HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート

2017.04.26 Vol.166 Round 03
HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート

好相性のオースティンでRepsol Honda Teamが今季最高の結果を手にする

南アメリカから北アメリカへと舞台を移した第3戦アメリカズGPは、Repsol Honda Teamにとって今季最高の結果となりました。今季2度目のポールポジション(PP)を獲得したマルク・マルケスが、決勝でもすばらしい走りをみせて今季初優勝を達成。2013年に始まったサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)のアメリカズGPでは5年連続ポール・トゥ・ウインという快挙を達成しました。

開幕戦カタールGPではタイヤ選択ミスにより4位。第2戦アルゼンチンGPでは、タイヤ選択も決まり序盤から快走しましたが、痛恨の転倒でリタイア。フリー走行、予選の走りをなかなか結果につなげられない苦しい戦いが続きました。しかし、今大会はHonda RC213Vのパフォーマンスをフルに発揮することに成功し、過去2戦の悔しさを晴らすことになりました。これでマルケスは、総合8位から3位へと一気にランクを上げてチャンピオン争いに加わりました。

今大会を終えてマルケスは史上最多記録を更新中のPP記録を「67」(MotoGP/39回)とし、優勝記録でも歴代6位は変わりませんが56勝(MotoGP/30勝)としました。

チームメートのダニ・ペドロサも今季初表彰台を獲得。開幕戦ではタイヤの選択が決まらず5位。第2戦アルゼンチンGPでは転倒リタイアに終わりました。今大会はフリー走行から好調で、予選ではフロントローをわずかの差で逃す4番手でしたが、決勝では好スタートを決めてから8周目までトップを快走しました。

その後、チームメートのマルク・マルケスに首位を譲りますが、Repsol Honda Teamのランデブー走行は変わりませんでした。しかし、ラスト3周になり、追い上げてきたバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)にかわされて3番手へ。この時点でフロントタイヤの消耗に苦しんでいたペドロサはポジションをキープする走りに切り替え、21周を確実に走り切って3位でフィニッシュしました。

3年ぶりにアメリカズGPで表彰台を獲得したペドロサ、3年ぶりのRepsol Honda Teamの1-2フィニッシュは果たせませんでしたが、今季初めてRepsol Honda Teamの2人が揃って表彰台に立ち、チームのムードは大いに盛り上がることになりました。ペドロサも総合10位から6位へと浮上。マルケスとともに序盤の遅れを取り戻す戦いに挑みます。

前戦アルゼンチンGPでは両選手ともに転倒を喫し、Repsol Honda Teamにとっては、3年ぶりのゼロポイントレースとなっていました。その悔しさをぶつけ、雪辱を果たすレースとなったアメリカズGPをリビオ・スッポ監督が振り返ります。

―今季初優勝、そしてRepsol Honda Teamの2人が揃って表彰台に立ちました。アメリカズGPのレース戦略はどういうものでしたか?

「マルクはフロントにハードタイヤを選んだので、序盤はあまりプッシュしすぎず、タイヤの動きを理解するようにしました。そのあと優勝に向けてプッシュする作戦でした。彼はすべてを完ぺきにこなし、5度目のオースティンのレースで、5度目の勝利を獲得しました。ダニはミディアムフロントタイヤを選択したので、終盤になっても安全に走れるように、序盤はあまりタイヤにストレスを与ない戦略でした。彼はすばらしい仕事をしましたが、残念ながら2番手をキープできませんでした。しかし、表彰台を獲得するというのはいつだってポジティブな結果です」

―今大会はすばらしい結果でしたが、ポジティブポイントと、もしネガティブポイントがあるとすればなんでしょうか?

「ポジティブなことはもちろんダブル・ポディウムですね。なぜかHondaはいつもアメリカでは非常に強く、こうした“伝統”が続いていることをとてもうれしく思っています。正直、ネガティブな点は今大会はなにもありませんでした。もちろんRepsol Honda Teamの1-2フィニッシュだったらよかったのですが、マルクもダニもすばらしい仕事をしてくれたので、とてもうれしいです」

―レース中、ピットウォールから見ていて、どんな気持ちでしたか?

「2人ともすばらしいスタートを切ることができたので、とてもうれしかったです。彼らが1周目からレースをリードするのを見ているのはとてもいいものです。そして、マルクがダニをオーバーテイクしたとき、彼は快適に走っていたし、ギャップをさらに広げようとしていることは明らかでした。ダニが、バレンティーノの前のポジションを守るリズムを最後までキープできたかどうかの判断は難しいです。なぜなら、気温が高くなればなるほど、彼のフロントタイヤは厳しくなる傾向はありましたからね」

―この件については先ほども語っていますが、マルクはこれで5年連続ポール・トゥ・ウインを達成しました。このコースを得意とするのはどんな理由があるのでしょうか?

「正直、それは難しい質問です。いろいろな要因が重なったからかもしれません。左コーナーとハードブレーキングが多いというサーキットの特徴がマルクのスタイルの非常に合っていることもあります。また、RC213Vもサーキットと相性がいいのでしょう。それはダニが表彰台に上がり、カル(クラッチロー、LCR・Honda)が4位を獲得したことでも証明しています。マルクの快走については、もしかしたらマルクとアメリカとの間になにか特別なものがあるのかもしれませんね。彼はラグナセカやインディアナポリスを含み、この国で走ったすべてのレースで優勝していますからね」

―今大会のサイドストーリーがあれば教えてください。

「元HRC取締役副社長の中本さんがオースティンを訪問してくれました。彼は来週定年を迎えます。中本さんが表彰台に上がってコンストラクターズトロフィーを受け取るのを見て、私たちは全員とてもうれしい気持ちになりました」

アメリカズGPで5年連続ポール・トゥ・ウインを達成したマルケスは、13年にMotoGPクラスにデビューして以来、COTAを始め、ラグナセカ、インディアナポリスと9戦全勝というすばらしい結果を残しました。マルケスにとっては、相性のいいアメリカで、序盤2戦の悪い流れに終止符を打ち、2年連続4度目のチャンピオン獲得に向けてやっとスタートを切ることになりました。チームメートのペドロサも久しぶりにトップを快走するレースでモチベーションは上げています。

さらに、カル・クラッチローがアルゼンチンGP3位、アメリカズGP4位と好調をキープ。ジャック・ミラー(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は3戦連続トップ10フィニッシュを果たし、チームメートのティト・ラバトも3戦連続ポイント獲得と、これからを期待させる結果を残してきました。

次戦からは、いよいよヨーロッパラウンド。その初戦は、Repsol Honda Teamにとって、そしてマルケスとペドロサにとってはホームグランプリとなります。地元ファンの熱い声援の中で、2戦連続優勝と2戦連続での2人揃っての表彰台に挑むことになります。

» アメリカズGP レポート

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