Honda Riders Close Up ~ワークスマシンを駆って、世界に挑むライダー~

MotoGP ジャック・ミラー Estrella Galicia 0,0 Marc VDS

MotoGP ジャック・ミラー Estrella Galicia 0,0 Marc VDS
Profile
生年月日
1995/01/18
出身地
オーストラリア
身長・体重
175cm・70kg
チーム(マシン)
Estrella Galicia 0,0 Marc VDS(RC213V)
2016年の成績
MotoGP 総合18位
Vol.1

最高峰クラスで3年目のシーズンを迎えるジャック・ミラー(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は、開幕戦カタールGPを8位でフィニッシュしました。レースウイーク直前には開幕戦の展望について「プレシーズンテストは好調で、レースを想定したペースも上々だったので、いい走りを披露できると思います。つまらないミスをせずに完走して、トップ10圏内で終えられればハッピーですね」と語っていたミラーにとって、今回のレース結果は納得のいくものだったようです。

「プレシーズンテストの調子に、さらに勢いを乗せていけたことがうれしいです。走るたびにフィーリングがよくなっていきました。トップ10圏内で終えることができたのは、とてもポジティブです」そして、「チームと一丸になって獲得した結果です。戦えるマシンに仕上げてくれて、チームには本当に感謝しています」とも語りました。

この言葉からも分かる通り、ミラーは、2017年型RC213Vの持つ戦闘力についても、良好な手応えを得ています。開幕戦の舞台となったロサイル・インターナショナル・サーキットは、シーズン屈指の直線を有し、ライバル陣営にやや有利なコース特性と言えますが、今後戦っていくテクニカルなサーキットでは、Hondaのキャラクターを存分に発揮できるだろう、と話します。

「カタールGPはライバル陣営向きのコースなので、僕たちのマシンは少し苦戦する場合が多いですが、これからテキサスやヘレスなど、テクニカルなコースへ行くとHondaの特性を存分に発揮できると思います。車体のフィーリングはすごくいいし、いいベースセッティングも出せています。エンジンも気に入っています。今年のエンジンキャラクターは、昨年よりもスムーズで乗りやすく、扱いやすいんです」

昨年のミラーは、開幕前のトレーニングでケガを負ってしまったために、シーズンの滑り出しは厳しかったですが、順調に回復して少しずつ結果を残していきました。第8戦オランダGPで、難しいコンディションにもかかわらず初優勝を達成したことは、今だに皆の記憶に鮮烈に残っています。しかし、後半戦の第10戦オーストリアGPではケガを負ってしまい、以後数戦は思うような走りができずにフラストレーションがたまる日々を過ごすことになりました。

「ジェットコースターみたいなシーズンでした」。ミラーは、2016年シーズンをそう振り返ります。

「プレシーズンテストでケガをしてしまい、厳しいところからスタートしましたが、中盤戦に向けて少しずつ復調し、アッセンで優勝できました。さらに、次のザクセンリンクで7位でした。オーストリアはテストの手応えもよかったし、予選もまずまずでしたが、決勝日のウォームアップでタイヤが冷えていて転倒してしまいました。背中や手首、手の平、あと脚も少し痛めてしまい、また振り出しに戻る格好になってしまいました。でも、そこからシーズン終盤に向けて徐々に復調していき、最後の3レースはいい内容になりました。フィリップアイランドはすごくいいレースができたし、マレーシアとバレンシアもよかったです。シーズン最後をいいかたちで締めくくることができ、すべてがかみ合うようになってきました。今は体調も100%だし、フィーリングもバッチリです」

そして、今年のミラーは最高峰クラスでの3年目を迎えます。シーズンにかける決意と期待にも、並々ならぬものがあります。

「コースに出るときはいつだって、いいリザルトを目指しています。それが今後の契約にどう影響するかなんて、二の次です。後方のグリッドにいるのが、嫌なんです。でも、契約更新はもちろん励みにもなります。“さらに契約を延長したい”と思うことがモチベーションになりますから。僕はHondaで走り続けたいから、これからもしっかりといい結果を出し続けて、将来に向けた好材料にしたいです」

ところで、レースでいいリザルトを得るために、いわゆるゲン担ぎをする選手もいます。決勝レースで特定の色のアンダーウエアを着用したり、ピットアウトする際に特定の側の足から踏み出したりと、選手によってさまざまです。ミラーの場合も、なにかそういうものがあるのでしょうか。

「僕は特にないですね。あるとすれば、新しいレザースーツを着たときに、地面に寝転がってメカニックに引きずってもらうことくらいです。実際の話、ゲン担ぎはあまり好きではないんです。まず耳栓から着用するとか、グローブは必ず右から着けるとか、僕はそんなことは一切しません。さっさと着るものを着てしまうのが一番です」