投げ釣りの対象魚としてシロギスと並んで人気が高く、全国の沿岸部に生息するカレイ。地域や種類によって多少の差異はありますが、概ね12月後半から1月にかけてが産卵期で、産卵を終えると体力を回復するために一旦深場に移動します。その後、1ヵ月から1ヵ月半ほどして回復が進むと、さらに体力を付けるために浅場に寄って来てエサを漁ります。それが3月初旬から中旬で、その頃のカレイのことを「戻りガレイ」と呼んだり、あるいはサクラが咲くころに釣れることから「花見ガレイ」と呼んだりします。

シーズン初期はまだ身が薄いですが、4月から5月初旬にはプリプリに肥えてきます。カレイの旬は初夏と言われているように、この時期に釣れるカレイは食べても美味しく、体力を回復しているため釣った時の引き味も非常に強いので人気です。

マコガレイ
イシガレイ
カレイ釣りで主な対象魚となるのはマコガレイとイシガレイ。食味ではマコガレイ、引きの強さではイシガレイが勝るとされる
カレイ釣りで主な対象魚となるのはマコガレイとイシガレイ。食味ではマコガレイ、引きの強さではイシガレイが勝るとされる

カレイは短い時合に効率よく釣る

カレイはシロギスやマダイスズキなどとは違い活発に動き回る魚ではありません。海底に身を潜めてじっとしている時間が長い魚です。一方で、目の前にエサがあっても食わなかったのが、ある時間帯になるといきなり動き回ってエサを追いまわすといった性質があります。カレイの食事タイム、いわゆる「時合」というやつです。カレイの時合は1日に2~3度、少なければ1度しかやってきません。その点を理解して時合に効率よく釣ることが大切になります。

数多く釣れる魚ではないので時合に集中的に探るのが好釣果を得るコツ。ポイントの選択も重要になる

朝、夕のマヅメはあらゆる魚が活発にエサを追う時間帯ですが、カレイも例外ではありません。特に戻りガレイは水温が上がる昼からや夕マヅメに活性が上がるので、カレイ釣りをする時は、できれば夕方まで粘るのが得策です。また、時合は潮の変わり目にも訪れます。具体的には動いていた潮が緩んできた時や、逆に止まっていた潮が動き始める時がチャンスです。潮時表で満潮、干潮の時間を調べておくのが大切です。

他の魚たちと同様に、朝と夕のマヅメ時はカレイも活発にエサを追う。この時間帯は気合を入れて探りたい

カレイの時合は長くて1時間程度、短いと30分ほどで終わってしまいます。その間に手早く釣るのが重要です。そのためには同行者や周りの釣り人にも気を配っておきます。近くの人がカレイを釣ったなら時合の到来と捉え、新鮮なエサに付け替えて打ち返したり、積極的に誘いをかけることが好釣果に結びつきます。

カレイが釣れるポイントを選ぶ

カレイは海底のどこにでもいるわけではありません。カケアガリや深み、海藻帯の近くなどに寄っていることが多い魚です。また、海流の反流点、ヨレる所にも集まります。海岸を見渡してそのような所を予測して釣り座を構えます。オモリを投入してゆっくり引いて来ると、グ~ッと重く感じる所があるはず。そこがカケアガリや深みなので、そこに仕掛けを置いてアタリを待ちます。

海面を観察していると筋が現れることがあります。「潮目」と呼ばれる現象です。潮と潮がぶつかったり、沖の潮流と手前の潮流で速度が違う時などによく現れます。その潮目などもポイントと思って間違いありません。仕掛けを投げて届く範囲に潮目が現れた時は、その周辺を積極的に探りましょう。

複数のサオを用意し、遠距離、中距離、近距離と投げ分けて当日のヒットポイントを探る。アタリがあったらその周辺を集中的にねらうことで数が伸びる
海面に潮目が現れるとチャンスタイム。周辺に仕掛けを投入する

カレイは地形や海流が変わらない限り毎年同じポイントで釣れることが多い魚です。また秋の乗っ込み期(産卵のために浅場にやってくる時期)によく釣れた所なども有望ポイントなので、そのような所はぜひとも探りたいものです。釣具店や釣りエサ店でカレイ釣りの実績場所を紹介している場合はもちろん参考にしましょう。釣り雑誌などで紹介された所、時期、潮回りなどを覚えておくこともポイント選びに役立ちます。

