2012年5月4日(金)・1日目フリー走行 会場:エストリル・サーキット
天候:曇り 気温:17℃ コースコンディション:ウエットのちドライ
第3戦ポルトガルGPのフリー走行1日目は、先週のスペインGPで今季初優勝を達成したケーシー・ストーナー(Repsol Honda Team)がトップタイムをマーク、好調なスタートを切りました。午前中1回目の走行は、朝方まで降った雨の影響で、ところどころにウエットパッチが残る微妙なコンディション。そのため、このセッションの走行を見送る選手たちもいましたが、ストーナーは6ラップをこなし、マシンの確認を行いました。そして、ほぼドライコンディションとなった午後のセッションでは、コースインするごとに順調にタイムを短縮しました。250cc時代の2005年に優勝して以来、エストリルでは優勝のないストーナーですが、前戦スペインGPの好調をキープ、今季2勝目に向けて絶好のスタートを切りました。
今年は路面の一部分が改修されました。しかし、改修された新しいアスファルト部分のコンディションがつかみにくく、選手たちは苦労しました。昨年の大会で優勝を達成、ポルトガルGP2連覇と今季初優勝に闘志を燃やすダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は、終日、微妙な路面コンディションの中で、手探りの走行となりました。午前中は、わずか5ラップ。午後のセッションでは、19ラップと積極的に周回をこなしますが、濡れているセクションでラインを変えるなど慎重な走りとなり、4番手で初日を終えました。
この日は、路面コンディションが難しかったこともあり、トップのストーナーから1秒差以内に9台がひしめき合う混戦となりました。その中で、アルバロ・バウティスタ(Team San Carlo Honda Gresini)は6番手。午前、午後と、異なるセットアップを比較しながら、手応えある一日となりました。対照的にMoto2時代に2連勝を達成しているルーキーのステファン・ブラドル(LCR Honda MotoGP)は、難しいコンディションに苦戦して12番手。課題はリアのグリップ不足で、データを分析して2日目の順位ばん回に挑みます。CRTマシンのミケーレ・ピロ(Team San Carlo Honda Gresini)は17番手でした。
Moto2クラスは、スコット・レディング(Mark VDS Racing Team)が、トップタイムをマークしました。今年はウインターテストから好調も、開幕戦カタールGPで6位、第2戦スペインGPで4位と、まだ表彰台に立っていないだけに、今季初表彰台に向けて大きく前進する一日となりました。以下、1秒差以内に11台が連なる接戦となり、開幕から優勝、2位と好調なマルク・マルケス(Team CatalunyaCaixa Repsol)が2番手、トーマス・ルティ(Interwetten-Paddock)が3番手と続きました。日本人勢は、中上貴晶(Italtrans Racing Team)が15番手。高橋裕紀(NGM Mobile Forward Racing)が19番手。両選手ともにセットアップに集中する一日となり、2日目の予選では大幅なポジションアップが期待されます。
Moto3クラスは、1回目がウエットコンディション、2回目のセッションも、ところどころ水たまりが残る難しいコンディションとなりますが、ホームGPに気合満点のミゲル・オリベイラ(Estrella Galicia 0,0)がトップタイムをマーク。以下、開幕戦カタールGPで優勝のマーベリック・ビニャーレス(Blusens Avintia)が4番手、アレクシ・マスボー(Caretta Technology)が5番手、前戦スペインGPで優勝のロマノ・フェナティ(Team Itaria FMI)が6番手と続き、トップ10に6台のHonda勢が名前を連ねました。ルーキーの藤井謙汰(Technomag-CIP-TSR)は32番手でした。
ケーシー・ストーナー(MotoGP 1番手)「午前中はマシンの確認で数周走りましたが、すべてうまく機能していました。先週のヘレスと同じようなコンディションだったので、ウエットパッチがどこにあるのか、どこに残るのか見たかったです。そして午後のセッションも、残念ながら完全に乾いていない部分がありました。でも、なんとかいいタイムを出することができました。今の時点で、マシンはいい感じです。今日走ったことでセッティングの方向性が見えてきました」
