Livio Suppo Track Report Livio Suppo Track Report

Vol. 151

苦戦が予想されたイタリアGPで、会場を沸かせたRepsol Honda Teamの激走

第6戦イタリアGPは、予選4番手からトップグループを追ったマルク・マルケス(Repsol Honda Team)が2位でフィニッシュしました。序盤はアレイシ・エスパルガロ(スズキ)に続いて4番手。その間にホルヘ・ロレンソとバレンティーノ・ロッシのヤマハ勢に先行されてしまいますが、3周目に3番手に浮上すると、トップグループの2人を追いかけました。

レース中盤には、ロレンソとロッシの背後に迫り、トップグループに加わります。その後、9周目にロッシがエンジントラブルでリタイアとなってからは、ロレンソとの一騎打ちとなりました。

最終ラップの21周目、コース前半のS字区間でマルケスがロレンソをかわしてトップに浮上すると、その差をじりじりと広げました。しかし、コースの後半セクションではロレンソに再び接近を許します。そして、コース終盤のシケインで抜かれますが、クロスラインで再度パッシング。そのまま最終コーナーを抜けて、ムジェロ名物のロングストレートを駆け抜けました。

まさに手に汗を握る戦い。この勝負どころで、ロレンソがマルケスのスリップから抜け出して優勝。勝利まであと一歩だったマルケスは、0.019秒という僅差で2位となりました。

今大会は、マシンのセットアップが思うように進まず、予選では17戦ぶりにフロントローを逃しました。そのため、決勝に向けては表彰台獲得を目標にしていたマルケスですが、目標を達成するだけでなく、優勝争いに加わり、スタッフと喜びを分かち合っていました。結果的にマルケスのがんばりはもちろんのこと、RC213Vが確実に前進していることを感じさせるレースとなりました。次戦では今季3勝目が期待されます。

これで総合首位のロレンソとのポイントさは、5点から10点へとわずかに広がりましたが、総合3位のロッシに対するリードは、27点に広がりました。

ペドロサは、表彰台争いに加わり4位でフィニッシュしました。オープニングラップをグリッドと同じ7番手で戻ってきたペドロサは、2周目にブラッドリー・スミス(ヤマハ)をかわして6番手、7周目にエスパルガロを抜いて5番手、9周目にはロッシがリタイアしたことで4番手に浮上。3番手のアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ)を追いました。

中盤には、ペドロサとともにポジションを上げてきたアンドレア・イアンノーネ(ドゥカティ)が加わり、ドヴィツィオーゾとペドロサ、イアンノーネの3台による3番手争いが展開しました。終盤に入ると、イアンノーネが集団のトップに浮上。それをペドロサが追います。この2人のし烈な戦いは最終ラップまで続き、イアンノーネと0.168秒差の4位でチェッカーを受けました。

ペドロサは、これでヨーロッパラウンドに入って3戦連続の4位。それでも、レースを追うごとに内容がよくなり、表彰台の常連に復活するまで、あと一歩という印象でした。

今大会、予選を終えた段階では、厳しい戦いが予想されましたが、レースではマルケスが2位、ペドロサが4位。ヨーロッパラウンドに入って、やや苦戦しているRepsol Honda Teamですが、これからの巻き返しを予感させました。

―今季一番の激戦となりました。イタリアGPを振り返って、どんな印象ですか?

「レースウイーク中、多くのライダーのラップタイムがとても接近していたので、マルクとダニにとっては、タイトなレースになると思っていました。マルクはまずまずのスタートを切って、序盤から前のライダーについていくことができました。終盤はとてもいい走りをしていたし、最終的には、優勝は逃しましたが、その差はわずか0.019秒でした。ダニは序盤に少し苦戦しましたが、終盤にかけて本当に前進しました。最終ラップには、ラップレコードからわずか0.047秒落ちのベストラップを刻みましたからね」

―マルクはロレンソとし烈なバトル。ダニはイアンノーネ、ドヴィツィオーゾとのし烈な3番手争い。レースを終えて、ポジティブな点とネガティブな点はどんなところでしたか?

「マルクが最後の数メートルまで優勝争いをし、ダニが表彰台にとても近い走りをしたことは、今週最もポジティブなことですね。ネガティブなことは、まだ加速が足りず、ライダーたちをヘルプできなかったことですね」

―今季最も厳しいレースをピットから見ていて、感じたことを教えてください。

「レース前半は、マルクが、ホルヘとバレンティーノを追い上げていく走りに注目していました。その後、彼が優勝争いに加わり、最終ラップのホルヘとのバトルは、とてもうれしかったですね。ホルヘに最後の最後でオーバーテイクされたときは残念でしたが、2人とも信じられないような走りでした。今回は優勝を逃しましたが、これがレースです。また、レース終盤のダニのペースもうれしかったですね。プラクティスでは苦戦していましたが、チームは決勝に向けてすばらしい仕事をしたと思います」

―マルクが「今年のRC213Vは、気温や路面の変化に神経質なマシンだ」と言っています。その理由を教えてください。また、改善策があれば、それも教えてください。

「おそらくミシュランタイヤは、昨年まで使用していたブリヂストンよりも、気温の変化や路面コンディションに敏感なのではないかと思います。マシンの挙動はその影響だと思います」

―今大会、なにかおもしろいサイドストーリーはありましたか?

「今週末は、フェルナンド・アロンソが我々のもとを訪ねてくれました。彼は土曜日に来て、予選から決勝まで観戦していました。彼はMotoGPは情熱があると語り、マルクやダニと、有意義な時間を過ごしました。彼とMcLaren‐Hondaが今週末のモナコGPで健闘することを祈っています」

次の戦いとなる第7戦カタルニアGPは、Repsol Honda Teamにとって、そしてマルケスとペドロサの両選手にとっても、ホームグランプリとなります。マルケスは、おととしの2014年に優勝。昨年は転倒リタイアに終わっており、2年ぶりの優勝を目指す戦いとなります。カタルニアGPで表彰台の常連となっているペドロサも、2008年以来、8年ぶりの優勝を目指します。上り調子で迎える両選手。次戦では、今季初のRepsol Honda Teamによる1-2フィニッシュが期待されます。

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