HRCチーム代表 リビオ・スッポ 現場レポート
vol.97

ペドロサがランキング首位を確保。いよいよシーズン中盤の激戦へ

 シーズン第6戦カタルニアGPは、Repsol Honda Teamのダニ・ペドロサとマルク・マルケスのホームGPです。特にペドロサにとっては、125ccクラス(当時)のデビュー以来、今回が通算200戦目という重要な節目のレースでした。この季節のカタルニア地方にふさわしい晴天が続いたレースウイークで、両選手は今大会も金曜日から存在感を大いに発揮しました。ポールポジション記録を塗り替えたペドロサは2位でゴールしてランキング首位を維持、セッションを重ねるごとに高い水準で学習を重ねていくマルケスも3位と、ともに表彰台を獲得し、大勢の地元ファンを喜ばせました。緊張感の張り詰める熱い戦いが繰り広げられた3日間を、HRCチーム代表のリビオ・スッポが振り返ります。

−今回のカタルニアGPで、ペドロサ選手は2位、マルケス選手は3位でチェッカーを受け、Repsol Honda Teamは今季4度目のダブル表彰台を獲得しました。優勝こそ逃しましたが、満足のいくレースだったでしょうか?

「チームにとっては、ダブル表彰台はいい結果だといえますね。ただ、私たちが求めているものはあくまでも勝利です。だから、100%満足かといわれると、やはりそうではありませんよ」

−ペドロサ選手はレース後に、「中盤周回でペースを上げようとしたときにフロントタイヤの切れ込みが何度も出た」と述べています。レース後にモーターランド・アラゴンで実施する事後テストで解決すべき重要なメニューといえそうですね。

「今回のレースウイークは3日間を通じて非常に暑いコンディションでしたので、多くの選手がフロントタイヤに課題を抱えていました。土曜の予選までは順調だったのですが、日曜の決勝レースになって、残念ながらダニのフィーリングは完ぺきなものではなくなってしまいました。アラゴンのテストではこの問題の解決に取り組むつもりです」

−そのアラゴンテストですが、なぜレースの行われたカタルニア・サーキットで実施するのではなく、わざわざ離れたアラゴンまで移動してテストをすることになったのですか?

「バルセロナから離れているといっても、アラゴンはそんなに遠い距離ではありません(※約250km)。それに、シーズン中盤以降にレースを行う場所でテストを実施することは非常に意義が大きい。そう判断したのがアラゴンでテストを行う大きな理由です」

−カタルニアGPは、マルケス選手にとってシーズンの中でも最も難易度の高いコースの一つと目されていました。予選で獲得したグリッドは2列目6番グリッドでしたが、決勝レースでは3位でフィニッシュしました。前戦が転倒ノーポイントだっただけに、価値の大きな表彰台ですね。

「予選までの流れを考えると、マルクのレース内容は非常にすばらしいものだったと思います。迅速な吸収力と高い学習能力を今回も発揮し、序盤からダニやホルヘ・ロレンソ選手(ヤマハ)の背後にピタリとつけて周回を重ねました。レース中に2人の背後で多くのものを学習し、自分の走りをどんどんよくしていきました。すばらしいですね」

−シーズンの序盤の3分の1を終え、ペドロサ選手は現在、チャンピオンシップ首位です。また、今後の3戦、アッセン(オランダGP)、ザクセンリンク(ドイツGP)、ラグナセカ(アメリカGP)では、昨年のRepsol Honda Teamはいずれも勝利を収めています。サマーブレイクまでのこの3戦は、いいレースを期待できそうですね。

「我々にとって、特にザクセンリンクとラグナセカはいずれも相性のいいコースです。しかし、ロレンソ選手は非常に強力で、安定感の高いライダーです。彼に勝つためには、全力で立ち向かっていかなければなりません。シーズン序盤6戦を振り返ると、我々が3勝(ペドロサ2勝、マルケス1勝)、ロレンソ選手が3勝、という結果です。今後のレースも厳しい戦いが連続することは間違いありません。チームと選手は、これまで以上に気を引き締めて一丸となり、最高の結果を目指して挑戦を続けていきます。皆さまも、応援をよろしくお願いいたします」

−ところで、アラゴンテストでは2014年のプロトタイプマシンを走行させたと聞いています。今回、来年仕様のマシンをテストすることになった経緯をお聞かせください。

「いつもは、翌年型のプロトタイプを8月のブルノ(チェコGP)での事後テストで走行させるのが通例になっています。しかし、今年のレースカレンダーではチェコGP事後テストは実施されず、その代わりに9月のミサノ(サンマリノGP)後に振り替えられる予定です。だから今回、ダニとマルクにアラゴンで2014年のプロトタイプに乗ってもらおうと決めたのです。シェイクダウンをミサノまで待って、そこでもしなにか問題が発生したとすると、最終戦バレンシアGPの事後テストまで、時間があまりありません。しかし、アラゴンでテストをして、2014年仕様の問題を洗い出しておけば、対策を行う十分な時間を取ることができるというわけです」