Livio Suppo Track Report Livio Suppo Track Report

Vol. 147

第2戦アルゼンチンGPでマルケスが優勝、ペドロサが3位

中東の国カタールからアンデス山脈を望むテルマス・デ・リオ・オンドへと戦いの舞台を移した第2戦アルゼンチンGPは、Repsol Honda Teamにとって今季最高のリザルトとなりました。初開催から3年連続でポールポジション(PP)を獲得したマルク・マルケスが、アルゼンチンGPでは2年ぶり、そして今季初優勝を達成。転倒を喫した昨年の雪辱を果たしました。また、チームメートのダニ・ペドロサは、21台が出場して完走13台という大荒れのレースの中で3位フィニッシュ。昨年欠場のアルゼンチンGPで、2年ぶりに表彰台を獲得しました。こうして、Repsol Honda Teamにとって2年ぶりのダブル表彰台となりました。

フリー走行は気温が35℃を記録する猛暑となりました。予選は30℃とやや気温が下がりましたが、強い風が吹きつける難しいコンディション。そして決勝日は、午前のウエットコンディションから午後はドライへ。ところどころウエットパッチが残る微妙なコンディションの中で、マルケスが快走しました。

今大会は、4月2日(土)のフリー走行で他チームのライダーのリアタイヤにトラブルが発生しました。安全を期し、ミシュランタイヤと全チームが話し合いを持ちました。そして、天候と路面コンディションが目まぐるしく変わる中で、25周の決勝レースを20周に短縮、2013年のオーストラリアGP同様、ニュータイヤを装着したマシンチェンジを義務付ける、異例の“フラッグ・トゥ・フラッグ”で行われました。

PPスタートのマルケスは、オープニングラップの3番手から、3周目でトップに浮上。マシンチェンジをする11周目までは、バレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)を従えて走ります。「2台目のマシンに乗り換えたときが勝負どころ」と語ったマルケスは、その後にファステストラップをマークすると、一気に後続を引き離すスピードを披露しました。

3位に入ったペドロサは、4番グリッドから好スタートを切りました。しかし、1コーナーで強引な走りをする他車との接触を避けようとしたため、オープニングラップで15番手までポジションダウン。それでも、以降は着実にペースを上げて、遅れを取り戻しました。

レース終盤には、前を走るマーベリック・ビニャーレス(スズキ)が転倒、最終ラップにはアンドレア・ドヴィツィオーゾとアンドレア・イアンノーネのドゥカティ勢が接触、転倒するハプニングもあり、3位でフィニッシュしました。今大会の結果、2戦を終えてマルケスは総合首位に、ペドロサは総合3位に浮上しました。今季初優勝とダブル表彰台となったRepsol Honda Team。リビオ・スッポHRCチーム代表に、第2戦の戦いを振り返ってもらいました。

―アルゼンチンGPの戦略は、どんなものだったのでしょうか?

「今日はとても難しいレースでした。タイヤの問題があり、最良の方法を見つけるために、レースディレクションと何度もミーティングを行いましたから。しかし今朝、雨の影響でエキストラセッションがキャンセルとなりました。前日に決定した、レース前のドライコンディションで新しいリアタイヤをテストすることが不可能になったからです。代わりにレースディレクションは、周回数が20、9周目〜11周目に必ずピットストップをするというプランに、変更を決めました。我々はマルクが10周目、ダニはマシンの感触に合わせて自由に選択できるようにしました。マルクはすばらしかったです。レース後半の初めは特によく、すばらしい勝利を手にしました。ダニはいいペースを見つけられず苦戦していましたが、ほかのライダーたちが彼の前で転倒するという“助け”もあり、表彰台に立つことができました」

―レースを終えて、今大会のポジティブな点とネガティブな点を教えて下さい。

「ポジティブな点はもちろん優勝したことと、ダブルでポディウムを獲得できたことですね。ネガティブな点は、まだ、加速が足りないことです。引き続き、この部分に取り組んでいかなければなりませんが、ブレーキングとコーナリングスピードはいいと思います」

―レース中、ピットから見ていて感じたことを教えて下さい。

「レースで、ピットストップが義務付けられると、ピットの空気はとても張り詰めたものになります。でも今回は、すべてが完ぺきでした。マルクもダニも完ぺきなマシンチェンジを行いました。最終ラップのモニターには、マルクがフィニッシュラインを通過するところが映されていたので、その後ろにいた2台のドゥカティ勢が転倒し、ダニが5番手から3番手にポジションを上げていたことは、すぐには分かりませんでした。昨年、ダニは上腕のケガのためにここでレースができなかったので、ドゥカティの2人には申し訳ないと思いますが、ダニがアルゼンチンで表彰台に上がるのを見られたことは、とてもうれしいです」

―カタールのテストから、マルクとダニのマシンはウイングを使っています。これを使うことでの利点は?

「カタールのテストから、RC213Vに取り付けているウイングは、加速時のマシンのウイリーを減らすのが目的です。この先のラウンドでも、引き続きテストをしていきます」

―今大会、なにかおもしろいインサイドストーリーはありましたか?

「アルゼンチンはMotoGPへの情熱がとてもあり、夜にホテルへ着いたり、朝にホテルを出発するとき、マルクとダニのサインや写真を求めて、多くのファンが待っていたのがとても印象的でしたね」

連戦となる第3戦アメリカズGPはテキサス・オースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で開催されます。COTAでの開催は4度目。過去3年は、マルケスがポール・トゥ・ウインを達成しています。ペドロサは昨年、右腕の手術のため欠場していますが、13、14年は連続で2位。Repsol Honda Teamは2年連続で1-2フィニッシュを果たしています。今年はアメリカズGPで2年ぶり、3度目となるRepsol Honda Teamの1-2フィニッシュが期待されます。

第2戦アルゼンチンGPでマルケスが優勝、ペドロサが3位 第2戦アルゼンチンGPでマルケスが優勝、ペドロサが3位 第2戦アルゼンチンGPでマルケスが優勝、ペドロサが3位 第2戦アルゼンチンGPでマルケスが優勝、ペドロサが3位