SL230 - 1997.04

SL230
SL230
 
パワーユニット

 パワーユニットには、軽量・コンパクトで十分なパワーを発揮する新設計の 空冷・4サイクル・OHC・単気筒230ccエンジンを採用しています。 250ccクラスの単気筒エンジンに比べコンパクトさと軽量さで上回る このパワーユニットによって、軽快な取り廻し性がさらに高められました。

 あらゆる走行条件に対応し、安心して扱えるエンジンであるためには、 極低回転域からの粘り強さ、トルクフルな出力特性が必要なことはもちろん、 高回転時のパワー感と伸び感も重要な要素と考えました。

 SL230のパワーユニットでは、ボア×ストロークを決定するにあたって この相反する2つの特性の最適なバランスを求め、ボアφ65.5mmに対し、 ストロークの方が長い66.2mmに設定し、近年では異例ともいえる ロングストロークのエンジンとしました。

 駆動部は、クランク系のマスをXLR200Rに対し約30%大きくとり、 250ccクラスと同等とすることによって、発進時や極低回転時にも 回転が安定してスムーズな乗り味を実現し、アクセルやクラッチの操作感に 優れた扱いやすいエンジン特性としています。

 また、フリクションの低減を図るため、ピストン、コンロッド等、 往復部の徹底した軽量化を行い、さらにピストンリングはトップとセカンドに 0.8mm、オイルリングに1.5mmという薄幅リングを採用。なめらかな出力特性と しています。

ピストンリング
ピストンリング
エンジン

ボア・ストローク ボア・ストローク

 点火系は、バルブタイミング、バルブリフト量、点火時期を最適化し、 トルクフルでありながらも高回転域まで必要にして十分のパワーを発揮する 出力特性とするとともに、吸気系には、アクセル操作に対してリニアリティに 優れるCV型キャブレターを採用。必要なときに必要なだけの出力を発揮し、 ライダーの意のままにコントロールできるパワーユニットとしています。

 クラッチは、ディスクフェーシング材を見直すとともに、オイル供給量を コントロールしクラッチミートの際のなめらかなつながり感を実現しています。
 さらに、ニードルベアリング採用のレリーズアームによるクラッチレバーの操作性と、 シフトチェンジペダルの操作力の低減とあいまって、軽やかな発進と軽快な シフトチェンジを可能としています。

 ミッションレシオは、歩くような速度から高速走行までスムーズな走行が可能な ワイドレシオの6速ミッションを採用しています。フラットなトルク特性とあいまって、 頻繁なシフトチェンジを要求しない落ち着いた走り味を実現しています。

出力特性図  
出力特性図 
  車速・駆動力線図
車速・駆動力線図

エアクリーナー
 エアクリーナーは、エンジンのあらゆる回転域に対し必要かつ十分な空気の供給が可能な 3.4Lの大容量タイプとしています。また、取付部などに金属部品を全く使用しないなど、 徹底して軽量化を図っています。
 エアクリーナーエレメントは、優れたフィルター性能と長いメンテナンスインターバルを 確保するためにビスカス式エレメントを採用。さらに工具類を一切使わずに着脱を可能とし、 交換時のメンテナンス性に配慮しています。

エアクリーナーエレメント装着  
エアクリーナーエレメント装着 
 エアクリーナーエレメント非装着
 エアクリーナーエレメント非装着

エキゾーストマフラー
 エキゾーストパイプは、シリンダー取付部から300mmの間を2重管構造とすることに よって等価管長を長くとり、低・中回転域でのフラットなトルク特性と、 高回転域でのスムーズな伸び感を実現させました。
 マフラーは、3室膨張型構造のマフラーの第1膨張室をマフラー後部に位置させる ことによって、エキゾーストパイプの外部長を短くし、すっきりとした外観デザインと しています。
 これらによって、静粛性を保ちながらも加速時には歯切れのよいエキゾーストサウンドを 奏でるとともに、外観デザインもオールステンレス製のマフラーおよびカバーを 採用することで、従来のデュアルパーパスモデルにはなかった高品位な排気系と しています。

マフラー断面図
マフラー断面図



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