専門の科学者が考案したものだからだ。

 チャンプカーは尖ったノーズで空気を突き破って走る。空気の壁に1台々々が穴を開けながら走っているようなものだ。その上、リヤには(大げさにいえば)パラシュートのようなウィングが装着されている。
 大型のリヤ・ウィングをつけたマシンが高速で走ると、その後ろには空気の薄いエリアができる。そこに後続のマシンが入り込むと、薄い空気の中は抵抗が小さいため、前のマシンに吸い寄せられるようにスピードを増す。これを”ドラフティング”とアメリカでは呼んでいる(ヨーロッパなら”スリップ・ストリーミング”と呼ぶ)。大型ウィングの装着が義務づけられたことで、”ドラフティング”を利用してのオーバーテイクが可能となり、レースはさらに順位変動の多いエキサイティングなものになった。

 ただし、時速300キロを越すハイスピードで走るマシンの後方には、空気の薄いエリアができると同時に乱気流=タービュランスも巻き起こされる。特に、大型のハンドフォード・ディバイスをつけているとなれば、空気の穴が大きくなり、乱気流も大きなものになる。この時、後ろを走るマシンはウィングにあたる風が弱まり、不安定になる。追い越し易い状態が生まれていると同時に、マシンのコントロールが難しくもなっているわけで、そこにはドライバーの高度なテクニックが必要となってくる。

 ハンドフォード・ディバイス1は、空気抵抗を大きくしたタイプで、ハンドフォード・ディバイス・マーク2は、ダウンフォースを小さくし、マシンの安定性を低くさせることでスピード・ダウンを狙っている。コースごとに使用するウィングはルールで以下の表のように決められている。
フロント:スーパー・スピードウェイ用ウィング / リヤ:ハンドフォード・マーク2
ナザレス もてぎ ミルウォーキー シカゴ ロッキングハム(5コース)

フロント:スーパー・スピードウェイ用ウィング / リヤ:ハンドフォード・マーク1
テキサス ミシガン ラウジッツ フォンタナ(4コース)

フロント:ロードコース / リヤ:ロードコース
モンテレイ ロング・ビーチ デトロイト ポートランド クリーブランド トロント ミド-オハイオ エルクハート・レイク バンクーバー ヒューストン ラグナ・セカ サーファーズ・パラダイス(12コース)
*高速のエルクハート・レイクには、さらに特別ルール適用
フッタ
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