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HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート

vol.126

マルケス選手が12勝目を挙げ、年間最多勝記録に並ぶ。
Hondaはコンストラクターズタイトルを獲得

第17戦マレーシアGPは、初日の金曜日から決勝レースが行われた日曜日までの3日間で計13万人の観客が詰めかける、大盛況のレースウイークになりました。土曜の予選でサーキットのファステストラップを更新して2年連続のポールポジションを獲得したRepsol Honda Teamのマルク・マルケス選手は、決勝レースでも力強い走りを遺憾なく発揮。灼熱の中で行われた全20周のレースを通じて高水準のラップタイムを刻み続け、今季12勝目を挙げました。この勝利で、マルケス選手は1997年にミック・ドゥーハン氏が達成したシーズン12勝というシーズン最多記録に並びました。一方、チームメートのダニ・ペドロサ選手は2年連続の優勝を飾っており、今回も優勝候補の最有力候補でしたが、決勝レースでは転倒を喫してしまいます。その後、マシンを引き起こしてレースに復帰し、驚くべきペースで順位を回復していったものの、13周目に再度転倒し、マシンに大きなダメージを負ったためにリタイアを余儀なくされました。なお、今回のマルケス選手の優勝により、Hondaは2014年のコンストラクターズタイトルを獲得しました。
 選手とスタッフのチーム全員が一丸となって戦い抜いた、第17戦マレーシアGPのレースウイークを、Repsol Honda Teamチーム代表のリビオ・スッポが振り返ります。

−マルケス選手は、第12戦イギリスGP以来の勝利になりました。予選で見せた力強い走りを、決勝でも存分に発揮した盤石のレース展開でした。

「今日のマルクは、申し分のないレースをしてくれました。今日の決勝レースは非常に暑く、厳しいコンディションでの戦いになりましたが、マルクはレースと彼自身のフィジカルを完ぺきにコントロールして勝利を獲得してくれました。先週のフィリップアイランドでは、手中に収めたと思った勝利が掌からするりとこぼれるように抜けていった展開だっただけに、今日の勝利は本当に格別な気分です」

−ペドロサ選手は、ウイークを通じてすばらしい速さを披露していました。決勝レースでも序盤はトップグループを走行しながら、またもや悪運に見舞われて転倒を喫してしまいました。再スタート後の2度目の転倒も、似たような状況だったのでしょうか。

「ダニが1回のレースで2度も転倒を喫するのは、おそらく今回が初めてだったのではないでしょうか。今回は充分に優勝争いをできそうな高い水準の仕上がりだっただけに、本当に残念です。レース中に2度も転んでしまうのは、通常では考えにくいことなので、この2回の転倒でどういう事象が発生していたのか、データを綿密にチェックし、検証したいと思います」

−今日はこの厳しい暑さの中で、マルケス選手とバレンティーノ・ロッシ選手(ヤマハ)は手に汗握るバトルを繰り広げました。しかし、そのレース終盤にマルケス選手がロッシ選手を引き離し、大きなタイム差を築き上げました。マルケス選手にはそれだけの余裕があったのですか?

「さすがロッシ選手だけあって、すばらしい走りを披露していましたね。ここセパンでも何度も優勝経験のある選手なので、今日のレースでもマルクに対して厳しいプレッシャーを仕掛けてきました。しかし、終盤にはタイヤを消耗していたようです。マルクのほうが力強さで分があったため、差を開いていくことができました。マシン特性の面でも、(コーナーでの)グリップに優れるヤマハとの違いが、我々に対して有利に働いたという側面もあると思います」

−ペドロサ選手は、年間ランキング2位の獲得が難しくなってしまったようですが、それでも最終戦のバレンシアは是非とも優勝で締めくくりたいところですね。

「バレンシアサーキットはダニにとって得意中の得意コースなので、きっと優勝争いをしてくれるに違いありません。年間最終戦のバレンシアGPでは、もちろん1-2フィニッシュを達成し、チームタイトルも獲得する意気込みで臨みますよ」

−さらに今回のレースでは、マルケス選手の優勝によりHondaが計63回目、最高峰クラスでは21回目となるコンストラクターズタイトルを獲得しました。しかも、2011年から4年連続となる見事な記録です。

「日本とレースの現場で、常に全力で仕事に取り組んでくれるHRCの技術者たちのおかげです。ご存知のようにMotoGPのレベルは非常に高く、コンストラクターズタイトル獲得という目標は困難きわまりないものです。それを達成できたことにより、Honda RC213Vが信頼性の高い優れたマシンであり、卓越した速さを発揮できることを、証明することができました。最終戦のバレンシアGPも、最高の形で締めくくることができるように我々は総力を結集して戦います。皆さまも、今一度、さらなるご声援をよろしくお願い申し上げます」

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