チェコGPの予選は、濃霧のために午前中のフリー走行開始が30分遅れた。しかし、午後にかけて次第に青空が広がり、予選セッションは3クラスともに夏の日射しが降り注ぐ中で行われた。MotoGPクラスは、初日2番手と好調なスタートを切ったダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)が今季3回目のポールポジション(PP)を獲得。初日4番手のアンドレア・ドヴィツィオーゾ(Repsol Honda Team)は、午前中のフリー走行で3番手へと順位を上げたが、午後の予選では大接戦の中で6番手へとポジションを落とした。しかし、Repsol Honda Teamの両選手は決勝で好成績が期待できる、安定したラップタイムを刻んだ。
以下、Honda勢はケガから2戦ぶりに復帰のランディ・デ・ピュニエ(LCR Honda MotoGP)が11番手と熱走を披露。マルコ・シモンチェリ(Team San Carlo Honda Gresini)12番手、マルコ・メランドリ(Team San Carlo Honda Gresini)14番手、アレックス・デ・アンジェリス(Interwetten Honda MotoGP)15番手だった。
第2戦スペイン、第4戦イタリア以来、今季3回目のPPを獲得したペドロサ。初日2番手と好調なスタートを切ったが、2日目のフリー走行で首位に浮上。午後の予選でも快調にラップを刻んでライバルを圧倒した。第8戦ドイツGPで今季2勝目を挙げたレースも、初日から好調にラップを刻んだ。今大会もセッションをこなすごとにベストタイムもアベレージも上げているだけに、決勝では今季3勝目を狙う。
2日目のフリー走行で3番手と、ペドロサ同様、快調にラップを刻んだドヴィツィオーゾは、ペドロサから1秒差以内に7台という接戦の中で6番手につけた。アベレージでは十分に表彰台を狙えるハイペースを刻んだ。予選セッションのアタックでは小さなミスでタイムロス、2列目6番手から決勝に挑むことになったが、今季5回目の表彰台と今季初優勝に向けて大きく前進した。
第8戦ドイツGPの決勝で左足けい骨を骨折、2戦ぶりに復帰のデ・ピュニエは、午前中のフリー走行で転倒を喫する波乱のスタート。さらに、シフトチェンジで左足の痛みと格闘するというハンディキャップを抱えながら、予選では11番手と熱走を見せた。昨年の大会も左足首を負傷していたが、決勝では10位と熱走を見せた。今年もトップ10を目標に決勝に挑む。
初日8番手と好調なスタートを切ったシモンチェリは、2日目のフリー走行でも9番手と順調にセットアップを進めた。しかし、午後の予選ではセッション序盤に痛恨の転倒を喫し、その後も転倒の影響で思うようにタイムを伸ばせず、12番手と追い上げのレースに挑むことになった。セットアップに苦戦しているチームメートのメランドリは、この日もセットアップをまとめきれず14番手。負傷欠場の青山博一の代役として3戦目を迎えるデ・アンジェリスは15番手だった。
Moto2クラスは、初日3番手と好調なスタートを切った富沢祥也が、第2戦スペインGP以来、2度目のPPを獲得。2番手にアンドレア・イアンノーネ(Fimmco Speed up)、3番手にトニー・エリアス(Gresini Racing Moto2)、4番手にロベルト・ロルフォ(SUTER)と続き、この4人がフロントローを獲得。5番手には高橋裕紀(TECH 3)が続き、7番手までが1秒差以内だった。代役出場として3戦目を迎える手島雄介(MOTOBI)は29番手。ブルノは1周5.403kmと長いコース。Moto2クラスは大接戦が続いているが、今大会は予想以上にタイム差が開く予選となった。
ダニ・ペドロサ(MotoGP ポールポジション) 「6月のイタリアGP以来のPP獲得。長い間PPから遠ざかっていたので、本当にうれしい。昨日、今日と順調にセットアップは進んだ。ベストタイムはもちろんのこと、いいペースで走ることもできた。しかし、明日も依然として不安定な天候が予想されるので、どんなコンディションになってもいいように準備しておきたい。明日のレースがもしドライコンディションなら、いいレースをする自信がある。タイムは接近しているし、みんな速いので、特別、こういうレースをしようという作戦はない。とにかくベストを尽くし、表彰台に立てるようにしたい」
アンドレア・ドヴィツィオーゾ(MotoGP 6番手) 「昨日から今日にかけてセットアップは進み、ペースもよかった。去年のレースと比べても、ラップタイムは大幅に向上し、バイクの状態がよくなっていることを証明することができた。午後の予選でもいいラップを刻めた。しかし、リアが動き過ぎるので、もう少しセットアップを進めたい。今日のダニは本当にすばらしいスピードだった。バレンティーノ(ヤマハ)とホルヘ(ヤマハ)が転んだことを見ても、みんな限界で走っていたと思う。昨日できなかったハードタイヤのテストもできた。決勝はソフトを使うことになると思うが、準備はできた。明日はどんな天候になろうとベストを尽くしたい」
ランディ・デ・ピュニエ(MotoGP 11番手) 「ドイツGPで骨折、手術をしてから25日目の走行で11番手というリザルトに驚いている。あと、0.1秒タイムを上げれば3列目に並べたし、自分の体調、足の状態を考えれば信じられない気分だ。昨日は、自分のいまの体調に合わせて、なるべくロングランできるように考えて走っていた。今日は8ラップから10ラップ連続で走れたし、もし、今日のペースをキープできたら、明日の決勝はトップ10フィニッシュも夢ではない。今日は多くのライダーが転倒した。自分も転倒したがケガがなくて本当によかった。22ラップの決勝レースは、痛み止めの注射を打って挑む。日を追うごとに足の状態はよくなっているのがうれしい」
