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2016.02.17 - 19 ロードレース世界選手権 公式テスト オーストラリア フィリップアイランド

今季2回目のテストでセットアップが大きく前進。Honda勢が上位に進出する

今季2回目の公式テストが、2月17日(水)〜19日(金)の3日間、オーストラリアのメルボルン近郊にあるフィリップアイランド・サーキットで行われました。フィリップアイランドで公式テストが行われるのは08年以来、8年ぶりとなります。同サーキットは一周4.448km。高速コーナーが連続するレイアウトでアベレージは高く、カレンダーの中でも高速サーキットとして挙げられる一つです。

マレーシア・セパンでの前回テストでは、今年から採用されるエンジン・コントロール・ユニット(ECU)の共通ソフトウエアをセットアップする作業に多くの時間が費やされました。また、タイヤもブリヂストンからミシュランへと代わり、2016年型「RC213V」で、その変更点による変化の確認作業を行いました。

マレーシアテストのデータをもとに、フィリップアイランドで2回目のテストに挑んだHonda勢は、着実に前進することに成功し、新シーズンに向けた大きな一歩を踏み出しました。

マルク・マルケスマルク・マルケス

マルク・マルケスマルク・マルケス

マレーシアテストで総合5番手だったマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、3日間を通して、大きく進歩。ウエットコンディションとなった初日は、ミシュラン製のレインタイヤをテストし、電子制御の確認作業を行いました。初めて経験するミシュランのレインタイヤでしたが、そのパフォーマンスの高さを実感しつつ、乗りやすさが向上した電子制御で、ウエットコンディションながら本来の走りを取り戻した印象でした。

ドライコンディションになった2日目には、16年型RC213Vのベースとなるセッティングを見いだし、今季ベストとなる総合2番手でテストを終えました。そして最終日の3日目は、厚い雲が空を覆い、気温も路面温度も低いコンディションでしたが、3日間の自己ベストを更新して今季初のトップタイムをマーク。3日間総合では2番手でしたが、タイトル奪還に向けて手応えある3日間となりました。3日間を通して不安定なコンディションでしたが、マルケスは163ラップをこなし、大きな成果を上げました。

マルク・マルケスマルク・マルケス

マルク・マルケスマルク・マルケス

カル・クラッチロー(LCR Honda)は、3日間で140ラップを消化、順調にセットアップを進めました。前回のマレーシアテストでは総合6番手でしたが、今回のテストでは3番手に浮上。ベストタイムもアベレージもよく、明るい表情でした。クラッチローが取り組んでいるのは、電子制御のセッティングと16年型RC213Vとミシュランタイヤのマッチング。まだ、完全に攻めの走りができる状態ではありませんが、セットアップが順調に進み、LCR Honda2年目でのブレイクに期待が膨らみました。

Repsol Honda Teamで11年目のシーズンを迎えるダニ・ペドロサは、総合8番手でテストを終え、着実な前進をみせました。念願のタイトル獲得に闘志を燃やすペドロサは、クラッチロー同様、3日間ともに電子制御と16年型RC213Vとミシュランタイヤのマッチングのテストに多くの時間を割き、マレーシアテストでは総合11番手でしたが、今回は8番手までポジションを上げました。今回のテストはトップのマルケスから1秒差以内に16台がひしめく大接戦。着実にタイムを上げていくペドロサだけに、次のカタールテストでは、トップグループに加わってきそうです。

ダニ・ペドロサダニ・ペドロサ

ダニ・ペドロサダニ・ペドロサ

ジャック・ミラー(Marc VDS Racing Team)は、前回のマレーシアテストこそケガのために参加できませんでしたが、自身にとってのホームサーキットで今季初テストを開始することができました。1月中旬、モトクロスのトレーニングで骨折した右足の頸骨と腓骨の影響で右足の力が足りず、完全なライディングはできませんでした。しかし、周回を重ねるごとにリズムをつかみ、着実にタイムを更新。次のカタールテストでは、体調もさらに回復し、100%に近い走りができそうです。

一昨年のMoto2チャンピオンのティト・ラバト(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)は、前回のマレーシアテスト同様、走り込みに重点を置きました。3日間を通して不安定なコンディションでしたが、Honda勢では最多周回数となる166ラップを走行し、MotoGPマシンを着実に乗りこなしています。

