ヒメマス釣りはタナ捜しから
秋の芦ノ湖は絵画のような美しさ
野崎さんのお店で仕掛けのほかにトロウリング用のロッドやリール、道具一式を借りて桟橋へ…。湾内にはすでにワカサギ釣りのボートが浮いていた。
トロウリングに使うボートは、ゆったりとしていて、真ん中にイケスがついていた。船底を通じて水が出入りするようになっていて、魚を生かしておける。
芦ノ湖では、他湖に先んじて、湖水を汚さない船外機や生分解性のエンジンオイルを採用してきた。このボートも例外ではなく、Hondaの4ストロークの船外機が取りつけられていた。
こういった地道な努力が、美しい湖水と魚たちを守っているのである。桟橋を離れたボートはスピードを増して沖に向かった。箱根神社の赤鳥居から山のホテル前…と、ルアーフィッシングの名ポイントを通過していく。
空は真っ青。山はまだまだ緑深く、ため息がでるほど美しい。もう少しすれば徐々に紅葉が始まり、やがて冠雪した富士山も楽しめるようになるだろう。
湖を三次元で考える釣り
しばらく進むと、野崎さんは速度を落としてボートをジグザグに走らせ始めた。
ヒメマス釣りは
タナ(魚の泳層)を把握しないと始まらない。
魚探をにらみながら、魚の反応がある場所を探っていくのだ。魚探の見方、画面に現れる変化を、ふたりに教えながら10分、20分…。3人の表情が緩み始めた。どうやら魚の反応があったらしい。
仕掛けを水中に降ろして、ゆっくりとミチイトを伸ばしていく。所定の深さに達したら、ボートの左右に取り付けられたロッドホルダーにサオを1本ずつ差し込めば、準備はOKだ。
「リールについたカウンターで水深を計るんですけど、ねらう深さに2m足した長さまでイトを出しました。ボートが走り出すと、水の抵抗で、イトや仕掛けが浮き上がるので、その分長めにするんだそうです」と落合さん。
ヒメマス釣りは、広い湖にどんなスピードでどんなコースを描いてボートを走らせるかという二次元の展開に、魚がいる深さを読んでタナを設定するという要素が加わる、いわば三次元の釣り。野崎さんの熱い説明に、ふたりは超真剣モードだ。
※撮影:浦壮一郎
※このコンテンツは、2012年10月の情報をもとに作成しております。最新の情報とは異なる場合がございますのでご了承ください。
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