Livio Suppo Track Report Livio Suppo Track Report

Vol. 161

寒さと強風の中でのレース。Hondaはコンストラクターズタイトル獲得に向けて前進

日本GPからの連戦となった第16戦オーストラリアGPのフリー走行と予選は、雨と風と寒さの中で行われました。強い雨のためにセッションは何度も中断。金曜日午後のフリー走行は中断後にキャンセルになりました。

決勝日は青空が広がりましたが、寒さと強風は変わらず。それに加えて、ドライコンディションのセットアップがほとんどできていない状態でグリッドにつくという、今季もっとも厳しい条件のレースとなりました。

ハーフウエットからドライコンディションへと変化した予選では、前戦日本GPで2年ぶり3回目のタイトルを獲得したマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が、シーズン7回目のポールポジションを獲得(歴代1位の通算65回目)しました。決勝ではオープニングラップで首位に浮上すると、快調にラップを刻みました。まさにチャンピオンシップから解放された伸び伸びとした走りで、アラゴンGPと日本GPに続く3連勝と今季6勝目が期待されましたが、10周目の4コーナーで痛恨の転倒を喫し、リタイアに終わりました。

「チャンピオンシップが続いていたら違うレースになっていた」とコメントするマルケス。日本GPまでとは明らかに違う積極的な走りが転倒につながりましたが、その元気あふれる走りは、日本GPまで続いたリスクを最小限に抑えた厳しい戦いから解放されたことを感じさせるものでした。「タイトルが決まり、1つでも多く勝ちたかった」と言うマルケス。このシーズン終盤戦の目標は、残り2戦へと持ち越されました。

そして、マルケスの後方でのし烈な2番手争いを制し単独2番手につけていたカル・クラッチロー(LCR Honda)が、マルケスに代わって首位に浮上。ライバルを圧倒する走りで今季2勝目を獲得しました。

Hondaはこれでシーズン9勝目を達成。2年ぶり22回目のコンストラクターズタイトル獲得に大きく前進しました。第17戦マレーシアGPでHondaライダーが2位以上でフィニッシュすれば、自力でタイトル決定となります。

負傷欠場しているダニ・ペドロサの代役として出場したニッキー・ヘイデン(Repsol Honda Team)は、予選7番手からし烈な7番手争いに加わりました。8年ぶりのRepsol Honda Teamからの出場となりモチベーションは高く、代役出場とは思えない元気あふれる走りでした。

スコット・レディング、ダニロ・ペトルッチのドゥカティ勢、ブラッドリー・スミス(ヤマハ)、ステファン・ブラドル(アプリリア)、そしてホームグランプリに気合満点のジャック・ミラーとの大接戦の中で何度もグループトップに立ちました。終盤にミラーと接触して転倒しますが、再スタートを切って17位でフィニッシュ。Hondaファンを喜ばせる快走でした。ミラーは10位でフィニッシュしました。

―今大会は不安定な天候となり厳しい大会になりました。決勝の戦略は?

「マルクはドライコンディションになった決勝日のウォームアップでとてもポジティブでした。序盤はあまりプッシュしないという戦略で、フロントにはハードタイヤを選択。タイヤが温まるのを待ち、勝ちにいくというものでした。しかし残念ながら、快適にレースをリードしているときに小さなミスで転倒してしまいました。

マルクにケガがなかったのは、なにより幸いなことでした。今大会は非常に難しい週末でしたが、彼はすばらしい才能をみせてくれました。

今週末はドライで走れた時間があまりなかったので、代役出場のニッキーは、決勝レースでドライコンディションに徐々に慣れていくという作戦でした。彼はすばらしい仕事をしました。ジャック・ミラーと接触するまでは7番手争いをしていました。とてもいい走りをしていたので、本当に残念な結果でした」

―Repsol Honda Teamの2人がともに転倒。ポイントを獲得できませんでしたが、今大会のよかったポイント、悪かったポイントは?

「Hondaにとってカルの優勝は、とてもポジティブな出来事でした。Hondaにとっては、これで4人のライダーによる9度目の優勝となりました。LCR Hondaとカルのことをとても誇りに思います。

Repsol Honda Teamとしては、マルクがウエットやセミウエット、そしてドライといったすべての状況で信じられない速さをみせられたことがポジティブなことでした。彼にとって、コンディションは全く問題ではなかったし、コンスタントに速い走りをみせてくれました。

ニッキーは今シーズン2回目の代役出場となりましたが、マシンとタイヤに順調に慣れていきました。ネガティブな点はもちろん、2人とも転倒してしまったことです。でも、これがレースというものです」

―レース中にピットウォールから見ていて、どんな気持ちでしたか?

「序盤はマルクが素早くリードを広げていったので、うれしかったですね。彼がレースをコントロールしているようでした。ブレーキングの小さなミスで転倒しますが、さっきも言ったようにこれがレースというものです。また、ニッキーが7番手争いの集団の中で激しい争いをしているのを見られて、とてもよかったです。たくさんのオーバーテイクがあり、観客だけではなくライダーたちも、きっと楽しかったと思います」

―今大会のサイドストーリーを教えてください。

「金曜日の夜に、Hondaオーストラリアがオーガナイズした夕食に出かけました。HondaのMotoGPライダーが全員出席し、短いスピーチとサイン会をしました。また、ニュージーランドのディーラーのグループもレースを見にフィリップアイランドに来ていました。我々のスポーツには世界中、国境がないことが分かってとてもよかったです」

―今大会はマルケスが残念ながら転倒リタイアに終わりました。残り2戦、チャンピオンのマルケスに期待するものはなんですか?

「タイトルを獲得したマルケスは、残り3戦となったオーストラリアGPで初めてミスをしました。ガレージに戻って彼がまず最初にしたことは、チームへの謝罪でした。彼はすばらしい人間であり、すばらしいチャンピオンです。残りのレースで彼は、コンストラクターズとチームのチャンピオンシップのためにベストを尽くしてくれると思います」

今週末には、3連戦最後の戦いとなるマレーシアGPを迎えます。Honda勢は、第15戦日本GPでマルケスが個人タイトルを獲得。第16戦オーストラリアGPでは、コンストラクターズタイトル獲得に向けて大きく前進しました。第17戦マレーシアGPでは、コンストラクターズタイトルの獲得とRepsol Honda Teamのチームタイトル獲得に向けて、大きく前進することが目標となります。Repsol Honda Team、そしてHonda勢は、世界中のレースファンが注目する戦いに挑みます。

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