CONCERTO - 1988.06

CONCERTO


CONCERTO
 
INTRAC & 4AT

■INTRAC
駆動性能の飛躍的進化をコンパクトなメカニズムで実現。
左・右トルクスプリット型V.C.。

イラスト:4ドア イントラック JX-i
イラスト:4ドア イントラック JX-i


前・後輪、後左/右輪に駆動力を最適配分。
左・右トルクスプリット型V.C.
(ビスカス・カップリング)。
イントラックに導入した左・右トルクスプリット型V.C.は、後車軸中央に、従来のリア・デファレンシャルギヤに代えてビスカス・カップリングを左右に2個配した形のユニークなメカニズムです。ハイポイトギヤを介してプロペラシャフトにつながる左右一体のハウジングと、左右のドライブシャフトにつながる、中央で分断されたインナーシャフトから成り、ハウジング内部には、ハウジング側にそれぞれ37枚(計74枚)、インナーシャフト側にそれぞれ36枚(計72枚)のプレートが取りつけられています。このプレートが、内部に封入されたシリコンオイル(粘性度60,000cst=センチストーク、体積率約90%)を剪断する際の抵抗により、左/右輪に独立して駆動力を伝達。路面変化や走行状態の変化によって生じる前・後輪および後左/右輪の回転差に応じ、瞬時に自動的に、駆動力の最適配分を行う、センタービスカス・カップリング機能、リアデフ機能、リアLSD(リミテッドスリップデフ)機能の3つの働きを持っています。きわめてシンプルでコンパクトながら、3つの優れた機能を1つに集約した左・右トルクスプリット型V.C.。4WDの能力をより高い効率で発揮させる、高度なトラクションコントロールシステムです。

左・右トルクスプリット型V.C.の3つの優れた機能。
左・右トルクスプリット型V.C.の3つの優れた機能 センタービスカス・カップリング機能 通 常走行では前輪と後輪がほぼ同回転となるため、ハウジングとインナーシャフトも同様に同回転となり、駆動力は伝達されず、基本的にFF状態です。ところが、前輪が空転しやすい状態になると、前・後輪に回転差が生じ、ハウジング側とインナーシャフト側のプレート間にも回転差が生まれます。すると、剪断抵抗が発生。すかさず後輪にも駆動力が伝えられて4駆状態になり、前・後輪の回転差が増すほど、後輪へ伝達される駆動力が増大していきます。路面 の状況に合わせて、必要なとき、必要なだけ、瞬時に、なめらかに、そしてバリアブルに4駆状態にするわけです。 また、前輪と後輪が直結した4WD(フルタイム4WDではセンターデフロック状態、パートタイム4WDでは4WD状態)で問題となる、低速タイトコーナリング時のブレーキング現象も、ビスカス・カップリングが回転差を吸収し、発生することがありません。
リアデフ機能  左・右トルクスプリット型V.C.が配置されている位置から、デファレンシャルギヤが消えました。左/右独立して作動するインナーシャフトの働きにより、コーナリング時には、スムーズに曲がるためのデファレンシャル機能を果たします。これにより、4WDシステムとしてシンプル、コンパクトとなり、大幅な軽量化も実現。走行性能の向上に寄与しています。
リアLSD(リミテッドスリップデフ)機能 後左/右輪に、それぞれ独立して駆動力伝達されているため、一般のデフで起きるような、片側車輪が空転を始めると空転している側に駆動力が集中し、もう一方の側に駆動力が伝達されなくなるといった現象がありません。後左/右輪で路面のμが異なっていても、それぞれの路面状態に応じて適切な駆動力が伝達され、LSDと同様の効果が得られます。また、メカニカル式のLSDに比べて、その効果がスムーズに発揮されるのも、優れたポイントです。しかも、これらの巧みなコントロールを、ドライバーが何の操作もすることなく、自動的に行うため、ごく自然に高性能な走りを楽しむことができます。

ビスカス・カップリング 高性能ホンダ4WDの核。オリジナル設計 ビスカス・カップリング。
リアルタイム4WD、そして新開発イントラック。ホンダ4WDの驚くほどの走破性と、使いやすさを生む核となるのがビスカス・カップリング(Viscous Coupling)。きわめて粘度の高いシリコンオイルの粘性を利用して駆動力を伝えるメカニズムです。その構造は、大きく分けて、入力側のハウジングと、出力側のインナーシャフトから成り、ハウジング内には、それぞれに円盤状のプレートが交互に接触することなく取りつけられています。この内部にシリコンオイルを封入。プレートがシリコンオイルを剪断する(はさみ切る)際に生じる抵抗によって、バリアブルに変化する駆動力伝達装置として機能させているのです。つまり、入力側と出力側が同スピードで回転している場合には、剪断が起きないため、駆動力は伝達されません。しかし、回転差ができると剪断抵抗が発生。駆動力となって瞬時に伝えられます。剪断抵抗は剪断力が強く働くほど大きくなるため、回転差が増大するにつれて伝わる駆動力も大きくなるわけです。このビスカス・カップリングは実にシンプルでコンパクト。しかし、その効用はまさに新世代4WDメカニズムと呼ぶにふさわしい画期的なものです。ホンダは、ビスカス・カップリングの研究・開発を独自にすすめ、ハウジング、プレートなど、細部に至るまですべてオリジナルで設計。優れた性能、精度、耐久性を実現しています。

もう一つの高性能。リアルタイム4WD。(JL、JX-i)
コンチェルト4ドアセダンには、新開発イントラックに加え、4WDをもうひとつ用意しました。シビック・シリーズに搭載し、すでに高い評価をいただいている、センタービスカス・カップリング方式のリアルタイム4WD。前輪と後輪を結ぶプロペラシャフトの中間に配置したビスカス・カップリングが、路面変化に瞬時に対応して駆動力を前・後輪に最適配分。もちろん、ドライバーには何の面倒な操作も必要としない、ビスカス・カップリングの特性を存分に生かした、高性能4WDメカニズムです。JX-iには、新機構ローホールド機構付のオートマチック・トランスミッション搭載車も設定。ライフスタイルに合わせた4WDがセレクトしていただけます。
REALTIME 4WD
イラスト:4ドア リアルタイム4WD JX-i
イラスト:4ドア リアルタイム4WD JX-i



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