Livio Suppo Track Report Livio Suppo Track Report

Vol. 158

5週にわたる厳しい戦いはペドロサの勝利で完結。シーズンはいよいよ終盤へ

イギリスGPからの連戦となった第13戦サンマリノGPは、不安定な天候が続いたシーズン中盤戦と打って変わり、3日間を通して好天に恵まれる最高のコンディションの中で行われました。今大会では、ミシュランがフロントにニュータイヤを投入。絶好のコンディションの中で全選手が、この新しいタイヤのテストに集中することになりました。

初日のフリー走行では、ダニ・ペドロサが2番手タイムと好調なスタートを切りました。シーズン中盤戦に入ってペドロサは、不安定な天候にも翻ろうされたこともあり、低調なレースが続いていました。しかし、前戦イギリスGPでは5位。し烈な2番手争いに加わり、復調を感じさせていましたが、今大会はそれを実感させる出だしとなりました。

2日目もペドロサは着実にセットアップを進め、フリー走行では総合4番手タイムでQ2進出を果たし、予選前に行われたFP4では2番手タイムをマーク。その後に行われた予選は、厳しい戦いの中で8番手でしたが、手応えを感じる2日間を終えて、決勝に向けて期待を膨らませることになりました。

そして決勝では、その走りが見事に結実します。選択したタイヤは、フロントにソフト、リアにミディアム。タイヤの選択がよかったことはもちろんですが、スタートからゴールまで一貫したペースで走りきったことが優勝につながりました。

ペドロサは、8番グリッドから着実にポジションを上げ、中盤にはバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)、ホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)、チームメートのマルク・マルケスに続く4番手に浮上します。その後、レース折り返し点の14周目にマルケスをかわして3番手へ。17周目にロレンソを抜いて2番手へ。さらに22周目にロッシをパスして首位に浮上。それからもペースを緩めることなく28周のレースで真っ先にチェッカーを受けました。

シーズン中盤は、マシンのセットアップに苦しんだ時期が続きましたが、ペドロサにとっては完全復活をアピールする大会となりました。

総合首位のマルケスは、初日のフリー走行ではタイヤテストに集中して5番手タイム。2日目のフリー走行ではトップタイムをマークしてQ2進出を決めました。その後、FP4でも快調にラップを刻んで3番手。予選でも大接戦の中で4番手と、今季4勝目の期待が膨らんでいました。

その期待に応えるように、オープニングラップ5番手から、4周目には3番手に浮上すると、ロッシとロレンソを追撃しました。そして、中盤まではトップの2人のペースを上回るラップを刻み、2番手を走るロレンソの背後に迫りました。しかし、追い上げもそこまで。後半はフロントタイヤの消耗に苦しんでペースを上げられず、4番手をキープする作戦に切り替えて着実にフィニッシュしました。

この結果、マルケスは、イギリスGPとサンマリノGPの2戦連続で表彰台を逃す連続4位。優勝・表彰台を目指すマルケスにとっては悔しい2連戦となりましたが、2年ぶり3度目のタイトル獲得に向けて、また一歩前進することになりました。

―今大会は天候に恵まれましたが、ニュータイヤの投入で、予想がつかない大会でした。レース戦略はどういうものでしたか?

「今大会は、レースウイークを通して気温も路面温度も高く、決勝も同じような天気になることを願っていました。ライダーのタイヤ戦略は2つに分かれました。ダニはフロントにソフト、リアにミディアム。一方、マルクはフロントにハード、リアにミディアムというものでした。その結果、ダニはすばらしいペースをみせ、8番グリッドから優勝しました。マルクはフロントタイヤに完ぺきな感触が得られませんでしたが、それでも4位に入り大事なチャンピオンシップポイントを獲得しました」

―タイヤ選択が今回もリザルトに影響したと思いますが、今大会のよかった点と悪かった点があればそれも教えてください。

「ポジティブな点はダニが表彰台の一番上に戻ってきたことです。過去8レースで8番目のウイナーになりました。これで彼はMotoGPクラスで通算29度の優勝を達成。また、ダニが勝ったことでマルクがバレンティーノに対してそれほどポイントを落とさずに済みました。ネガティブな点は、マルクがレースウイークを通してとても速かったにもかかわらず、レースで表彰台に上がれなかったことですね」

―レース中、ピットウォールから見ていて、どんな気持ちでしたか?

「いつものようにテンションは高かったです。レース序盤は、マルクが何度かオーバーテイクをして追い上げていきました。その後レース後半では、さらにテンションが上がりました。ダニがトップのライダーを追いかけ始めたからです。そして、マルクのペースが落ち始め、2人ともに難しい状況の中で戦っていました。チェッカーフラッグが振られて、やっと少しだけリラックスできました。そしてチームのすばらしい結果を祝う気持ちになれました」

―今大会のタイヤ選択について、マルクのフロントタイヤにハードを入れたことは慎重すぎたと思いますか? 対照的にダニのソフトはギャンブルだと感じましたか?

「正直、ダニの選択は賭けではありませんでした。彼のライディングスタイルにはソフトタイヤが合っていましたからね。それはレースを見ても明らかです。またマルクは保守的な選択をしたわけではありません。このタイヤはプラクティスセッション中に彼が好んでいた方のタイヤだったからです」

―今大会のサイドストーリーを教えてください。

「野村欣滋HRC社長がミサノに来てくれました。とてもうれしく、誇りに思いました。野村社長がグランプリに来るのは今季初めてのことで、そのレースで優勝することができたし、共に勝利を祝うことができて、とてもうれしかったです」

夏休みを終えて、後半戦はハードなスケジュールとなりました。第10戦オーストリアGP、第11戦チェコGPと続いた2連戦、1週間のインターバルのあと、第12戦イギリスGP、第13戦サンマリノGPと続く2連戦。5週間で4レースという厳しい戦いになりましたが、マルケスは着実にポイントを獲得して総合首位をキープしました。総合2位につけるロッシとの差は43点。残り5戦、タイトル獲得に向けて、これからもミスのないように、そして攻めの走りを続けていくことになります。

ペドロサも、5週にわたる厳しい戦いの中で、一時は総合5位へポジションを落とすこともありましたが、第13戦サンマリノGPの優勝で総合4位に復活しました。これまでもシーズン後半戦に強いペドロサだけに、残りの5戦、さらに勝ち星を重ねていくことが期待されます。

コンストラクターズポイントもHondaは266点を獲得して2位のヤマハに8点のリード。チームポイントでも、Repsol Honda Teamは368点を獲得して、2位のMovistar Yamaha MotoGPに26点差をつけて首位。HondaとRepsol Honda Teamは、2年ぶりの3冠制覇に向けて、また一歩前進しました。

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