GIORNO Crea - 1999.06

GIORNO Crea
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はじめに



 スクーターは、省スペースで維持費も安く、機動力に優れる利便性の高い乗り物として、幅広い年齢層のお客様に親しまれています。特に都市部においては、通勤や通学、買い物などに便利な交通手段として、今後も社会に果たす役割がいっそう高まるものと考えられます。
  その一方で、地球環境の保全という社会的な要請が高まる中、スクーターを含めた二輪車にも排出ガスのクリーン化が望まれています。
  従来よりホンダは、「環境」を重要な技術テーマのひとつと位置づけ、研究・開発を行ってまいりました。中でも排出ガスのクリーン化の成果として、2ストロークエンジンの「キャタライザー(酸化還元触媒)内蔵マフラー」や「AR燃焼」ならびに、4ストロークエンジンの「PGM-FIシステム(電子制御燃料噴射装置)」や「エキゾースト・エアインジェクションシステム(二次空気導入装置)」など、様々な排出ガス浄化装置を開発し、国内新排出ガス規制に適合させた製品をいち早く発売し、適用機種の拡大を図っています。
  また、四輪車においても、HONDA LEV搭載車の拡大化や、ハイブリッドシステムによる超低燃費車の開発を行うほか、汎用エンジンでは4ストローク船外機全機種が、米国 EPA2006年規制*を大幅に下回っています。
  ホンダは創業期より、4ストロークエンジンへのチャレンジを通して環境への取り組みを続けてまいりました。1958年、世界の小排気量二輪車の大半が2ストロークエンジンを採用している中、排出ガスがきれいで優れた静粛性をもち、低燃費で維持費も安価な4ストロークエンジンの特性にいち早く着目し、スーパーカブ C100(50cc)を発売。小排気量でありながら、低燃費で力強い出力特性や、使い勝手の良さなどで圧倒的な支持を獲得しました。そして、スーパーカブシリーズは現在でも基本構造とスタイリングを継承しながら、世界140ヶ国以上で販売され、累計生産台数で約2,758万3千台('99年3月末現在)を記録しています。  また、「スペイシー50(1982)」「ボーカル(1983)」「タクトアイビー(1986)」など、時代の要請に呼応して4ストロークエンジンを搭載した50ccスクーターを開発してまいりました。
  そして21世紀を目前とした今、ホンダが培った最新の技術を結集し、水冷・4ストローク・単気筒50ccエンジンとリサイクル性の高いアルミダイキャストフレーム、アイドル・ストップシステムを新開発。優れた燃費とクリーンな排出ガス、静粛性を実現させながら、若い世代からも共感を呼ぶファッショナブルなスタイリングを兼ね備えた新世代スクーターとして、「ジョルノ クレア」を開発いたしました。
  また、新開発のエンジンとフレームを、それぞれモジュール化することによって生産性の向上と、省エネルギー化をめざしています。

1999年6月8日

 

図

*EPA2006年規制
米国環境保護庁(EPA)が設定したマリンエンジンの排出ガス規制で、1998年から最終年度の2006年まで段階的に排出ガスを低減させる規制。2006年には1997年の市場レベルから約95%の削減が求められている。



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