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Vol.141

ペドロサが激しいバトルを制して2位、マルケスは転倒

第14戦アラゴンGPが、スペイン内陸部のモーターランド・アラゴンで開催されました。今回は、Repsol Honda Teamのマルク・マルケス選手とダニ・ペドロサ選手にとって、シーズン3回目のホームGPです。当サーキットの最速ラップタイム記録を保有するマルケス選手は、今年もフリープラクティスから圧倒的な速さを発揮し、昨年に自身が記録した最速タイムを塗り替えて今年もポールポジションを獲得しました。日曜の決勝レースでも激しいトップ争いが期待されていましたが、2周目の12コーナーで残念ながら転倒を喫し、リタイアとなってしまいました。

一方、ペドロサ選手は、レース終盤にライバル選手と手に汗握る激しいバトルを繰り広げ、会場に詰めかけた大観衆と世界中のファンを大いに沸かせました。抜かれても即座に次のコーナーで抜き返す闘志あふれるファイトで、一歩も退かない戦いぶりを披露して、2位でゴール。地元スペインのファンから大喝采を浴びました。今回の決勝レースは明暗が分かれる結果になってしまいましたが、選手とチームが全員で力を合わせて戦いきったこの週末の一部始終を、HRCチーム代表のリビオ・スッポが明かします。

―アラゴンGPのレース戦略はどういうものだったのですか。

「ダニとマルクは、ここアラゴンでとても強さを発揮しているので、決勝に向けた戦略は、ロレンソ選手を逃がさないためにもレース序盤から全力で攻める、というものでした。その過程で、マルクは少しプッシュしすぎたために、フロントから転倒を喫してしまいました。ダニは2列目5番グリッドからすばらしいスタートを決めましたが、イアンノーネ選手をオーバーテイクするのに少し手間取ってしまい、それが原因でロレンソ選手を逃がしてしまうことになりました。とはいえ、その後はロッシ選手を相手に激しいバトルを繰り広げ、彼を抑えて2位でチェッカーフラッグを受けてくれました」

―今回のレースのよかったところと悪かったところを教えてください。

「よかったのは、ダニが最後まで力強い走りを見せてくれたことです。特に、ロッシ選手とのバトルは圧巻でした。ロッシ選手は非常にバトルの強い選手ですが、今日のダニは抜かれるたびに抜き返し、手に汗握る戦いを見せてくれました。ファンの皆さんもきっと満足されたことと思います。
悪かった点は、言うまでもなく、マルクの転倒です。マルクはタイヤが摩耗した状態でも非常に速かったので、レース終盤になれば強さを存分に発揮してくれると思っていたのですが、今回はその力強い走りを見ることができませんでした。しかし、次のレースではきっとその強さを披露してくれるでしょう」

―ピットから見たレースはどんな印象でしたか?

「マルクもダニも、スタートはよかったと思います。マルクの転倒は非常に残念でした。ダニがロッシ選手に対して一歩も退かないバトルを繰り広げる姿は、見ていて本当にワクワクしました。最終ラップのシケインでの攻防は、ダニが転倒と紙一重の限界ギリギリで戦っていたので、心臓が止まるかと思いました。ダニとチームの全員を心から祝福したいと思います」

―今回のレースで、なにか秘話のようなものはありますか?

「HRCの技術者たちはいつもマシンの改良に全力で取り組んでくれているのですが、今回のアラゴンGPでは、ダニとマルクの双方に新しいスイングアームを試してもらいました。プラクティスから投入し、両選手とも非常に気に入っていたので、決勝レースでもそのスイングアームで臨みました。今シーズンのRepsol Honda Teamは苦戦を強いられていますが、我々は決してあきらめず、さらなる高みを目指して挑戦を続けています。次はいよいよ日本GPです。皆さまからの力強いご声援をよろしくお願いいたします」