ダニ・ペドロサ(MotoGP 4番手)「先週のヘレスと同じようなコンディションでした。最初のセッションはほとんど走ることができなかったし、午後も路面コンディションがあまりよくありませんでした。とても滑りやすく、フロントもリアもグリップがありませんでした。タイヤが常にスライドしていたので、マシンからのフィードバックを得るのも難しかったです。新しいアスファルト部分に水が残り、ラインを変える必要もありました。これ以上雨が降らなければいいと思います。そしてこの部分を何らかの方法で乾かすことができないかなと思います。特に最終コーナーはとても濡れていました。天候が回復し、グリップレベルがよくなれば、サスペンションのセットアップに取り組みたいです」
アルバロ・バウティスタ(MotoGP 6番手)「午前中の路面は、まるでヘレスのようでした。同じような週末になるのではないかと心配でしたが、最終コーナーに少し水たまりが残っていた程度で、幸いドライセッションで走ることができました。今日は、2つの違うセッティングにトライしました。コーナーエントリーのリアコントロールをよくするためのいいポイントを見つけることができました。明日はリアグリップを改善できると思います」
ステファン・ブラドル(MotoGP 12番手)「MotoGPクラスを戦うようになって、最も難しい一日でした。リアグリップがつかめず、コーナーエントリーでタイムを落としてしまいました。特に中速コーナーで十分なリアグリップが得られませんでした。タイヤをきちんと温めることができなかったし、スライドも多かったです。このためにいつものようにアグレッシブに走ることができませんでした。データをチェックして明日はセッティングをよくしたいです。今日の結果は悪かったですが、途方に暮れているわけではありません。明日は、ペースを上げられる自信があります」
中本修平|HRCチーム代表「今日はコンディションが悪く、ケーシーとダニの両選手は、マシンの確認で一日が終わりました。そういう状況の中でも少しずつセッティングは進みました。今日は大きな問題点もありませんでした。明日は、コンディションに合わせてセットアップを進めたいです」
スコット・レディング(Moto2 1番手)「ヘレスは表彰台に立てませんでしたが、マシンにも進展があったし、いいレースができました。今週はさらにいいレースをしたいと思っています。午後はできる限りプッシュしました。ラップタイムもよかったし、安定していました。引き続き、明日もがんばりたいです。予選の目標は2列目までに並ぶことです。チーフメカニックのベンソンが、今日50歳の誕生日を迎えたので、決勝では、彼にいいプレゼントを贈りたいです」
マルク・マルケス(Moto2 2番手)「午前のセッションは、まだ濡れている場所があったので注意して走りました。午後はほとんどドライでしたが、最終コーナーだけ濡れていました。雨が降っていたわけではないのに、なかなか乾かなかったので、そのことを覚えておかなくてはいけません。今日は最初から一生懸命がんばりました。そして快適でした。コースにバンプがあって、速く走るのが難しいところがありますが、初日としてはまずまずでした。明日はマシンを改善したいです。そして決勝へ向けた準備を進めたいと思います」
中上貴晶(Moto2 15番手)「今日はバタバタの一日でした。午前から午後に向けてセッティングを変えましたが、いい部分も悪い部分もありました。しかし、結果的にセットアップの方向性がみえてよかったです。午後は、ギアがショートだったのでロングに変えてもらいました。今度はちょっとロングになりすぎたので、土曜日に向けてさらに変更することになりました。路面の改修された部分が真っ黒で、濡れているのか乾いているのか分かりにくく、走りにくかったです。順位は悪かったのですが、明日の予選ではフロントローを狙いたいと思います」
高橋裕紀(MotoGP 19番手)「今回はフレームを交換して、初日のセッションに挑みました。2011年型という点では、前回まで使っていたものと同じですが、若干、スペックが違っていて、フィーリングもいままでとは違うものでした。フロントが硬く、リアがソフト傾向という車体で、まだまだセッティングが必要な部分はあります。しかし、フロントの接地感があり、悪くないです。2日目も引き続きセッティングしたいと思います。今日は19番手でしたが、順位ほど悪くないです」
ミゲル・オリベイラ(Moto3 1番手)「今日の結果には満足しています。午前中の難しいコンディションで2番手のタイムを出せました。午後はスリックタイヤを使うことができたので、セットアップも進み、タイムも上げることができました。落ち着いて取り組んだし、できる限りいい感触をみつけようとしました。まだセットアップに改善の余地はあるので、引き続きがんばりたいです」
