最終戦バレンシアGPのフリー走行は、青空が広がる絶好のコンディションの中で行われ、ホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)がトップタイム。以下、1秒差以内に10台という接戦になり、マルコ・シモンチェリ(Team San Carlo Honda Gresini)が4番手、アンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)5番手、ランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)7番手、マルコ・メランドリ(Team San Carlo Honda Gresini)8番手と、トップ10に4台のHonda勢が名前を連ねた。また、ケガから復帰して2戦目となるダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は12番手。青山博一(Interwetten Honda MotoGP)は14番手という結果だった。
シーズン後半戦に入ってから調子を上げているシモンチェリは、今大会も好調をキープし、Honda勢で最上位の4番手で初日を終えた。午前中1回目の走行では、ケーシー・ストーナー(ドゥカティ)がトップタイムをマーク。以下、ロレンソ、ドヴィツィオーゾと続き、シモンチェリがそのあとにつけた。午後2回目の走行でもシモンチェリは好走を見せて、1回目よりタイムを上げて4番手をキープ。2日目予選での、MotoGP初のフロントロー獲得に期待をつないだ。
シモンチェリと両セッションを通じて僅差の順位争いを繰り広げたドヴィツィオーゾは、1回目、2回目ともに、コーナー進入時の安定性を改善するセットアップに集中。2日目の走行に向けて方向性を見い出すことに成功した。このため2日目のタイム短縮とポジションアップに自信を見せている。今シーズンは、ここまで7回の表彰台登壇を果たすも優勝がないだけに、最終戦での今季初優勝に闘志を燃やしている。
今大会で200戦目を迎えるデ・ピュニエは、まずまずの走りで7番手につけた。両セッションともにロングランをこなし、エンジンと車体のセットアップに取り組んだ。今年は好調なスタートを切るも、シーズン中盤戦は左足のケガの影響で低迷した。しかし、この数戦は足の状態もよくなり上り調子。前戦ポルトガルGPでは6位でフィニッシュしているだけに、今大会はそれ以上のリザルトを狙っている。
来季スーパーバイク世界選手権にスイッチすることが決まっているメランドリは、今大会がMotoGPクラスへのチャレンジに一区切りをつける大会となるだけに、今季ベストリザルトを狙っている。午前中1回目の走行では13番手だったが、午後2回目の走行ではタイムを短縮して8番手に浮上。2日目の予選では、さらに上位を目指す。
第14戦日本GPのフリー走行で左鎖骨を骨折したペドロサは、12番手スタートとなった。ペドロサは、日本GPの決勝と第15戦マレーシアGPを欠場、第16戦オーストラリアGPでは復帰したが、決勝をキャンセルした。前戦ポルトガルGPで完全復帰を果たして8位。今大会はさらに上位を狙う予定だが、この日は、左回りのレイアウトに苦戦して12番手だった。しかし、左腕をカバーするセッティングを模索して着実にタイムを上げているだけに、2日目の走りに期待される。
青山は、1回目、2回目の走行ともに、ウイリーするエンジンのセッティングに苦戦して14番手だった。しかし、気温も路面温度も上がった午後の走行では、フィーリングが向上。2日目の走行でウイリーする問題を解決できれば一気にタイムを上げることが見込まれる。
Moto2クラスは、前戦ポルトガルGPで初優勝を達成したステファン・ブラドル(Viessmann Kiefer Racing)がトップタイム。以下、1秒差以内に19台という大接戦となり、その中で高橋裕紀(Tech 3 Racing)が15番手につけている。國川浩道(Bimota-M Racing)は42番手だった。
マルコ・シモンチェリ(MotoGP 4番手) 「日本GPから我々はすごく進歩することができた。この2戦は、どのセッションもポジションがよく、前戦ポルトガルGPでは表彰台争いができた。今回もトップタイムのロレンソから0.7秒遅れているけれど、4番手という表彰台を争える位置にいる。エストリルとはコースのキャラクターは違うけれど、いいフィーリングに変わりはなく、調子もいい。今大会はシーズン最後のレース。来年につながるいい結果を残したい」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 5番手) 「このサーキットはいつも苦労するけれど、今日はいいスタートを切ることができた。まだタイムもポジションも十分ではないし、まだまだやらなければいけないことはある。しかし、午前、午後と着実にセットアップを進めることができた。今日は、コース前半でタイムがよかったけれど、後半部分でロスしていた。しかし、いくつか違うセットアップを試し、セットアップの方向性を見つけることができた。今日はコーナーの進入がよくなった。これで、さらにタイムを上げることができるし、ポジションも上げる自信がある」
