Honda Riders Close Up ~ワークスマシンを駆って、世界に挑むライダー~

Moto3 ファビオ・ディ・ジャンアントニオ Del Conca Gresini Racing Moto3

Moto3 ファビオ・ディ・ジャンアントニオ Del Conca Gresini Racing Moto3
Profile
生年月日
1998/10/10
出身地
イタリア
身長・体重
175cm・62kg
チーム(マシン)
Del Conca Gresini Racing Moto3
(NSF250RW)
2016年の成績
Moto3 総合6位
Vol.1

2016年にMoto3クラスへのフル参戦を開始したファビオ・ディ・ジャンアントニオは、この年のルーキー・オブ・ザ・イヤーをわずか10ポイント差の次点で逃し、新人選手の中では2位でシーズンを終えました。それでも、年間総合ランキング6位という結果をみれば、デビューイヤーとしては間違いなく上々のリザルトだったと言えるでしょう。

ディッジャの愛称で親しまれているローマ出身の18歳の若者は、昨シーズンの転機になったレースはホームレースのイタリアGPだった、と振り返ります。

「その前のフランスGPは17位と振るわなかったのですが、ムジェロでセットアップが決まって2位に入り、そのあとのレースでも安定していい調子で戦っていくことができました」

母国グランプリで存分に力を発揮できたのは、その直前に行ったテストで良好な手応えをつかんだことが大きかったようです。

「ルマンのレース後、ミザノでテストを実施しました。このときにいいセットアップを見つけて、マシンのフィーリングが一気によくなりました。このシーズンはなにもかもが初めて尽くしだったので、いいマシンに仕上げることは僕にとってなによりも重要でした。たとえ新人でもマシンを信頼できれば、存分に攻めることができますからね。

世界選手権では、安定した成績を残すことがとても重要です。昨シーズンの僕は、ムジェロ以降のほとんどのレースを10位以内でフィニッシュし、ランキングでも上位に入ることができました。長いシーズンを、いつもトップ5やトップ10でゴールするためには、毎レース全力で走れるマシンに仕上げて、最善の結果を獲得し続けることが重要です。昨シーズンからは、その大切さを学びました」

今年のMoto3クラスは、ディッジャを含むHonda勢の選手たちが毎戦、激しい表彰台争いを繰り広げています。今シーズン、NSF250RW勢が強さを発揮している理由は、どこにあるのでしょうか。


「昨年はライバル陣営がとても速く、車体でもエンジンでも、Hondaは少し遅れを取っていたようです。でも今年は大きく進歩しました。エンジンがよくなり、スイングアームも改良されたので、昨年よりもトラクションをかせいで、いい加速を得ることができます。そしてなによりHondaマシンの長所は、スムーズに乗れるところです。旋回性もよく、意のままにマシンを操ることができます。これはライダーにとって、とても重要なことだと思います」

Moto3クラスでは毎戦、手に汗を握るバトルが続いていますが、その中で戦うディッジャは昨シーズン、自分の性格を「ディーゼル(スロースターターのような意)」に例えていました。それは今年も同じだ、と自己分析します。

「自分でも理由はよく分からないんですが、レースウイークの走り出しで、いつも僕は後方になってしまいます。でも、セッションを重ねるごとに少しずつよくなっていき、日曜日の決勝レースでは上位陣に食い込むことができます。だから、僕はやはりディーゼルなんですよ」

しかし、今年のディーゼルは、昨年以上に始動性がいいようです。開幕戦のカタールGPは8位で終えたものの、第3戦のアメリカズGPで3位表彰台を獲得。第5戦のフランスGPでも3位に入り、昨シーズンのターニングポイントにもなった地元のイタリアGPでは今季3回目の表彰台を獲得し、優勝者からわずか0.037秒差で2位につけました。

「最終ラップでは2番手につけていたので、『これはひょっとしたら勝てるかもしれないぞ』と思いました。最終コーナーからの立ち上がりでスリップストリームを使って勝負を仕掛けられますからね。(アンドレア)ミニョ(KTM)はとても速くてオーバーテイクできませんでしたが、シーズン3回目の表彰台を獲得できたので、チームのためにもチャンピオンシップのためにも、とてもいい結果になりました」

この結果、ディッジャは年間ランキングで3番手に浮上。ディーゼルが、いよいよ本領を発揮し始めました。

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