ストイックに、
かつ刺激的に。

レーシングテイストを高め、刺激的な空間をつくり上げる。大事にしたのはエクステリア同様、赤と黒のコントラストといった一貫性だった。しかし、スポーツカーにおいて、飾り立てる価値はあまり重要ではない。TYPE Rの室内に相応しいマテリアルとして、赤を差したリアルカーボンに加え取り入れたのが、硬質で落ち着いた表情をもつブラックアルマイトだった。過剰な演出をすることなく、リアルスポーツとしてストイックな見え方を目指し、ブラックアルマイトとレッドレザーを組み合わせたシフトノブの開発は行われた。


操る楽しさをカタチにする。

TYPE Rの走りのポテンシャルを引き出し、操る楽しさを心ゆくまで堪能できる6速マニュアルトランスミッション。シフトノブの操作フィールは、スポーツドライビングに直結する重要な要素となってくる。運転しやすく、しっかり操作性を向上させたい、という強い想いがあった。シフトノブは、ドライバーによって、上からも握るし横からも握る。両方の握りを想定し、操作性がしっかり向上するデザインを目指した。3Dプリンターで試作モデルをつくり中にオモリを入れ、重心を再現しグリップ形状を模索。実際に握ったときのグリップの感覚と操作感をリアルに追求し、何度も試作・検証を重ねながら理想の形を完成させた。


握りやすく、美しく。

操作性を突き詰めて生まれたシフトノブの形状。だが、この形にレザーを巻くことは、非常に困難を極めた。グリップのくびれ部分に、どうしてもシワが寄ってしまう。触り心地を変えずにシワが寄らないよう、曲面の部分のレザーを、コンマ1mmずつ削り調整。クラフトマンが作った扇形のレザーを、いくつも巻いては調整し試作を重ねた。さらに、レザーの縫い方はステアリングと合わせ、最もクオリティーが高く見える「ユーロステッチ」を採用。色もピッチも完全に合わせ、見た目だけでなく、握った感触までも一貫したレーシングテイストを貫いた。実際にTYPE Rに装着し、走った状態での操作感を検証。そこから見出した良さをなるべく失わずに製品化へと結実させた。


黒の中から輝きを引き出す。

重厚で落ち着いた表情を見せるブラックアルマイト。黒の中にしっかりと質感の高い金属感を出せるか、いかに価値が高く見えるか。繊細な金属の質感を表現するために、シフトノブ先端の曲面にエッジを追加。ひとつ折れがあることで、そこに光が集中し硬質な表情が生まれることを狙った。わずかコンマ5mm以下の変更だが、質感に徹底してこだわった。さらに、金属らしさを引き出すために表面にヘアライン加工を施し、目の粗さの違うヤスリを何種類も検証。どの粗さがいちばん価値が高く見えるか試作を重ね、熟練したクラフトマンによるハンドメイド作業で仕上げた。