ニホンアマガエル

学 名
Hyla japonica
分 類
無尾目アマガエル科
アマガエル属
似たような種類
緑色のカエルといえば、たいていは本種のことを指す。シュレーゲルアオガエルが本種と混同されることがある。
見つかる場所は?
都市部の水田や人家の庭先、森林など幅広く見られる。本種には吸盤があるので、樹上を好む。田植えの時期になると必ず水田で見かける。
分布
北海道、本州、四国、九州。
大きさ
体長22~45mmで、メスのほうが大きい。
見られる時期
3~11月。繁殖のために水田に訪れるが、それ以外は水田周辺の畑や草むら、森林ですごす。
生活史
4~8月と、かなり長い期間にわたって断続的に産卵が行なわれる。卵は細い寒天質のひもで、数個ずつつながって水面を漂い、植物の茎など絡みつく。3日ほどでオタマジャクシになり、1ヵ月ほどかけて成長し子ガエルになる。
エサ
肉食性で、小さな昆虫類やクモ類を捕食するが、繁殖期のオスはほとんどエサを食べない。吸盤でイネに上り、たくさんの害虫を食べてくれる。夜には人家の窓や自動販売機の照明に集まり、明かりに集まる昆虫を捕食する姿が見られる。特に繁殖を終えて水田から離れる時期、照明に集まる姿が見られる。
特徴
雨の前後になると、オスは「鳴のう」と呼ばれるアゴの下の袋を膨らませて「グエッグエッグエッ」と大きな声で鳴く。このカエルが鳴いたら雨が降るため、「雨蛙」という名が付いたともいわれる。周囲の色に合わせて自分の体色を変えることができる。草地にいる時は緑色だが、土や枯葉が多い場所では茶色になる。
その他
本種は発達した吸盤を持つため、圃場(ほじょう)整備の結果できたU字溝やコンクリート水路に落ちてもよじ登ることができる。そのため他種に比べ、環境改変の影響を受けにくい。
  • 周囲の環境によって、体色は変化する

  • オスが鳴く時には、アゴの下の袋が大きくふくらむ

監修者

大庭 伸也(おおば しんや)

大庭 伸也(おおば しんや)

2007年岡山大学大学院自然科学研究科博士課程修了、博士(学術)現在の所属は、長崎大学教育学部准教授。水辺環境に棲む水生昆虫類を対象に、生態学的な視点から食性、繁殖行動、生物種間の相互作用について研究しています。平成22年度日本環境動物昆虫学会奨励賞受賞

監修:大庭伸也
写真提供:稲谷吉則、岡田賢祐、加賀田秀樹、川野敬介、後藤直人、
世古智一、中西康介、橋本洸哉、政所名積、渡部 宏(50音順)