次回のテストはカタールのロサイル・インターナショナル・サーキットで、3月2日(水)〜4日(金)の3日間で行われます。

マルク・マルケス(総合2番手 1分29秒158)
「とにかくこの3日間はとてもいいものでした。特に3日目がとてもよく、大きな一歩を踏み出せたと思います。最終日の午後は、ハイアベレージでペースを維持することに集中しました。新しいタイヤを用いた今年のマシンでは、これまでで一番いい感触を得られました。残念なのはセッションの最後にほかのことを試そうとしたとき、気温も路面温度も低く、時すでに遅しという感じになったことでした。ちょっとプッシュしすぎてフロントから転倒してしまいました。しかし、重要なことは、ケガもせず、ポジティブに仕事を終えられたことです。2日目はベースセッティングを見つけるために電子制御の調整に焦点を置き、今日はマシンのセットアップのバランスを見つけるという、いい仕事をしたと思います。3日間を通じて不安定な天候でした、初日のウエットコンディションから最終日まで、本当に成果ある3日間になりました」

カル・クラッチロー(総合3番手 1分29秒348)
「最終日にほかのライダーたちと同じように第4コーナーのブレーキングで転倒してしまいました。みんな同じ状況だったと思いますが、温度温度が低いときのフロントタイヤのフィーリングをつかむのに苦労しました。しかし、3日間を通して電子制御もミシュランタイヤのテストも多くのメニューをこなすことができました。今の状態でフィリップアイランドを走るのは初めてだったし、あまりプッシュできませんでした。もちろん、それをする必要もありませんでしたけどね。とにかく自分のペースには合格点をつけたいし、もっと速くなれるだろうということを実感しています。カタールまでの間、しばしの休息をとり、またマシンに乗れることを楽しみにしています」

ダニ・ペドロサ(総合8番手 1分29秒606)
「最終日は少し難しい状況でした。2日目に見つけたセットアップを改善することができなかったし、タイムもそれほど改善できませんでした。終日、ユーズドタイヤを使用して、多く周回を重ねました。そして、タイヤの消耗による挙動の変化を知ることに努めました。全体的には、いくつかのポイントを改善することができましたが、まだまだ詰められるポイントがあると思います。マレーシアのときと比べてよかったのは、電子制御が大きく改善されていることです。カタールではさらにセットアップが前進することを望んでいます」

ジャック・ミラー(総合15番手 1分30秒023)
「今回は多くのことに取り組めたので、本当にいいテストになりました。今回のテストでは、今年のマシンのフィーリングを確認できました。今回のテストで感じたのは、カタールまでの2週間で、さらに足の回復に努めなければいけないということでした。3日間を通して成果あるテストになりましたが、残念だったのは不安定な天気でした。そんな中でも周回を重ねられたのはよかったと思います。最終日の午後に転倒しましたが、完全に自分のミスでした。2016年の最初のテストとしてはとても満足しています。次のカタールが楽しみです」

ティト・ラバト(総合16番手 1分30秒119)
「フィリップアイランドでは、雨の日も晴れの日も多くのことを学べたので、とても満足しています。今日は2回も転倒してしまいましたが、その転倒で学ぶことも多かったし、RC213Vとミシュランタイヤについてさらに理解することができました。しかし、まだやるべきことは山積みです。自分にとっては、一歩一歩改善をすることが必要です。プッシュすることも大事ですが、今は転倒の連鎖を避けるようにしたいです。これでフィリップアイランドを離れますが、カタールで再びマシンに乗れることが楽しみです」

総合リザルト
順位 No. ライダー マシン タイム/差
125M.ビニャーレススズキ 1'29.131
293マルク・マルケスHonda+0.027
335カル・クラッチローHonda+0.217
499J.ロレンソヤマハ+0.226
58H.バルベラドゥカティ+0.230
646V.ロッシヤマハ+0.273
776L.バズドゥカティ+0.452
826ダニ・ペドロサHonda+0.475
944P.エスパルガロヤマハ+0.587
1029A.イアンノーネドゥカティ+0.726
114A.ドヴィツィオーゾドゥカティ+0.729
1245S.レディングドゥカティ+0.791
1338B.スミスヤマハ+0.861
149D.ペトルッチドゥカティ+0.864
1543ジャック・ミラーHonda+0.892
1653ティト・ラバトHonda+0.988
1741A.エスパルガロスズキ+1.067
1868Y.ヘルナンデスドゥカティ+1.361
1950E.ラバティドゥカティ+1.486
2012津田拓也スズキ+3.468

マルク・マルケス

マルク・マルケス

マルク・マルケス

マルク・マルケス

ダニ・ペドロサ

ダニ・ペドロサ

ダニ・ペドロサ