誘いでカレイの目を引く

動きの少ないカレイを釣るには、同時に2~4本のサオを置きザオにして待ちます。そして仕掛けを投入したらそのままほったらかしにするのはダメで、5分から10分に1度は仕掛けを動かしてやります。「誘い」という動作で、これによってカレイの目を引くことが大切になります。誘いによって食い気がなかったカレイにスイッチが入り、反射的に食い付くことが多々あります。ルアー釣りで言うところのリアクションバイトです。誘いをかけてサオを三脚に置いた途端に当たるケースがよくあるので、誘いの後は油断しないようにしましょう。

仕掛けの投げっぱなしはよくない。5~10分に1度は誘いをかける。誘った直後にアタリが出ることがよくある

誘いのかけ方はいろいろあります。海底の仕掛けをズズズーっと引きずるものや、サオ先を小さくあおることでオモリを跳ね上げて、仕掛けを水中で躍らせるタイプなどがあります。基本的には後者がより有効で、オモリを跳ね上げることで海底の砂が舞い上がり、そこにエサがあると思ってカレイが寄って来ます。特に時合の最中は誘いをかけることでカレイの食い気が増しますので、しっかりと行うようにしましょう。

ポイントの選定、時合の把握が上手くいけば重量感たっぷりの戻りガレイを手にすることができる。この時期のカレイは驚くほどよく引く

早アワセは禁物。しっかり食い込ませてからサオをあおる

カレイのアタリはさまざまです。サオ先をチョンチョンと動かした後にグイーッと押さえ込むのが典型的な当たり方ですが、体力を回復した戻りガレイはいきなりサオ先を押さえ込み、サオ尻を浮かす激しいアタリを見せる場合もあります。そんな激しいアタリが出ると、思わずサオを手に取ってすぐに合わせてしまいますが、それはNGです。カレイがハリまでしっかりくわえておらず、スッポ抜けになる恐れがあるからです。

どのようなアタリでも、とりあえずはサオ先を下げてラインを送り込んでやります。10秒ほどしてからサオ先で聞いてやり、グッグッとエサ(仕掛け)を持っていくようであれば、サオをあおって合わせてから巻き上げます。この時、ラインのテンションを緩めず同じ速度で巻くことが大切です。途中で緩めるとバラシの原因になるので注意しましょう。時々、サオ先がチョンチョンと揺れてからラインがフワーッとたるむことがあります。これは沖から来たカレイがエサを食って手前に泳いだために出る現象です。大型カレイに多いアタリの出方なので、慎重に合わせて取り込むようにしてください。

アワセが決まり手前まで引き寄せたカレイは、釣り場が砂浜であれば寄せ波に乗せてズリ上げます。防波堤や護岸が釣り場の場合は30cm以下なら抜き上げても大丈夫ですが、大型はタモ網で掬うのが無難です。大型になるほど重量が増し、抜き上げの時にスッポ抜けでバラす可能性が高まるからです。カレイ釣りで最もバラしやすいシチュエーションなので無理をしないようにしましょう。

大型カレイの取り込みはタモ網で掬う。無理に抜き上げるとスッポ抜けによるバラシにつながるので要注意

戻りガレイの釣りはハリもエサも大きめがおすすめ

戻りガレイの時期は比較的エサ取りが少ない時なので、エサは大きめに付けるのがよいでしょう。2本バリ仕掛けの場合、下バリにはアオイソメの房掛け、枝バリにはイワイソメを付けるようにしています。1本バリの場合はイワイソメをハリスまでたくし上げ、ハリ先にはアオイソメを2~3匹付けます。イワイソメの臭いとアオイソメの動きでカレイを誘惑する作戦です。

ハリは「大型カレイには大バリ」の鉄則どおり、カレイ専用の14~15号と大きめがおすすめです。そして、ハリのチモトにはカレイの目を引くためケイムラ玉、エッグボール、発泡流線シモリ玉などを装着します。これらは自作してもよいですし、装飾品の付いた市販仕掛けを活用するのもよいでしょう。高いクオリティーの商品が多くあります。

大型ねらいには大エサの格言どおり、ハリにはたっぷりエサを付ける
ハリの上にはケイムラ玉、エッグボール、発泡流線シモリ玉などを装着してカレイにアピールする
近年はクオリティーの高い市販仕掛けも多い

食べても美味しい良型を求め、じっくりと海と向き合うカレイ釣りにぜひ挑戦してみてください。

美味しく食べるためには釣ったカレイをその場ですぐ締めるのが一般的だったが、最近はエアポンプを用いて生かしたまま持ち帰る人も増えている
新鮮なカレイの刺身はコリコリとした食感が最高(上がカレイ。下はカサゴ)
※このコンテンツは、2023年4月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。