Honda Riders Close Up ~ワークスマシンを駆って、世界に挑むライダー~

Moto3 トニ・アルボリーノ SIC58 Squadra Corse

Moto3 トニ・アルボリーノ SIC58 Squadra Corse
Profile
生年月日
2000/08/03
出身地
イタリア
身長・体重
168cm・59kg
チーム(マシン)
SIC58 Squadra Corse(NSF250RW)
2016年の成績
FIM CEV レプソルインターナショナル選手権
Moto3 総合9位

今シーズンからMoto3世界選手権に参戦する16歳のトニ・アルボリーノが、初めてバイクにまたがったのは、4歳のときのことです。

「ミニバイクでした。2009年にはミニバイク選手権でチャンピオンになり、2011年にはMiniGP50でベストルーキーを獲得しました。13年に、CIV(イタリア選手権)のPre GP 125 2Tに参戦してチャンピオンを獲得し、翌年の14年からこのチーム、SIC58 Squadra Corseに加わることになったんです」

この年は、Pre Moto3 125 2Tにエントリーし、初年度ながらチャンピオンを獲得するすばらしい走りを披露。そして翌年には、CEVレプソルインターナショナル選手権のMoto3クラスへ挑みました。スペインのサーキットを中心に、ポルティマオ(ポルトガル)やルマン(フランス)など、欧州を転戦するこの選手権への参戦初年度は、アルボリーノにとって初めて体験する試練のシーズンとなりましたが、最終戦のバレンシアでは4位に入賞し、年間ランキングを12位で終えました。CEVへの参戦2年目となる16年は、第4戦カタルニアの第2レースで2位表彰台を獲得。そして第7戦のヘレスでは、第2レースでついに優勝を果たしました。

「最終戦のバレンシアでも、レースでトップグループを走行していたのですが、転倒してしまい、すごく悔しい思いをしました。でも、このシーズンはとても有意義で、楽しい一年になりました」

世界選手権へステップアップした17年シーズンは、「ルーキー・オブ・ザ・イヤーを狙って、可能であれば表彰台も目指したい」と話します。「このチームでレースに参戦するのは今年で4年目です。担当してくれるメカニックたちはずっと同じ顔ぶれなので、彼らとのコミュニケーションもバッチリだし、なにより、チームマネージャーのパオロ(シモンチェリ)は本当の父のようで、すごく頼りがいのある人なんです」

さらにアルボリーノは、「このチームに在籍することは自分にとって特別な意味があること」とも語ります。「なぜなら僕はイタリア人ですから。マルコ・シモンチェリ選手と縁が深いこのチームで世界選手権を戦えるのは、すごく名誉なことだし、誇らしく感じています」

マルコ・シモンチェリ選手が、レース中のアクシデントで命を落としたのは、11年のことでした。当時、アルボリーノはわずか11歳の少年でした。

「当時はまだ子どもだったので、正直なところ、マルコのことをそんなにはっきりとは憶えていないんです。でも、DVDやビデオの映像で彼の走りは何度も繰り返し見ました。コース上ではいつでも攻めの姿勢を貫き、全力で戦っている姿がとても印象的です。そして、いったんコースを離れると笑顔を絶やさない、とても魅力的な人でした。僕は残念ながら彼と話をしたことはないのですが、彼のライディングも性格も、本当に大好きです」

では、アルボリーノがいつの日か、“次なるマルコ・シモンチェリ”になる日が訪れるのでしょうか。

「どうでしょう。僕とマルコの性格は、似ているところもあると思います。将来がどうなるかなんて、もちろんだれにも分かないことですよね。でも、どんなことだって不可能じゃない。僕はそう思っていますよ」