Team Asia Report

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2017年シーズンレビュー 鳥羽海渡

2017年は、Honda Team AsiaでMoto3のデビューシーズンを戦った鳥羽海渡にとって、世界選手権の厳しい洗礼を受ける一年となりました。第2戦アルゼンチンGPで10位フィニッシュを飾ったあとは、中段以降のグループで本来の強さを発揮できず、激しく揉まれるレースが続きました。この厳しい一年で17歳の鳥羽はなにを学び、さらに強くたくましいライダーになるために、どんなことを吸収してきたのでしょうか。

「2017年は初年度で分からないことも多く、とても難しいシーズンでした。序盤戦はいい感じで上り調子だったので、この調子だと後半戦はトップ争いをできるようになるかと思ったんですが、そこからアップダウンが激しくなりました。サマーブレイク後には少しよくなりましたが、そこからまた苦戦するようになり、安定してリザルトを出せない厳しい一年になりました」

―シーズン前の予想と比べて、なにに一番苦労しましたか?

「一番苦労したのは、昨年乗っていたマシンとフィーリングが全然違う、ということでした。昨年のマシンに近づけようとしすぎたためにセッティングが決まらず、昨年のフィーリングを得るためのセッティングを探して、ぐるぐる回っていたところがありました。そこに苦労をして、結果を残せないままシーズンが終わってしまった原因になったのかな、とも思います」

  • 鳥羽海渡

―レースを始めてから、今までで一番苦しいシーズンでしたか?

「そうですね。こういう経験をしたことはありませんでした。どちらかというと、今まではとんとん拍子で進んできました。全日本でも、ある程度は結果を残すことができました。FIM CEV Repsol選手権やMotoGPルーキーズカップでも、初年度はそれほどいいリザルトではありませんでしたが、いい結果を出せたときもありました。こんなに苦労したのは今年が初めてだったので、抜け出し方がなかなか分からなかった、というのが正直なところです」

―思っていたような成績を上げられないレースが続くと、焦りを感じることもあったのではないかと思います。自分ではどうやってメンタル面をコントロールしてきたのですか?

「コントロールの仕方も分からなかったので、チーフメカニックやチームスタッフの皆がサポートをしてくれたおかげで、コントロールできたんだと思います。自信をなくさないことを明確にして、マシンに初めて乗ったときの楽しさも思い出して、前向きに努力を続けてきました。でも、いつもうまくコントロールできていたわけではなくて、やはり落ち込んでしまうときもありました。そんなときも、チームの皆に支えてもらってそこから上がってくることができました。例えば、ルーキーズカップやCEVで走った経験のあるコースでも、今年のほうがその当時よりタイムが遅くて結果を出せなかったりしたときは、自信をなくしたりもしました。でも、データを見れば、いいところも発見できるので自信を取り戻せる部分もあるし、自分が改善していかければならないポイントも分かって勉強にもなります。だから、結果が出ない年はつらいですけど、これを乗り越えたときに自分はもっと強くなれると思っています。それに、この苦しみを乗り越えれば、結果が出なかったときの対応のしかたも分かるようになるでしょう。今年、苦労したことは、絶対に今後につながるいい経験になると思います」

  • 鳥羽海渡

―CEVやルーキーズカップの時代も、欧州での生活やレースを多少は経験したと思いますが、こんなに長い期間をヨーロッパで過ごしたのは今年が初めてですね。ヨーロッパの生活はどうですか?

「ヨーロッパの生活や雰囲気や食事は、とても気に入っています。でも、今年は日本との往復が続いたので、飛行機に乗っていた時間もとても長かったですよ(笑)。移動時間が長いとトレーニングできない時間も長くなるので、そこはヨーロッパの選手たちと比べると不利な部分かな、とも思います」

―ライダー鳥羽海渡の、長所と短所はどこだと思いますか?

「自分では分からないですよ(笑)。そうですね、ライダーとしては、バトルには強いほうだと思います。多少の接触になっても、気持ちで負けることはありませんね。短所は、コンディションが変わると慎重になりすぎる部分があるところかもしれません。今年苦戦した理由の一つは、その辺りにもあるとも思います」

  • 鳥羽海渡

―では、2018年シーズンの目標を教えてください。

「目標は、チャンピオンを獲ることです。Moto3でチャンピオンを獲った選手は、2年目には必ず結果を出しているので、僕も来年はしっかりいい結果を出せるようになりたいと思います。そのためにも、このオフシーズンの間は自分を追い込んで、しっかりとトレーニングに励みます。技術的に、自分には上位で争えるだけのポテンシャルがあると信じています。そのためにも、2017年の苦労はとても多くのことを学ぶ経験だったと思います」