VT250 SPADA - 1988.12

VT250 SPADA
VT250 SPADA
 
エンジン

250cc90度Vツインエンジン
 市街地走行での乗り易さを実現するために、一般的なライダーにふさわしい250ccの排気量とし、リニアなハンドリングのためにスリムな90度Vツインエンジンを採用しました。エンジンは、VT250Fを基本に、'88年6月に発売したVTZ250のエンジンと開発を同時にスタートしました。主な変更点は、
  (1) インテークバルブをφ23mmからφ24mmに、またエキゾーストバルブもφ20.5mmからφ21mmに大径化。
  (2) スパークプラグをφ12mmからφ10mmへと小径化。
  (3) 燃焼室形状や吸・排気タイミングの変更とインテークポートの形状変更に伴なうエンジンの要求点火時期に対し、デジタルイグナイターによって最適な点火特性を実現。
  (4) フロント96mm、リア77.5mmの不等長エアーファンネルを採用(前モデルは68.5mmの等長)。
  (5) バルブタイミングのオーバーラップを減少させて中・低速域での出力を向上。
  (6) インレットポートのガイドフィンを25mm延長することにより、中・低速域における吸入混合気の整流効果を向上。
など、細部まで大幅な見直しを図りました。

シリンダーヘッド レイアウト図   エンジン性能曲線図
シリンダーヘッド レイアウト図 エンジン性能曲線図

 その結果、上記(エンジン性能曲線図参照)のように、常用域をはずれたエリアでの最高出力を、敢えて前モデル比で3馬力下げ、実際に多用する中・低速域での大幅なトルクアップを実現しています。
 さらに、中・低速時のトルク向上に対応し、
  (7) ミッションレシオをワイド化すると同時に全体をローギアード化。
  (8) ACGマスを42kg-cm2から45kg-cm2に変更することによって、微妙なアクセル開度に対して一層リニアなトルクフィーリングを実現。
  (9) VTZに比較し、エア・クリーナーや排気系を新設計とすることで、一層リニアなレスポンスを実現。
など、徹底的な性能向上に力を注ぎました。
 これらのエンジンの開発に際して、ベンチテスト主体のエンジン開発にとどまらず、実走テストによって吸・排気系にくわえ、バルブ開閉タイミングやフライホイールマスなどを選定するという、非常に時間と労力のかかる開発手法を採用して、最適な走り味を創り出しました。



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