マルコ・シモンチェリ(MotoGP 12番手) 「今日はうまくいかなかった。セッション開始直後に転んでしまった。おそらくリアタイヤが十分に暖まっていなかったせいだが、この転倒の影響で残りのセッションは十分にパフォーマンスができなかった。転倒したのは完全に自分のミス。転倒の原因をしっかりと把握して、明日のウオームアップで最後のセットアップに取り組みたい」
マルコ・メランドリ(MotoGP 14番手) 「厳しい一日だった。電子制御がうまくいかず、あらゆることにトライした。特にエンジンブレーキのセッティングが決まらず、コーナーの進入でタイムをロスしていた。決勝に向けて、明日のウオームアップでさらにセットアップに取り組みたい」
アレックス・デ・アンジェリス(MotoGP 15番手) 「自分で見ることはできなかったが、今日はセッションの半分近くでトップ10にいることができた。バイクのフィーリングはよくなってきたし、コーナーの進入でもスピードが上がってきた。これはだんだん乗れてきている証拠だし、明日のウオームアップでさらにセットアップを詰めたい。明日の決勝は、トップ10でフィニッシュできるようにがんばりたい」
山路敏幸|Repsol Honda Team 監督 「午前中は難しいコンディションだったが、ダニはフリー走行を有効に使えたことで、午後の予選につなげられた。昨日に引き続き今日も大きな問題はなく、明日のウオームアップでレースタイヤの最終確認をして、最終的なセットアップをまとめたい。アンドレアも全体的にまとまっているのだが、予選のアタックでは小さなライディングミスが重なって、タイムに影響してしまった。結果的に2列目からの決勝に挑むことになったがスタートからプッシュしてもらい、ダニとともに表彰台に立ってもらいたい。明日はいいレースを期待しているし、1-2フィニッシュを狙っていきたい」
富沢祥也(Moto2 ポールポジション) 「昨日はセッション序盤に転倒するミスを犯したが、今日はフリー、予選ともに順調だった。特に予選は作戦通りに走れた。いつも予選はセッション終盤にクリアラップが取れないので、セッション序盤に一度タイムを出しておこうと思った。このアタックでまずまずのタイムをマークできたので、それから落ち着いて走ることができた。最後にもう一度アタックしたが、さらにタイムを更新することができた。ここはがんばり過ぎるとタイムが出ないので、明日も落ち着いていきたい。第2戦以降、表彰台に立っていないので、明日は表彰台を狙って行きたい」
アンドレア・イアンノーネ(Moto2 2番手) 「昨日今日と、セッティングをまとめるために全力を尽くした。最終的にかなりいい状態になったが、最後にニュータイヤを入れてアタックできなかったのは残念だった。明日の決勝を楽しみにしている」
トニー・エリアス(Moto2 3番手) 「今日はPPを獲れると思ったのだが、最後のアタックでシフトミスをしてタイムをロスしてしまった。しかし、バイクの状態はよく、明日はいいスタートを切ってトップグループに絡みたい」
高橋裕紀(Moto2 5番手) 「昨日に比べてかなりセッティングは進んだが、いままでと同じ状態で、混戦になると厳しい戦いになると思う。旋回性が悪いので、ライン取りが大きくなるので、レースになるとインを差されると思う。そうなると自分のラインをキープできないのが苦しい。今回はタイヤがフレッシュな時に、とくに旋回性が悪く、グリップが落ちてきてタイヤがスライドするようになってくると乗りやすくなってタイムも上がる。明日の決勝は、序盤にどこまでがんばれるか、どの辺のポジションをキープできるかにかかっていると思う。トップの3台は、間違いなく3秒後半でラップすると思う。厳しいが、がんばってついていきたい」
手島雄介(Moto2 29番手) 「昨日はまずまずのスタートが切れたと思う。今日も午前中のフリー走行は、徐々にペースを上げられたのだが、午後の予選は、気温も路面温度も上がって、フロントがグリップしなくなってしまった。ハードコンパウンドにするとグリップは戻るのだが、今度はチャターが出るという状態だった。グリッドも内容も厳しいものだった」
MotoGP
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 26 | ダニ・ペドロサ | Honda | 1:56.508 |
2 | 11 | B.スピーズ | ヤマハ | +0.338 |
3 | 99 | J.ロレンソ | ヤマハ | +0.357 |
4 | 27 | C.ストーナー | ドゥカティ | +0.360 |
5 | 46 | V.ロッシ | ヤマハ | +0.551 |
6 | 4 | アンドレア・ドヴィツィオーゾ | Honda | +0.609 |
7 | 5 | C.エドワーズ | ヤマハ | +0.714 |
8 | 69 | N.ヘイデン | ドゥカティ | +1.127 |
9 | 40 | H.バルベラ | ドゥカティ | +1.452 |
10 | 65 | L.カピロッシ | スズキ | +1.473 |
