OCEAN MASTER STORY

世界のプロが選んだHonda

世界で活躍するHonda船外機の
知られざるストーリー

2016.05.27
名匠一族の新たなる挑戦 6

ホンジュラス・マホガニーの
舳(みよし=ステム)にチークのキール

RIGBYの骨格となるフレーム組み立ては終了。
さらに26尺のチーク材を使って、キールを製材。

建造工程
舳(みよし=ステム)切り出し、
フレーム組み立て〜キール製材

2016年4月

船の骨格となるフレームが組まれていったのは4月のことだ。船首から艫まで組まれたフレームの数は15。船底側を上に並べられたフレームに、いよいよ外板が張られていくのだが、その作業に入る前にやることはまだ多くある。 まず舳(みよし)だ。分厚く重いホンジュラス・マホガニーから、原図から起こされた型紙に沿って切り出された。 フレームに沿って張られる外板の先端を船首で受け止めるが舳(みよし)となるわけだが、その接合部分には、佐野造船所の長い木造船建造の中で培われてきた匠の技が生かされる。正確に言うのであれは、木材の選択眼にはじまり、すべての作業に技が必要となるのだが、その技を持つ9代目の佐野龍太郎社長から龍也氏が学び、RIGBYの建造に生かされている。 次回、切り出された舳(みよし)がいかに手を加えられていったが、ご紹介することができると思う。
切り出されたフレーム用の木材。
船の骨格となるフレームの組み立てがはじまった。
出来上がったフレームを持つ龍也氏。右手の先の山の突先が船底側で、後々キールが組み込まれる。
31フィート艇の舳(みよし)ともなるとかなり大きい。型紙をもとに製材された。太く膨らみを持たされた方が船底側。
切り出された舳(みよし)。ホンジュラス・マホガニー製だ。左右両舷の外板を船首でがっちりと受け止めることになる。そこには木造船建造の匠の技が生かされるのだが、その詳細は次回ご紹介する。

2016年5月

もうひとつの重要な部材がキールだ。長さ26尺のチーク材から切り出されることになった。 26尺一本物のチーク材などというものは、今となっては非常に貴重なものだが、以前この船人紀行で書いた通り、8代目の佐野一郎氏がチーク艇建造のために確保していたものだ。外板に使われるホンジュラス・マホガニーもさることながら、見えないところにも高価で希少な木材が使われているのである。
5月20日、そのキールの製材が行われた。26尺のチーク材など滅多に目にすることはできないので、佐野造船所に駆け付け、作業を見学。 龍太郎社長がキールとして切り出す部分を確認した上で、龍也氏が電動丸鋸を真一文字に走らせた。切り出されたキールは○センチ角と言いたいところだが、佐野造船所はさすがだ。尺貫法における単位が飛び交う。つまり、尺や寸という単位が当たり前に使われているのだ。それでいくと、キールの長さは26尺で、幅4寸、厚み3寸ということになる。
(写真提供:佐野龍也氏)
フレームの組み立てが終了。その数は15。
RIGBYのキールは全長26尺のチーク材から切り出されることになった。見事なチーク材を前に、作業に入る龍也氏(左手前)と9代目社長の佐野龍太郎氏。
キール製材中の龍也氏。電動丸鋸が使われた。
キールとして使われるのは、右に切り離されていく部分だ。この日は製材までだったが、さらに削られてフレームに組み合わされる。
2