ダニ・ペドロサ(MotoGP 12番手) 「このサーキットは左コーナーが多いので、左腕への負担は前回のポルトガルGPとあまり変わりなく、厳しい走りを強いられている。今日はタイムも遅くて、トップから1.2秒も遅れてしまった。明日、もう2回のセッションがあるけれど、もっとペースを上げなくてはならない。トップとの差も縮めなければならない。今大会は、地元ファンが大勢来てくれるので、もっといい走りを見せたい。明日は決勝に向けていい状態に仕上げたい」
青山博一(MotoGP 14番手) 「午前中はあまりいい感じで走ることができなかったが、午後は、気温も路面温度も上がってソフトとハードの両方のタイヤを試すことができた。しかし、シフトアップのときにフロントが浮いてしまい、そのときにアクセルを戻さなければならず、ストレートでロスしている。午後の走行ではパワーを落とすセッティングにしたのだが、フロントが浮いてしまう症状は変わらなかったので、元に戻した。明日も引き続き、この辺のバランスを取る作業に取り組み、タイムを上げたい」
山路敏幸|Repsol Honda Team監督 「オーストラリア、ポルトガルと雨が多かったが、今大会は、久しぶりにドライコンディションで初日の走行をこなせた。そのため、前回のエストリルでできなかったことを、今日のFP1とFP2でできた。ダニは、エストリルでは左鎖骨に痛みがあり完全な状態ではなかった。今回も、まずは体調の確認を行いつつ、フィーリングを感じながら慣熟走行に集中した。FP1よりFP2の方がタイムはよかったし、明日はフィジカル面を助けられるような手法でセットアップしたい。アンドレアは、FP1では減速時の安定性が不足していたが、FP2にかけて改善することができた。まだ改善の余地があるので、FP3に向けて、さらにセットアップをつめていきたい」
高橋裕紀(Moto2 15番手) 「フィーリングは悪くないのだが、なかなかポジションを上げることができなかった。今日は2種類のタイヤをテストしたが、左右非対称のハードのタイヤの方でベストを出した。しかし、グリップがよすぎて旋回性が悪く、難しかった。明日はこの問題を解決するためにセッティングをさらに見直したい。ただ、この数戦、あまりいい走りをできていなかったので、それに比べたら、今回はいいスタートを切ることができたと思う」
MotoGP
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | 1:32.690 |
2 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | +0.207 |
3 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +0.776 |
4 | 58 | マルコ・シモンチェリ | Honda | +0.778 |
5 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +0.780 |
6 | 11 | B.スピーズ | ヤマハ | +0.838 |
7 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +0.845 |
8 | 33 | マルコ・メランドリ | Honda | +0.878 |
9 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +0.971 |
10 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +0.994 |
11 | 40 | H.バルベラ | ドゥカティ | +1.092 |
12 | 26 | ダニ・ペドロサ | Honda | +1.237 |
13 | 41 | A.エスパルガロ | ドゥカティ | +1.264 |
14 | 7 | 青山博一 | Honda | +1.464 |
15 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +1.558 |
16 | 19 | A.バウティスタ | スズキ | +1.606 |
17 | 71 | C.チェカ | ドゥカティ | +1.946 |
Moto2
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 65 | ステファン・ブラドル | SUTER | 1:36.666 |
2 | 60 | フリアン・シモン | SUTER | +0.181 |
