マメ知識

ゴルフの雑学・マメ知識日本とハワイを結ぶ偉大なローカルトーナメントハワイパールオープン物語(4)

2010.05.13

※このコンテンツは、2010年3月時点の情報をもとに作成しております。
※ハワイパールオープンは、2013年の第35回大会で終了しました。

拝むと幸せが訪れる「幸運の石」の由来

パールCCのゲートを入ったすぐ右手に幸運の石(Good Luck Rock)と呼ばれるおむすび形をした岩石が展示してある。この石は3番ホールの池のほとりで発見されこの場所に移されたものだが、ここに安置されるまでにいろんな紆余曲折があったという。

「開業して間もなくのことなんですが、プレイ進行を速くするためにコース内の木をクリーンアップしたところ、3番ホールの大きな木の中から面白い形の石が出てきたんですよ。椅子のような出っ張りがあるから私が冗談で『これはきっと山の上にあったんだよ。カメハメハ大王がこの石に座って、今日も平和である、とか言いながら下界を見下ろしてたんじゃないのかね』なんて言ってたわけです。そうしたら地元の長老がそうかもわからない、なんて言い出して、貴重な石だからちゃんとした場所に移そうということになったんです。ところがワイヤーで吊って運ぼうとしたところ、切れないはずのワイヤーが切れた。クレーン会社の社長がカメハメハ大王の祟りだってえらく怖がりましてね、地元の祈祷師に相談しに行ったんですよ。すると老婆の祈祷師は『その石と木は長いこと結婚していて、女の木が男の石を離したがらないんだ』って言うわけです。それでお祓いしてもらってからもう一度運んだんですけど、今度は2番ホールを横切ったところでドーン!と倒れた。また作業中断ですよ(笑)。1週間もホールのど真ん中に横たわったままなんで邪魔で仕方がない。もう一度お祓いしてもらって、今度こそ大丈夫だからって言うんで無事ゲート付近に移すことができた次第です。この話には後日談がありましてね、作業がすっかり終わってから、祈祷師が石を置いた場所の近くに木があるだろう、って言ったそうなんです。見てもいないのにですよ。確かに大きな木があるんですね。クレーン会社の社長がそのことを伝えると祈祷師は『石はその木と新しい恋に落ちた。大層喜んでいるからこの作業に関わったものはみんなハッピーになる。この石を未来永劫大事に守りなさい』と言ったっていうんです」

幸運の石とレグミノセイの木

祈祷師の言いつけを守るべく『幸運の石』と名付け、地元のメディアを集めて発表会を行ったところ、ある地元の一流新聞社の記者がこう言った。
「経緯はよくわかりましたけど尾形さん、われわれが記事にすると、どうなるか知ってますか?」
「わかりません。どうなるの?」
「『幸運の石』の話は真実になります。おそらく博物館に持っていかれるでしょうね」
「え!?ちょっと待って!タンマ!」

せっかく苦労して展示したのに、博物館に持っていかれてはたまったものではない。とりあえず記事をストップして、展示する際の詳しい但し書きをつけるためハワイ大学の地質学部に分析してもらったところ、200万年前の玄武岩で明らかに加工した跡がある、という調査結果が出た。
「レポートの表紙を見ると『パールCCで発見された、カメハメハ大王が座ったと思われる石のレポート』なんてそれらしく書いてありました(笑)」

これで十分じゃないかということになり、石の言われとみんなが幸せになることを祈ってこの場所に安置する、という但し書きと共にいまの場所に収まった幸運の石。これで持っていかれないだろうともう一度メディアを呼んでお披露目会をしたところ、「夜の間に不幸な人が来て石を削っていくよ。いつかなくなっちゃうかもしれないね」とまたもや脅かす新聞記者。その問題を解決するために但し書きに付け加えられたのが『祈祷師によれば、祟りがあるので絶対に触ったり傷つけたりしてはならない』という一文だったという。

こうして伝説となった幸運の石。いまでも毎日のようにツアーの観光客が大挙してバスで訪れ、幸運の石を拝んでいくのがパールCCの日常だ。観光客が立ち去ると、石の上にはさまざまな国のコインが残されているという。ポケットの中の小銭を賽銭代わりに置いていくのだ。こうして集まった小銭は困っている人のために使うことになっていて、阪神淡路大地震の際にも義捐金として贈られたという。

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