マーベリック・ビニャーレス(Moto3 4番手)「順調な一日でした。午前中のウエットコンディションですぐにいい感触をみつけることができました。午後のセッションは、コーナー出口でグリップがあまりよくありませんでしたが、これが改善できれば、前半区間でもっと速く走ることができます。ヘレスでは、ドライコンディションで少し方向を見失ったけれど、再びよい状態を見つけることができました。明日は車体にもう少し取り組まなければいけません」
藤井謙汰(Moto3 32番手)「今日は難しいコンディションでした。午前中はコースの半分くらいがウエットで、レインタイヤで走りました。午後はほぼドライになってスリックで走れましたが、後半セクションですごくタイムロスしてしまいました。T4区間だけでトップから3秒近くも遅れていたので、土曜日はその部分を攻略したいです。カタールほどではないけれど、あまりにもタイム差があって、自分でもがっかりしました。明日はがんばりたいです」
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 1 | ケーシー・ストーナー | Honda | 1:38.396 |
2 | 11 | B.スピーズ | ヤマハ | +0.321 |
3 | 35 | C.クラッチロー | ヤマハ | +0.346 |
4 | 26 | ダニ・ペドロサ | Honda | +0.401 |
5 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +0.534 |
6 | 19 | アルバロ・バウティスタ | Honda | +0.563 |
7 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +0.633 |
8 | 8 | H.バルベラ | ドゥカティ | +0.797 |
9 | 46 | V.ロッシ | ドゥカティ | +0.961 |
10 | 4 | A.ドヴィツィオーゾ | ヤマハ | +1.219 |
11 | 17 | K.アブラハム | ドゥカティ | +1.811 |
12 | 6 | ステファン・ブラドル | Honda | +2.502 |
13 | 14 | R.デ・ピュニエ | ART | +2.692 |
14 | 41 | A.エスパルガロ | ART | +3.238 |
15 | 68 | Y.ヘルナンデス | BQR | +3.242 |
16 | 54 | M.パシーニ | ART | +3.577 |
17 | 51 | M.ピロ | FTR | +3.856 |
18 | 5 | C.エドワーズ | SUTER | +4.191 |
19 | 22 | I.シルバ | BQR | +4.408 |
20 | 9 | D.ペトルッチ | IODA | +4.588 |
21 | 77 | J.エリソン | ART | +5.269 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 45 | スコット・レディング | KALEX | 1:41.775 |
2 | 93 | マルク・マルケス | SUTER | +0.203 |
3 | 12 | トーマス・ルティ | SUTER | +0.401 |
4 | 24 | トニ・エリアス | SUTER | +0.452 |
5 | 40 | ポル・エスパルガロ | KALEX | +0.590 |
6 | 38 | ブラッドリー・スミス | TECH 3 | +0.799 |
7 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | SUTER | +0.807 |
8 | 77 | ドミニク・エージャーター | SUTER | +0.826 |
9 | 5 | ヨハン・ザルコ | MOTOBI | +0.894 |
10 | 36 | ミカ・カリオ | KALEX | +0.936 |
11 | 88 | リカルド・カルダス | AJR | +0.957 |
12 | 71 | クラウディオ・コルティ | KALEX | +1.002 |
13 | 3 | シモーネ・コルシ | FTR | +1.009 |
14 | 19 | ザビエル・シメオン | TECH 3 | +1.121 |
15 | 30 | 中上貴晶 | KALEX | +1.143 |
16 | 63 | マイク・ディ・ミリオ | SPEED UP | +1.191 |
17 | 95 | アンソニー・ウエスト | MORIWAKI | +1.368 |
18 | 18 | ニコラス・テロール | SUTER | +1.430 |
19 | 72 | 高橋裕紀 | SUTER | +1.474 |