3 | 17 | カレル・アブラハム | FTR | +0.209 |
4 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | MOTOBI | +0.265 |
5 | 45 | スコット・レディング | SUTER | +0.282 |
6 | 31 | カルメロ・モラレス | SUTER | +0.515 |
7 | 16 | ジュール・クルーゼル | SUTER | +0.541 |
8 | 12 | トーマス・ルティ | MORIWAKI | +0.566 |
9 | 24 | トニー・エリアス | MORIWAKI | +0.575 |
10 | 3 | シモーネ・コルシ | MOTOBI | +0.592 |
11 | 71 | クラウディオ・コルティ | SUTER | +0.630 |
12 | 63 | マイク・ディ・ミリオ | SUTER | +0.643 |
13 | 77 | ドミニク・エージャーター | SUTER | +0.697 |
14 | 54 | ケナン・ソフォーグル | SUTER | +0.742 |
15 | 72 | 高橋裕紀 | TECH 3 | +0.778 |
16 | 68 | ヨニー・ヘルナンデス | BQR-MOTO2 | +0.810 |
17 | 2 | ガボール・タルマクシ | SPEED UP | +0.819 |
18 | 43 | ローマン・ラモス | MIR RACING | +0.923 |
19 | 46 | ハビエル・フォレス | AJR | +0.971 |
20 | 25 | アレックス・バルドリーニ | I.C.P. | +1.030 |
21 | 29 | アンドレア・イアンノーネ | SPEED UP | +1.054 |
22 | 9 | ケニー・ノイズ | PROMOHARRIS | +1.058 |
23 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | TECH 3 | +1.121 |
24 | 80 | アクセル・ポンス | PONS KALEX | +1.149 |
25 | 6 | アレックス・デボン | FTR | +1.161 |
26 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | BIMOTA | +1.169 |
27 | 61 | ウラジミール・イワノフ | MORIWAKI | +1.174 |
28 | 55 | ヘクトル・ファウベル | SUTER | +1.215 |
29 | 40 | セルジオ・ガデア | PONS KALEX | +1.284 |
30 | 19 | ザビエル・シメオン | MORIWAKI | +1.426 |
31 | 56 | マイケル・ランセダー | SUTER | +1.446 |
32 | 4 | リチャード・カルダス | BIMOTA | +1.479 |
33 | 10 | フォンシ・ニエト | MORIWAKI | +1.612 |
34 | 44 | ロベルト・ロルフォ | SUTER | +1.730 |
35 | 8 | アンソニー・ウエスト | MZ-RE HONDA | +1.796 |
36 | 39 | ロベルティーノ・ピエトリ | SUTER | +2.087 |
37 | 5 | ホアン・オリベ | PROMOHARRIS | +2.143 |
38 | 70 | フェルッチオ・ランボルギーニ | MORIWAKI | +2.190 |
39 | 53 | バレンティン・ドゥビーズ | ADV | +2.432 |
40 | 95 | マシェル・アル・ナイミ | BQR-MOTO2 | +3.594 |
41 | 88 | ヤニック・グエラ | MORIWAKI | +4.230 |
42 | 66 | 國川浩道 | BIMOTA | +6.163 |
125cc
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 38 | B.スミス | アプリリア | 1:40.116 |
2 | 93 | M.マルケス | デルビ | +0.103 |
3 | 40 | N.テロール | アプリリア | +0.398 |
4 | 7 | E.バスケス | デルビ | +0.603 |
5 | 44 | P.エスパルガロ | デルビ | +0.744 |
6 | 11 | S.コルテセ | デルビ | +1.603 |
7 | 26 | A.マーティン | アプリリア | +1.658 |
8 | 12 | E.ラバト | アプリリア | +1.824 |
9 | 14 | J.ザルコ | アプリリア | +1.876 |
10 | 39 | L.サロン | アプリリア | +2.099 |