Fit
- 2001.06
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【高い燃焼圧力による高トルク化】 ボア径を小さくし、なるべく表面積の少ない燃焼室としたうえで2点点火することによって、急速に、しかも隅々までしっかり燃焼。短時間で大きな燃焼圧力が発生するため、圧力をより多くピストン押し下げ力に活かすことができ、極めて高いトルク性能を実現しています。 【HCの低減】 隅々まで燃焼させることで、より完全燃焼に近づき、燃焼ガスそのものに含まれるHCを低減します。 【ノッキング制御】 ノッキングは、プラグからの火炎伝播がまだ届いていない未燃焼混合気が自発的に着火してしまう現象で、圧縮比・燃焼圧力を高めるほど起こりやすくなります。i-DSIシステムは、徹底した急速燃焼で未燃焼混合気が自発着火する前に火炎伝播を完了させ、ノッキングを抑制。レギュラーガソリン仕様としては極めて高い圧縮比を実現し、燃費・トルクの大幅な向上を達成しています。 【大流量電動EGRによる低燃費化】 2点点火の急速燃焼では、1点点火に比べ、より大量のEGR導入が可能となり、大幅なポンピングロス(吸入抵抗損失)低減を実現。低燃費に大きく貢献しています。 |
1.3Li-DSIエンジン性能曲線図 |
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ピストン上死点時に対し、早く(進角)点火するか、遅く(遅角)点火するかを制御する「ピストン運動と点火時期の位相コントロール」。2個のプラグを、近いタイミングで点火させるか、離れたタイミングで点火させるかを制御する「2プラグの位相差点火」。この2つの制御が自由に設定できるため、エンジン回転と負荷に応じた最適な燃焼速度を実現しています。 ■フルスロットル時点火制御イメージ 【低回転域=燃費・トルクベスト (吸気側進角点火/排気側遅角点火)】 位相差点火ならではの早いタイミングで吸気側プラグを点火し、続いて排気側を遅角点火させてノッキングを抑制。これにより低回転域での低燃費とトルクフルな特性を獲得しています。 【中回転域=燃費・NVベスト(排気側遅角点火)】 吸気側を進角点火後、過度な燃焼速度の上昇を抑えるために、排気側をより遅角点火。燃焼圧力の低下による、燃費・トルクの損失を最小限に抑えながら、高いNV性能を実現しています。 【高回転・高負荷域=出力・トルクベスト (吸気側/排気側進角点火)】 瞬発力を高めることを優先し、吸気側・排気側ともにほぼ同時に進角点火。最大の燃焼圧力を得ることで高出力・高トルクを発揮します。
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エンジン各部のフリクションを低減し、燃費性能をさらに向上。 |
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〈世界初ピストンスカート二硫化モリブデン(MoS2)ショット〉 摩擦抵抗の小さい高純度のモリブデン微細粉を、ピストンスカート表面に打ち込み低μ化。大幅なフリクション低減効果を得ています。 〈イオンプレーティング・ピストントップリング〉 ピストンオイルリングに加え、トップリングにも窒化クロムを蒸着させた特殊鋼を採用。通常のクロムメッキに対してフリクションを大幅に低減しています。 〈ブレードスプリング・カムテンショナー〉 通常のカムチェーン駆動の場合、テンショナ−は油圧で一定の張力を保っています。これに対しブレードスプリング・カムテンショナーは、板バネを5枚重ねたブレードが直接チェーンを押しつけて張力を保つため、シンプルで油圧も不要。しかも必要以上の張力をチェーンに与えてしまうこともなく、チェーンのフリクション低減に効果を発揮しています。 〈2モードクーリングシステム〉 エンジンの冷間時と暖機時で冷却水の流れを切り替えます。冷間時はシリンダーヘッドだけを冷却してブロックの暖機を早め、同時に油温も早期に適正化させてフリクションを低減。エンジンが暖まった状態ではノッキングを抑えるためにシリンダーヘッドを先に冷却し、やや暖められた冷却水をブロック側に流すことでフリクションをも低減しています。 |
2モードクーリングシステム作動比較図 |
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〈オフセットシリンダー配置〉 〈ローラーロッカーアーム〉 〈低張力ピストンリング〉 〈メインメタル/コンロッドメタル条痕化〉 〈サーペンタイン補機駆動〉 |
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開発スタッフから… エンジン篇 素性のいい燃焼室で急速燃焼 2プラグシステム自体は他のクルマにもあります。 もともとの考え方は大径ボアの燃焼のしにくさをリカバーするというところにあったと思われます。 しかし、i-DSIエンジンの特徴は、 燃えやすい燃焼室をはじめとするエンジン骨格を使ったうえで、 さらにツインプラグシステムを加えて燃焼の極限を 目指したところにあります。 燃費や出力の目標はエンジンの基本骨格がしっかりしていないとなかなか到達できません。 i-DSIエンジンはツインプラグシステムが注目されがちですが、コンパクト燃焼室であるとか、 フリクション低減であるとか、基本骨格の優位性が、実は非常に大切なところなのです。 |
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