Livio Suppo Track Report Livio Suppo Track Report

Vol. 163

2016年チャンピオンのマルケスが2位となり、最終戦でHondaが2つ目のタイトルを獲得

2016年シーズンの最後の戦いとなった第18戦バレンシアGPは、レースウイークを通じて青空が広がる絶好のコンディションとなりました。決勝日は11万人(3日間で20万人)を超える大観衆がスタンドを埋め尽くし、最終戦にふさわしい熱気あふれる3日間となりました。

Repsol Honda Teamは、第15戦日本GPでマルク・マルケスが個人タイトルを獲得しており、最終戦バレンシアGPはマルケスにとって、そしてHondaの冠スポンサーであるRepsolにとっては、タイトル獲得をスペインのファンに報告する凱旋レースとなりました。

3日間を通じて伸び伸びとした走りをみせたチャンピオンのマルケスは、フリー走行でトップタイムをマーク。予選ではクリアラップが取れず2番手でしたが、優勝候補の筆頭に挙げられました。

しかし、決勝ではスタートに失敗。バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)、マーベリック・ビニャーレス(スズキ)、アンドレア・イアンノーネ(ドゥカティ)と2番手争いのグループを形成しました。後半に入るとそのグループを抜け出し、約6秒のリードを築いて首位を独走していたホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)の追撃を開始し、その差を1秒まで縮めましたが、わずかに届かず2位でフィニッシュ。しかし、トップを追い上げたチャンピオンならではの猛烈な走りに、地元ファンから大きな拍手が送られました。

マルケスが2位になったことで、Hondaは最高峰クラスでは2年ぶり22度目のコンストラクターズタイトルを獲得。全クラス通算では65度目のタイトルとなりました。

そして、3戦ぶりに復帰のダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は予選8番手、決勝は7番手を走行していた7周目に転倒してリタイアとなりました。日本GPのフリー走行で右鎖骨を骨折したペドロサは、手術を受けてから約1カ月間、治療とリハビリを続けてきました。そのため、トレーニング不足で復帰戦に挑むことになり、万全の状態にはほど遠いものでした。それがレース結果に影響したと考えられます。結果こそは残せませんでしたが、3日間を通じて来季を期待させる走りを披露し、地元ファンを喜ばせました。今年は1勝を含む3度の表彰台獲得で総合6位と不本意なリザルトに終わりましたが、来季は念願の初タイトル獲得に挑みます。

―今大会は3日間を通じて快晴となりました。Repsol Honda Teamの今大会の戦略は?

「マルクはレースウイークを通してとても力強いペースをみせました。レースではリアタイヤにソフトを選択しました。それはホルヘやほかのライダーたちと同じタイヤです。レースがホルヘとの戦いになることは明らかでした。レース終盤に向けてタイヤを温存し、優勝争いができるようにするプランでした。ダニに関しては状況が違います。彼はケガから戻ったばかりなので、マシンの感触を取り戻すことが大きな目的でした」

―今大会の両選手のよかった点と悪かった点は?

「レース後半、マルクがすばらしい走りをしたのはポジティブなことでした。彼がイアンノーネとロッシをオーバーテイクしたあと、彼らとのギャップを広げ、ロレンソとの差を縮め始めました。でも残念ながら、それは遅すぎました。とにかく2位を獲得したことでHondaのコンストラクターズ・ワールド・チャンピオンが決まりました。ネガティブなことは、マルクのスタートが悪かったことと、ダニの転倒です。でも、ダニがケガをしなかったので、ホっとしました」

―レース中、ピットウォールから見ていて、どんな気持ちでしたか?

「スタートでマルクがポジションを大きく落としたことには驚きました。でも、その後のロッシやイアンノーネとの何周かに渡って繰り広げたバトルはすばらしいショーでした。マルクが彼らをオーバーテイクして、ギャップを広げてからは、ロレンソにも近づいていきました。最後には彼に追いつくことを願っていましたが、今回は叶いませんでした。7周目でダニが転倒したのは本当に残念でした」

―今大会のサイドストーリーを教えてください。

「レースウイークが始まる前の水曜日に、2016年のチャンピオンシップをみんなで祝うためにチーム全員で夕食を食べました。もちろんダニの復帰祝いや、HRCに大変貢献した中本さんへの感謝を込めてのものでした。中本さんは来年の4月で定年です。すばらしいパーティーでした」

―最終戦を終えて、今季、最も印象深いレースは? そして、最も残念だったレースは?

「日本グランプリはさまざま感情がミックスしていましたね。一番残念だったのはダニがFP1で転倒してケガをしたことです。そして最も印象的なのはマルクがその週の日曜日に、Hondaのサーキットで優勝し、タイトルを獲得したことでした」

最終戦バレンシアGPでHondaは個人タイトルに続き、コンストラクターズタイトルを獲得。RC213Vの優秀さを証明しました。残念ながらシーズン終盤までポイントでリードしていたRepsol Honda Teamのチームタイトルは、ペドロサの欠場などで2位となりましたが、来季は、最も重要なタイトルとなる個人とコンストラクターズの連覇はもちろんのこと、チームタイトルを獲得して、3冠を目指すことになります。

最終戦を終えたRepsol Honda Teamは、バレンシアで開催された2日間の公式テストに参加。マルケスとペドロサが17年型マシンのプロトタイプでテストを行い、順調にメニューを消化。17年シーズンに向けて好スタートを切りました。さらに、カル・クラッチロー(LCR Honda)、ジャック・ミラー(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)、ティト・ラバト(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)も来季に向けて順調なスタートを切りました。

今年、MotoGPに参戦したHonda勢は、5選手のうち4選手が優勝し、マシンのパフォーマンスを遺憾なく発揮しました。そして来季に向けてのバレンシア・テストは、さらなる活躍を期待させるものでした。年内最後のテストは、11月下旬にスペインのヘレスで行われます。

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