NSX - 1990.09

NSX

NSX
 
MIDSHIP


フロント42:リア58の、
M・R方式として理想的な前後重量配分をもたらした
V型6気筒・横置・トランスミッション側方配置。
*1名乗車時
高い基本性能をもつM・R方式を採用したうえで、次に重要なのは、その資質をいかに高度なシステムにまとめあげていくか、にあります。その核となるのが、エンジンとトランスミッションのレイアウトです。
ホンダは、軽量でコンパクトでありながら、人間のための充分な居住スペースと、衝突時の安全が確保されることを最重要視し、様々なレイアウトに挑みました。
その結果導きだされた回答は、エンジンを横置とし、さらにミッションをその側方に直結させた、シリーズ配置とすることでした。同時に、フューエルタンクも、空・満タン時の重量配分変化が最も少なく、充分な容量が確保でき、しかも耐衝撃性に優れたボディ中央に配置しています。これにより、ボディサイズにムリがなく、しかも低重心で、前後重量配分に優れたM・R方式が完成。制動力が働いた時、前後のブレーキ配分が限りなくフロント50:リア50に近づく、理想的なシステムが可能となりました。

《M・R方式のパッケージング》
V型6気筒・横置・トランスミッション側方配置
NSXが採用したレイアウトです。
ミドルサイズのスポーツカーとして、適切な全長、ホイールベース、居住空間が得られます。

V型6気筒・横置・トランスミッション側方配置

V型6気筒・縦置・トランスミッション後方配置
(デフ・エンジン側)
ホイールベースが小さくなり、操縦安定性で不利になります。また、重心位置が後方寄りになるため、前後の重量バランスの面でも不利になり、トランクスペースとクラッシュゾーンを同等に確保するためには全長が増加してしまいます。

V型6気筒・縦置・トランスミッション後方配置(デフ・エンジン側)

V型6気筒・縦置・トランスミッション後方配置
(デフ・ミッション側)
ホイールベースが大きくなることと、トランクスペースとクラッシュゾーンを同等に確保するためには全長が大幅に増加してしまいます。

V型6気筒・縦置・トランスミッション後方配置(デフ・ミッション側)

V型6気筒・縦置・トランスミッション前方配置
(デフ・エンジン側)
ホイールベースがやや大きくなるうえ、トランクスペースとクラッシュゾーンを同等に確保するためには全長が増加してしまいます。
また、フューエルタンクの容量を確保するためには、トランスミッションの左右にフューエルタンクを振り分けるツインタンク方式にせざるを得ません。

V型6気筒・縦置・トランスミッション前方配置(デフ・エンジン側)

《フューエルタンク位置と重量配分》
NSXは、ミッドマウント・フューエルタンク。
下図(1)と(4)の位置では、グラフのように、ガソリンの残量によって2%程度、重量配分が変化してしまいます。また、対衝突性の点で不利です。一方、(2)の位置では、フューエルタンクの容量そのものが小さくなり、これを大きくとろうとすると、今度はボディ全体の幅が広がってしまいます。
そこで、重量配分変化が小なく、対衝突性に優れ、しかも70Lの大容量を確保できる(3)の位置にレイアウトしました。

《フューエルタンク位置と重量配分》

《フューエルタンク位置と重量配分》




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