11 | 14 | ランディ・デ・ピュニエ | Honda | +1.581 |
12 | 58 | マルコ・シモンチェリ | Honda | +1.661 |
13 | 36 | M.カリオ | ドゥカティ | +1.674 |
14 | 33 | マルコ・メランドリ | Honda | +1.922 |
15 | 15 | アレックス・デ・アンジェリス | Honda | +2.014 |
16 | 41 | A.エスパルガロ | ドゥカティ | +2.192 |
- | 19 | A.バウティスタ | スズキ | - |
Moto2
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 48 | 富沢祥也 | SUTER | 2:03.452 |
2 | 29 | アンドレア・イアンノーネ | SPEED UP | +0.232 |
3 | 24 | トニー・エリアス | MORIWAKI | +0.289 |
4 | 44 | ロベルト・ロルフォ | SUTER | +0.342 |
5 | 72 | 高橋裕紀 | TECH 3 | +0.693 |
6 | 77 | ドミニク・エージャーター | SUTER | +0.799 |
7 | 3 | シモーネ・コルシ | MOTOBI | +0.931 |
8 | 41 | アルネ・トード | SUTER | +1.032 |
9 | 60 | フリアン・シモン | SUTER | +1.067 |
10 | 45 | スコット・レディング | SUTER | +1.076 |
11 | 16 | ジュール・クルーゼル | SUTER | +1.145 |
12 | 10 | フォンシ・ニエト | MORIWAKI | +1.150 |
13 | 12 | トーマス・ルティ | MORIWAKI | +1.153 |
14 | 25 | アレックス・バルドリーニ | I.C.P. | +1.283 |
15 | 6 | アレックス・デボン | FTR | +1.323 |
16 | 2 | ガボール・タルマクシ | SPEED UP | +1.447 |
17 | 35 | ラファエレ・デ・ロサ | TECH 3 | +1.477 |
18 | 63 | マイク・ディ・ミリオ | SUTER | +1.524 |
19 | 55 | ヘクトル・ファウベル | SUTER | +1.537 |
20 | 65 | ステファン・ブラドル | SUTER | +1.577 |
21 | 80 | アクセル・ポンス | PONS KALEX | +1.816 |
22 | 40 | セルジオ・ガデア | PONS KALEX | +1.935 |
23 | 71 | クラウディオ・コルティ | SUTER | +1.950 |
24 | 14 | ラタパーク・ウィライロー | BIMOTA | +1.974 |
25 | 52 | ルーカス・ペセック | MORIWAKI | +2.034 |
26 | 61 | ウラジミール・イワノフ | MORIWAKI | +2.065 |
27 | 81 | パトリック・ボスタレク | SUTER | +2.106 |
28 | 53 | バレンティン・ドゥビーズ | ADV | +2.198 |
29 | 11 | 手島雄介 | MOTOBI | +2.206 |
30 | 59 | ニッコロ・カネパ | FORCE GP210 | +2.308 |
31 | 9 | ケニー・ノイズ | PROMOHARRIS | +2.350 |
32 | 8 | アンソニー・ウエスト | MZ-RE HONDA | +2.353 |
33 | 68 | ヨニー・ヘルナンデス | BQR-MOTO2 | +2.419 |
34 | 17 | カレル・アブラハム | FTR | +2.425 |
35 | 19 | ザビエル・シメオン | MORIWAKI | +2.454 |
36 | 4 | リチャード・カルダス | BIMOTA | +2.595 |
37 | 95 | マシェル・アル・ナイミ | BQR-MOTO2 | +2.678 |
38 | 39 | ロベルティーノ・ピエトリ | SUTER | +3.006 |
39 | 5 | ホアン・オリベ | PROMOHARRIS | +3.255 |
40 | 88 | ヤニック・グエラ | MORIWAKI | +4.259 |
125cc
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 38 | B.スミス | アプリリア | 2:07.146 |
2 | 40 | N.テロール | アプリリア | +0.484 |
3 | 44 | P.エスパルガロ | デルビ | +0.927 |
4 | 93 | M.マルケス | デルビ | +1.040 |
5 | 11 | S.コルテセ | デルビ | +1.193 |
6 | 7 | E.バスケス | デルビ | +1.528 |
7 | 35 | R.クルメンナッハ | アプリリア | +1.828 |
8 | 71 | 小山知良 | アプリリア | +2.020 |
9 | 14 | J.ザルコ | アプリリア | +2.203 |
10 | 39 | L.サロン | アプリリア | +2.350 |