Livio Suppo Track Report Livio Suppo Track Report

Vol. 160

ホーム・日本GPでマルケスが3度目のタイトルを決める

タイトル争いの天王山となったシーズン終盤の3連戦。その初戦となった第15戦日本GPは、タイトル王手のマルク・マルケスと、それを阻止しようと全力を尽くすだろうヤマハのバレンティーノ・ロッシ、ホルヘ・ロレンソ両選手の戦いに注目が集まっていました。

タイトル獲得の条件は、マルケスが優勝するということが大前提。さらに、ロッシ選手が15位以下、ロレンソ選手が4位以下という厳しいものでした。これまでの戦いを振り返っても、今大会でタイトルが決まることはないだろうというシチュエーションでしたが、終わってみれば、ヤマハ勢の両選手がリタイアに終わり、マルケスが今季5勝目。2年ぶり3回目のチャンピオンに輝きました。

今大会のマルケスは、フリー走行でトップタイム、予選はアタック中に転倒車が出たことでスローダウンしたために2番手でしたが、順調にセットアップを進めました。そして、決勝では好スタートから快調に周回を重ね、タイトルを争うヤマハ勢の2人に対してジリジリとリードを広げました。これがライバルたちの転倒を招く要因の一つとなるのですが、2014年同様、HondaのホームGPとなるツインリンクもてぎでタイトルを決めました。

最高峰クラスでは3回目。全クラスでは通算5回目のタイトル獲得は、ともに史上最年少記録。これまで数多くの史上最年少記録を樹立してきたマルケスですが、今年は新たな記録を加えることになりました。

チームメートのダニ・ペドロサは、初日のフリー走行で転倒し、右鎖骨を骨折して欠場となりました。スペインに帰国して手術を行い、一日も早い復帰を目指して治療とリハビリを続けています。そして、ペドロサの代役として出場した青山博一が15位でフィニッシュ。チームタイトル獲得に向けて貴重なポイントを獲得しました。

―今大会、マルケス選手は、フリー走行、予選と順調でした。今大会の戦略はどんなものでしたか?

「まず最初に、今大会はダニが金曜日のFP2で鎖骨を骨折し、レースに出られずとても残念でした。彼の一日も早い復帰を願っています。
マルクはレースウイークを通して速く、安定していました。しかし、タイトル争いをしていたので、あまりリスクを負わず、着実に走って表彰台でフィニッシュすることが狙いでした。代役で出場することになったヒロ(青山博一)にとっては難しい週末になりました。彼はダニのマシンに土曜日の午前中に初めて乗りましたからね。彼の目標は完走してポイントを獲得することでした」

―マルケス選手が今季5勝目を挙げてタイトルを獲得しました。今大会のよかった点、勝因など、教えてください。

「マルクが最初からいいペースをつかみ、序盤の接戦の中でエキサイティングなオーバーテイクをした後にレースをリードしたことです。バレ(ロッシ選手)とホルヘ(ロレンソ選手)が転倒したことでマルクがタイトルを獲得することになるのですが、思っても見ないことでした。
マルクは完ぺきでしたね。5度目の世界チャンピオンシップ獲得にふさわしいと思います。それにしても、すでに5回もタイトルを獲得していることが信じられません。23歳で最高峰クラスで3回目のタイトル獲得というのも本当に信じられません。
HRCとRepsol Honda Teamのすべてのエンジニアを誇りに思います。すべての人が、タイトル獲得にふさわしい仕事をしてきました。シーズン序盤は今年から採用されているシングルソフトウエアに苦しみました。みんな一生懸命に取り組み、マルクが必要とするサポートをすべて提供することができました。ネガティブなことは、ダニのレースが見られなかったことですね。彼はこのサーキットが大好きで、昨年は優勝しています。早く彼がRC213Vに戻ってくる日を楽しみにしています」

―レース中、ピットウォールから見ていて、どんな気持ちでしたか?

「レース前半にマルクがリードを取るまではとても興奮しました。バレンティーノが転倒し、マルクがホルヘに対してギャップを作ったときは、優勝できるかもしれないと思いました。そして、終盤に入ってホルヘが転倒したとき、不思議な気持ちに襲われました。正直、もてぎでタイトルを獲得するとは思ってもいなかったからです。最終ラップは非常に感情的になりました。そしてチェッカー後の祝福は、忘れられないものになりました」

―今大会のサイドストーリーを教えてください。

「木曜日の午後に、ダニのファンの一人が、金属でできた手作りのRC213Vをダニにプレゼントしてくれました。本当にすばらしい芸術品で、信じられないほど作りが細かくて、そのファンの才能と熱意が表れたものでした」

―HondaのホームGPとなるツインリンクもてぎでマルケス選手がタイトルを獲得しました。声援を送ってくれた日本のファンにメッセージをお願いします。

「タイトル獲得はいつだってとても特別なことです。それをここもてぎで、多くの日本のファンの前で達成できて忘れられない思い出になりました。マルクとダニは、日本のファンの温かい歓迎にいつも驚かされ、ファンが持ってきてくれるプレゼントをとても喜んでいます」

タイトル争いの天王山と位置づけた3連戦の最初のレース、第15戦日本GPは、マルケスのタイトル獲得という最高の形でレースを終えることになりました。そして今大会を終え、Hondaは、コンストラクターズタイトルと、Repsol Honda Teamのチームタイトルに王手を掛けることになりました。連戦となる第16戦オーストラリアGP、そして第17戦マレーシアGPでは、残る2つのタイトル獲得を目指し、3冠制覇に向けて全力を尽くすことになります。

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