Honda Riders Close Up ~ワークスマシンを駆って、世界に挑むライダー~

Moto3 ロマーノ・フェナティ Marinelli Rivacold Snipers

Moto3 ロマーノ・フェナティ Marinelli Rivacold Snipers
Profile
生年月日
1996/1/15
出身地
イタリア
身長・体重
165cm・62kg
チーム(マシン)
Marinelli Rivacold Snipers(NSF250RW)
2016年の成績
Moto3 総合10位
Vol.2

予測のつかないバトルが人気のMoto3クラスのなかでも、5番のゼッケンナンバーはいつもトップグループで激闘を繰り広げています。そのゼッケンをつけるライダー、ロマーノ・フェナティ(Marinelli Rivacold Snipers)はホームグランプリの第13戦サンマリノGPで圧倒的な優勝を達成しました。ここまでの成績は、今回の勝利を含めて、優勝2回、2位5回という成績でランキング2位につけています。そのフェナティが、チームとともにMoto2クラスへのステップアップを発表したのはシーズン前半戦を終えた7月下旬のことでした。

「Moto2クラスへのステップアップなんて、最初はすべて冗談だと思っていたのですが、皆がどんどんその気になっていきました。そして、スポンサーのおかげで、このすばらしい発想を現実のものにすることができました。僕たちは全員が大きな家族で、皆が揃ってこの新しいプロジェクトに参加できるのはとてもハッピーです。これからの新しい挑戦が本当にたのしみです。最高の形でスタートを切るためにも、今年は最高の形で締めくくりたいと思っています」

そうして迎えた後半戦の端緒となるチェコGPでは、2番グリッドからスタートして2位でゴール。4戦連続の表彰台という充実したリザルトになりました。続くオーストリアGPはやや苦戦しましたが、第12戦イギリスGPでは今季初のポールポジションを獲得。

「今年初めてのポールポジションなのでとてもうれしいです」とフェナティは、その喜びを語りました。「マシンのセットアップも仕上がっているので、完ぺきな状態です。予選では戦略がうまく決まり、最後にトップタイムを記録できてラッキーでした。マシンも僕自身のフィーリングも上々なので、明日は限界まで攻めることができると思います。決勝ではスタートをしっかり成功させて、序盤から攻めのレース運びにし、ホアン(ミル:Leopard Racing)とのポイント差をがんばって詰めたいです」

日曜日の決勝レースはいつものような大混戦になり、フェナティは優勝選手から0.678秒差でゴールラインを通過しましたが、順位は7位で終えることになりました。この接近した争いこそが、Moto3クラスの難しさだといえるでしょう。

続く第13戦はサンマリノGP。今年2回目のイタリア大会で、フェナティのホームグランプリです。ムジェロサーキットで開催された第6戦イタリアGPは13位という不本意な結果に終わっただけに、今回はぜひとも最高のリザルトを獲得したいところです。

金曜日と土曜日は、好天に恵まれたミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリですが、日曜日になって天候が一転、朝から雨の一日になりました。非常にトリッキーなコンディションのレースでしたが、フェナティはその難しい状況下で実力を遺憾なく発揮しました。

3周目でトップに立つと、大勢の選手たちが次々と転倒するなかでハイレベルの安定した走行を続け、みるみる後続とのギャップを開いていきました。7周目には2位の選手に10秒差をつけ、その後も後続を引き離し続け、最後は28.594秒差で圧勝を飾りました。

「25ポイントを獲得できてよかったです。地元での優勝は、僕にとってもチームにとっても最高の勝利になりました。マシンはバッチリで、スタートからフィーリングよく走ることができました。コース上の水量が一定ではなかったので、後ろとの差をマネージするのが難しかったです。序盤は水が多く、途中で減ってきたのですが、再び雨が降って水量が増してきました。この厳しい展開で勝てて、ハッピーです。チャンピオン争いに生き残るためにも、次戦もいいリザルトを目指したいと思います。アラゴンも集中して臨みます。それにしても、ピットボードで〈残り16周〉という表示を見たときは……『なんて長いレースなんだ!』と思いましたよ」

この結果により、ランキング首位のホアン・ミルとフェナティのポイント差は61点になりました。シーズンの残りは5戦。逆転王座を狙うフェナティの戦いは、いよいよこれからが本番です。