ミズカマキリ

学 名
Ranatra chinensis
分 類
カメムシ目タイコウチ科
ミズカマキリ属
似たような種類
ミズカマキリより一回り小さなヒメミズカマキリという種類がいる 。
見つかる場所は?
水田、池、沼、水田脇、防火水槽など。
分布
日本全国。
大きさ
成虫は体長40~50mm。メスのほうが大きくなる。
見られる時期
一年中。秋から春にかけては、水のある溜め池や防火水槽にいる。
生活史
春に越冬から目覚めた成虫は、5~7月に交尾を行なう。メスは2本の呼吸管が付いた細長い卵を水辺の泥やコケの中に産み込む。卵は2週間ほどで孵化し、5回の脱皮を経て成虫になる。野外での寿命はほぼ1年と考えられている。
エサ
前脚を使って水生昆虫や水面に落ちた昆虫、オタマジャクシを捕獲する。口吻(こうふん:とがったストローのような口)から消化液をエサの体に注入し、肉を溶かして食べる。
特徴
腹部末端の長い呼吸管と、その名のごとくカマキリに似た形が特徴。陸上に上がると体を乾かして、翅(はね)を使って飛ぶことができる。飛翔の際に上空から水の光の反射を利用して水辺を認識しているようで、水面と間違って自動車のフロントガラスに飛んでくることがある。水質のきれいな環境のミズカマキリには、 赤いミズダニ類が寄生することがある。
その他
最近は新しく使われるようになった農薬により、ミズカマキリの個体数が激減しているとの報告がある。今後も減っていく可能性が高い。長崎では絶滅危惧I類、福岡では準絶滅危惧種に指定されている。
  • 水田から水がなくなる時期には、残り少ない水溜まりで多数見つかることもある

監修者

大庭 伸也(おおば しんや)

大庭 伸也(おおば しんや)

2007年岡山大学大学院自然科学研究科博士課程修了、博士(学術)現在の所属は、長崎大学教育学部准教授。水辺環境に棲む水生昆虫類を対象に、生態学的な視点から食性、繁殖行動、生物種間の相互作用について研究しています。平成22年度日本環境動物昆虫学会奨励賞受賞

監修:大庭伸也
写真提供:稲谷吉則、岡田賢祐、加賀田秀樹、川野敬介、後藤直人、
世古智一、中西康介、橋本洸哉、政所名積、渡部 宏(50音順)