20 | 4 | ランディ・クルメンナッハ | KALEX | +1.496 |
21 | 60 | フリアン・シモン | SUTER | +1.509 |
22 | 80 | エステベ・ラバト | KALEX | +1.661 |
23 | 8 | ジノ・レイ | MORIWAKI | +2.068 |
24 | 49 | アクセル・ポンス | KALEX | +2.163 |
25 | 76 | マックス・ノイキルヒナー | KALEX | +2.245 |
26 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | MORIWAKI | +2.307 |
27 | 44 | ロベルト・ロルフォ | SUTER | +2.370 |
28 | 29 | アンドレア・イアンノーネ | SPEED UP | +2.461 |
29 | 47 | アンヘル・ロドリゲス | FTR | +2.923 |
30 | 7 | アレクサンダー・ルンド | MZ-RE Honda | +3.811 |
31 | 82 | エレナ・ロセール | MORIWAKI | +4.351 |
32 | 10 | マルコ・コランドレア | FTR | +5.515 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 44 | ミゲル・オリベイラ | SUTER Honda | 1:48.497 |
2 | 11 | S.コルテセ | KTM | +0.014 |
3 | 39 | L.サロン | KALEX KTM | +0.382 |
4 | 25 | マーベリック・ビニャーレス | FTR Honda | +0.841 |
5 | 10 | アレクシ・マスボー | Honda | +0.913 |
6 | 5 | ロマノ・フェナティ | FTR Honda | +1.063 |
7 | 52 | D.ケント | KTM | +1.278 |
8 | 96 | ルイス・ロッシ | FTR Honda | +1.373 |
9 | 26 | エイドリアン・マーティン | FTR Honda | +1.440 |
10 | 61 | A.シシス | KTM | +1.663 |
11 | 7 | エフレン・バスケス | FTR Honda | +1.963 |
12 | 55 | H.ファウベル | KALEX KTM | +2.038 |
13 | 84 | ヤコブ・コーンフェール | FTR Honda | +2.108 |
14 | 42 | アレックス・リンス | SUTER Honda | +2.156 |
15 | 63 | Z.カイルディン | KTM | +2.269 |
16 | 89 | アラン・ティーチャー | TSR Honda | +2.281 |
17 | 19 | アレッサンドロ・トヌッチ | FTR Honda | +2.451 |
18 | 23 | A.モンカヨ | KALEX KTM | +2.498 |
19 | 6 | ホアン・オリベ | KTM | +2.581 |
20 | 27 | ニッコロ・アントネッリ | FTR Honda | +2.691 |
21 | 41 | B.バインダー | KALEX KTM | +2.870 |
22 | 99 | D.ウェッブ | MAHINDRA | +2.941 |
23 | 12 | アレックス・マルケス | SUTER Honda | +3.210 |
24 | 53 | ジャスパー・イウェマ | FGR Honda | +3.320 |
25 | 21 | イバン・モレノ | FTR Honda | +3.740 |
26 | 32 | アイザック・ビニャーレス | FTR Honda | +3.946 |
27 | 73 | M.タタショア | Honda | +4.099 |
28 | 77 | M.シュローター | MAHINDRA | +4.288 |
29 | 30 | G.ペドネ | ORAL | +5.253 |
30 | 3 | L.モルチャーノ | IODA | +6.103 |
31 | 9 | トニ・フィンスターブッシュ | MZ FTR | +6.158 |
32 | 51 | 藤井謙汰 | TSR Honda | +7.116 |
33 | 86 | K.ハヌス | Honda | +7.478 |
- | 80 | A.ポントーン | IODA | +7.929 |
- | 15 | S.グロツキー | ORAL | +17.718 |