SPACY - 1982.05

SPACY
SPACY
 
拡がるスクーターの世界

ホンダスクーター 時代が移り変わる中で、人々のライフスタイルも大きく変化しています。
合理性、文化性(生活の質的向上)、多様性を生活の中に求める現代人のライフスタイルが、スクーターのもつ個性をどのように受け入れているのでしょうか?


1 生活の中で求められる合理性

高度成長期から安定成長期に入った今日、人々のライフスタイルは大きく変わってきています。 働く女性の増加も、その一つの現象です。女性の職場進出は著しく、女性の短時間雇用者の増加とともに、主婦の兼業化も年ごとに増えています。
そのため、従来の生活の質を保ちながら家事と仕事を両立させるためには、生活時間を合理的に活用しなければなりません。
これは都市のドーナツ化が進み通勤時間に生活時間を圧迫される男性にもいえることです。 そこで、より生活時間を合理的に活用するため、移動時間を短縮する便利な乗り物としてファミリーバイクが出現しました。スクーターもこのようなライフスタイルの中で便利な乗り物として現代人に欠かせない生活の必需品となりつつあります。


増える女子短時間雇用者 配偶関係別女子就業者の推移
女子就業者全体
増える女子短時間雇用者 配偶関係別女子就業者の推移


2 量から質を問われる時代へ

三種の神器といわれたテレビ、冷蔵庫、洗たく機から、3Cと呼ばれたクルマ、クーラー、カラーテレビまで、大型消費材の普及はめざましく、日常生活を営む上での物質的な環境は非常にめぐまれたものとなってきています。
しかし、生活の質という点ではまだまだ不満足な点が多いようです。国民生活局が発表した「昭和54年社会指標試算」でも、コミュニティ生活の質(生活領域での日常生活や文化活動の充実度)という点では、昭和50年を100とした場合、54年が101.5とほとんど改善されていません。
「衣食は足りたものの、何か…」というのが現代人の一つの悩みのようです。
これはさまざまなかたちで現われてきており、「生活にゆとりができたから何か教養を」と文化セミナー族が生まれたり、「テレビや新聞だけでなく、もう少し詳しく生きた情報を」と雑誌ブームが起こったのも一つの現われでしょう。
スクーターにも、同じような生活の中での「何か」が求められ、今、一つの時代を創り上げているといえます。それは、自転車や、ファミリーバイクの便利さに加えた「何か」です。量から質の時代へ。スクーターはそんな時代に、生活の質を高めるものとして、機能性だけでなく、ファッション性をも兼ね備えた乗り物といえるでしょう。

社会指標でみる生活の質的改善
社会指標でみる生活の質的改善


スクーター時代風俗史
「時代は廻る」といわれます。最近の世相風俗の中には、20年ぶりに復活する風俗も少なくありません。第一次スクーターブームと現代。その風俗史をくらべてみました。

風俗


30
マンボブーム(マンボスタイル)
「最低ネ」(風俗用語流行)
31 太陽族(石原慎太郎の「太陽の季節」より)
深夜喫茶
ロマンスグレー(中年男性の魅力)
32 神武景気(好景気を形容)
三種の神器(テレビ、洗たく機、冷蔵庫)
老人ホーム(老後対策の一つの流れを生む)
5000円札、100銀貨発行
雑誌ブーム(週刊誌創刊相次ぐ)
33 団地族(集団住宅の住民)
東京タワー(世界一高い332M)
神風タクシー(突走るタクシー)
ハイティーン、ローティーン
34 パーキングメーター(東京日比谷公園地区)
カミナリ族(マッハ族)
東海道新幹線(34年4月着工)
がめつい奴、ヨワい、イカす(風俗用語の流行)
35 だっこちゃんブーム
インスタント時代(即席)
レジャーブーム(マスレジャーの気風)
51 コインスナック・コインランドリー
走るブーム(手軽な走る健康法)
ピーナッツ・灰色高官
700号狂騒曲(巨人軍王貞治)
52 トンネル不況(戦後不況、28、30、33、37、40、46年)
カラオケブーム
国民栄誉賞(受賞第1号は王選手)
ふるさと指向(地方の時代)
53 不確実性の時代(ガルブレイス)
だぶだぶファッション(女性の夏のファッション)
家庭内暴力
窓ぎわ族(裏窓族)
54 高齢者専門会社(高齢化社会)
スペースインベーダー(テレビゲーム)
ワンパターン(風俗用語)
スーパーマン(20年ぶりの復活)
ファーストフードの台頭
55 新雑誌ラッシュ
ヘッドホン族(カセット・ファン急増)
竹の子族(太陽族-六本木族-みゆき族-原宿族)
ナイス・ミドル(中年族)
56 ガンダムブーム(キャラクター商品)
東北新幹線(57年3月開通)

ホンダジュノオ(昭和29年1月) そして、今(東京青山にて)
ホンダジュノオ(昭和29年1月) そして、今(東京青山にて)


3 働きバチから人生エンジョイ派へ

週休2日制の定着で、余暇時間が増加するとともに、人々の余暇に対する考え方も大きくかわってきました。日本人はとかく働きバチと言われ、「仕事が人生だ」という意識が強いとされてきました。
しかし、年々、「仕事と余暇を両立する」考え方が増えており、現代人にとって「いかに余暇を楽しむか」が一つの課題となっています。
スクーターは、余暇を充実させるための大人の小道具としても魅力ある乗り物です。
自動車より手軽に、それでいて乗用車感覚が味わえ、二輪車の爽快な気分が味わえます。また、背広やスラックスでドレッシーにきめても、テニスウエア、ジョギングウエアでスポーティに乗り回しても、スクーターのスタイリングにうまくマッチします。
人生エンジョイ派にとって、スクーターは余暇空間をさらに広げる大切な乗り物なのです。


主婦の生活時間配分(平日) 大きな比重を占める仕事・余暇両立型
主婦の生活時間配分(平日) 大きな比重を占める仕事・余暇両立型




← 前ページへ--- 目次へ--- 次のページへ →