山根 和明 氏
月刊『つり人』編集長
山根 和明 氏
1994年つり人社入社。2006年より月刊『つり人』編集長を務める。渓流釣り、アユ釣り、磯釣り、沖釣り、コイ釣りなどなど四季折々の釣りを楽しむ。コイ釣りニュースタイルマガジン『Carp Fishing』、渓流釣り専門誌『渓流』、トラウトルアー専門誌『鱒の森』編集長を兼務。

豊穣の汽水湖

ワカサギの自然分布は太平洋側では千葉県の利根川以北、日本海側では島根県以北。しかし、釣りや食用としての重要が高く、現在は各地の湖沼に放流されています。環境破壊などでワカサギの自然繁殖できるフィールドが減るなか、放流種苗の供給源のひとつとして知られるのが、北海道の網走湖。安定した水揚げ高を誇る網走湖のワカサギの卵は現在、全国40箇所以上の湖沼に放流されています。釣りも盛んで、冬季の3ヵ月間だけで2万人もの釣り客が訪れるそう。

網走湖の面積は約33平方km。ワカサギの水揚げ高は例年、200~300トンで、全国でも指折り。シジミやシラウオ漁も盛んで、シラウオの水揚げ高は道内全体の8割を占めるそうです。
この豊穣の湖は網走川でオホーツク海とつながっていて、海抜が0mであることから、満潮時は網走川を通じて海水が流入します。つまり、網走湖は汽水湖であり、純粋の淡水湖に比べ、魚介類の生産力が高いというわけです。
網走湖のワカサギは型がいいことで有名
網走湖のワカサギは型がいいことで有名
網走湖が結氷し、氷上釣りができるようになるのは例年、年明けから。年により異なるので詳細は会場事務所に問い合わせを
網走湖が結氷し、氷上釣りができるようになるのは例年、年明けから。年により異なるので詳細は会場事務所に問い合わせを

広葉樹の森から飛び立つオジロワシ

魚の多さに加えて、網走湖のワカサギ釣りが人気なのは、アクセスのよさ。女満別空港からクルマで20分ほどでアプローチできます。釣り客の受け入れ体制も整っていて、湖畔に設置された観光協会のワカサギ会場事務所で、テントからレンタルタックルまで借りられ、天ぷら用の鍋や油までが用意されています。

氷上のワカサギ釣りといえば、今ではテントや小屋の中で楽しむのが一般的ですが、網走湖では風のない時はテントから出て釣りを楽しんでいる人が少なくありません。湖畔にはミズナラやハンノキといった広葉樹の森が広がり、テント内で釣っていては、せっかくの美しい冬景色を目にできないし、何より一面の銀世界の中にいるという解放感が、テントの外に釣り人を誘うようです。
ワカサギ釣りはウインタースポーツのひとつとして老若男女に親しまれている
ワカサギ釣りはウインタースポーツのひとつとして老若男女に親しまれている
氷上のワカサギ釣りはテント内で楽しむのが一般的だが、網走湖では雄大な景色を楽しみたいとテントの外で行なう人たちも
氷上のワカサギ釣りはテント内で楽しむのが一般的だが、網走湖では雄大な景色を楽しみたいとテントの外で行なう人たちも
湖畔の木々には国の天然記念物に指定されているオジロワシが点々ととまっていて、時にはトンビのように複数羽が、じゃれあいながら空を舞います。それが時おり湖面まで急降下し、釣り人の目を釘付けに。本州ではまず目にできない光景です。
湖畔の森には国の天然記念物に指定されているオジロワシがいて、優雅な舞を見せてくれる
湖畔の森には国の天然記念物に指定されているオジロワシがいて、優雅な舞を見せてくれる

水深浅く、手バネザオがおすすめ

釣りあげたワカサギは、そのまま外に置いておくと凍ってしまう
釣りあげたワカサギは、そのまま外に置いておくと凍ってしまう
網走湖には例年、ワカサギ釣りの会場が2ヵ所設置されます。ひとつは網走市呼人で、ここは湖に突き出した呼人半島の東側にあるワンド内にあり、もうひとつは湖最南端の女満別のワンド内。一般的に網走湖のワカサギ釣りというと、呼人を指すようです。

湖の平均水深は6mほど。寒い日には外気が氷点下20度を下回ることもあり、流行の電動タックルだとガイドが凍り付いてしまい野外では使えません。そのため、手バネザオがおすすめ。
氷上のワカサギ釣りというと、ベテランでも1日に100尾を手にできれば御の字という釣り場をイメージしがちですが、オホーツク育ちのワカサギは厳寒期でも活性が高く、1日に1000尾超の釣果を叩き出す猛者もいるほど。そのため、仕掛けも繊細なものは特に必要なく、ミチイトは1号前後、オモリも1号前後、ハリは2号の5本程度で充分。エサは白サシ、紅サシが現地で入手可能。
冬季は、湖畔でさまざまな催し物が行なわれているので、家族連れにもうってつけ
冬季は、湖畔でさまざまな催し物が行なわれているので、家族連れにもうってつけ
湖の周りにはオホーツク海の幸を堪能できる食事処や温泉もあり、気の知れた仲間や家族を連れ立っての釣行にうってつけ。例年、3月下旬まで氷上釣りが楽しめます。
氷上釣りでは穴を開ける場所が重要。ワカサギ会場事務所に頼めば、穴開けまでやってもらえる
氷上釣りでは穴を開ける場所が重要。ワカサギ会場事務所に頼めば、穴開けまでやってもらえる
川を通じてオホーツク海とつながっている網走湖では、汽水域を好むヌマガレイも多く生息していて、ワカサギ釣りの仕掛けでもよく釣れる
川を通じてオホーツク海とつながっている網走湖では、汽水域を好むヌマガレイも多く生息していて、ワカサギ釣りの仕掛けでもよく釣れる
こちらも、ワカサギ釣りの仕掛けで釣れたトゲウオ(イトヨ)。トゲウオがワカサギ釣りのゲストで釣れる場所はとても珍しい
こちらも、ワカサギ釣りの仕掛けで釣れたトゲウオ(イトヨ)。トゲウオがワカサギ釣りのゲストで釣れる場所はとても珍しい
今回ご紹介したエリア
北海道/網走湖のワカサギ釣りMAP
アクセス
女満別空港からクルマで20分ほど。
路線バスもあり。バスの場合、網走観光ホテル前下車、徒歩約300m。羽田―女満別の所要時間は約110分。
お問い合わせ
ワカサギ会場事務所
網走市字呼人823-2地先
TEL 0152-48-2289

遊漁料
大人800円/小学生400円
貸し竿150円 エサ200円
※このコンテンツは2015年1月の情報をもとに作成しております。