NSX - 1995.03

NSX
NSX

1995 NSXの新技術





新技術によるパフォーマンスを支える
007-001

ボディについても徹底的に性能向上を図り、様々な新技術によるパフォーマンスの進化をさらに高度なものとしています。
そのひとつが、今回タイプTの開発によって強化されたボディ部材を取り入れ、剛性を大幅に高めた点です。
さらに、オーバーハングウエイトを減らすべく、新たにリアバンパービームをアルミ化。ヨー慣性を減少させ運動性能向上に寄与しています。また、このアルミ化による重量軽減は、他の細かな軽量化とともに、強化ボディと新技術搭載による重量増を防ぐという大きな成果を上げました。こうしたボディの進化は、ビークルダイナミクスを高めるために大きく貢献しました。

ボディ強化の主な項目

 

1.

フロントピラーとサイドシル統合部の板厚アップ

 

2.

センターバルクヘッドをはじめとしたエンジンルーム回りの板厚アップ

 

以上のボディ強化により、ねじれ剛性が5%アップ(重量は4kg増)

ボディ軽量化の主な項目
  リアバンパービームのアルミ化

-2.5kg

  DBW採用にともなう補器類の統合および廃止  

-3.0kg

  パワーステアリング・ユニット統合

-1.9kg

  スターターモーター小型化

-1.0kg

 

エンジンルーム・ファン廃止(MTのみ)

-2.4kg


ボディ強化の主なポイント


ボディ強化の主なポイント

ボディ強化の主なポイント
t=板厚/単位mm



'95年NSX、その他の仕様変更点

フロントブレーキのスプラッシュガードにベンチレーションホールを追加
フロントディスクブレーキのスプラッシュガード(泥・水よけ)に5つの穴を開け、冷却効果を高めました。

エキゾースト・フィニッシャーのデザインを変更
エキゾースト・フィニッシャーのデザインを丸形スラントカットのスパルタンなデザインに変更しました。

エキゾースト・フィニッシャー エキゾースト・フィニッシャー



独自の技術進化で新たな価値を創造する
ツインオtレッドタイヤ
 Twin Tread Tire

ロードコンディション・アダプタビリティ(環境適合性)を向上させる上で、路面と接するタイヤは重要な役割を果たします。
「高性能と快適性の高レベルでの融合」という目的を、独自のアプローチで実現するNSXは、タイヤにも究極のパフォーマンスを求め開発を行ってきました。その開発の一つのアプローチとして本年、「高いドライ性能と優れたウエット性能を両立」するNSX専用の新タイヤ、ツイントレッド[ポテンザTT-01]を長い基礎研究を経て実現させました。
TT-01は、幅狭タイヤの優れたウエット走破性のメリットを導入すべく、左右にトレッド面を分割した構造をもっています。その構造により、ウエット走行時に高い安心感と安定性を実現するものです。さらに独自のベルト構造により、ドライ走行時でも標準タイヤに近い運動性能を実現。集中的な雨により発生するヘビーウエットの状態に適合しながら、よりフレキシビリティに富んだ高い性能を発揮します。
このタイヤは、そもそも高旋回Gを実現する高性能タイヤの研究の中から生まれました。高旋回Gを得るには、タイヤ幅が広がる方向へと向かいます。そのとき、優れたウエット走破性を確保するアイディアとしてこのツイントレッド形状が発案されたのです。
NSXでは、この新たな価値を創造したツイントレッドタイヤ[ポテンザTT-01]を、カスタムオーダープランによるオプションタイヤとして設定しました。


サイズ:フロント215/45ZR16、リア245/40ZR17
フロント215/45ZR16、リア245/40ZR17
ツインレッドタイヤノコンセプト概念図


ツイントレッド構造を実現したコンケーブベルト
TT-01のキーテクノロジーは、中央を湾曲させたコンケーブベルト構造にあります。この構造により、左右のトレッドに十分な高さを与えることが可能となりました。また、しっかりと固められたベルトが横方向の入力を強固に受けとめ、大幅に剛性を高めたビード部が十分な縦バネ強さも確保。優れた運動性能を実現します。さらに、標準タイヤに近い接地面積を確保したトレッド面は、ツイン形状によりウエット性能が確保されているためスリックライクなパタンの採用が可能となり、ドライでの高いグリップ力が実現されました。
これらの技術により、摩耗後期においても優れた排水性が確保され、標準タイヤに近いドライ運動性能を実現しました。なお、ドライ性能の最終的な絞り込みは、ドイツ・ニュルブルクリンクにおける徹底的な走り込みによって行われました。

ツイントレッドパタン図

ツイントレッド内部構造



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