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NEWS マレーシア・セパン公式テスト 第2回レポート(2月26日〜28日)

2014年3月7日(金)

マレーシア・セパン公式テスト 第2回レポート(2月26日〜28日)

ダニ・ペドロサ ダニ・ペドロサ ステファン・ブラドル ステファン・ブラドル アルバロ・バウティスタ ニッキー・ヘイデン 青山博一 スコット・レディング カレル・アブラハム

マレーシアのセパン・サーキットで、2月26日(水)から28日(金)までの3日間、今季2回目のMotoGPクラス公式テストが行われました。このテストには、Honda勢の7選手が参加。昨年、史上最年少で世界チャンピオンになり、前回のテストでトップタイムをマークしたマルク・マルケス(Repsol Honda Team)は、地元スペインで行っていたトレーニング中に右足を負傷し、今回のテストをキャンセル。マレーシアテストに続く、オーストラリア・フィリップアイランドでのタイヤセーフティーテストも欠場しました。現在、マルケスは、開幕戦カタールGPに向けて治療とリハビリを続けており、順調に回復しています。開幕戦カタールGPには、万全の体調で挑める見込みです。

2月4日〜6日に行われた第1回テストは、3日間ともに天候に恵まれたこともあり、充実のテストになりました。Repsol Honda Teamは、エンジン、車体、タイヤなど、すべてのテストメニューを消化。2回目のテストは、初回テストのデータをもとに、さらに、レベルアップを図るテストになりました。しかし、前回のテストから雨が降らないカラカラ陽気が続き、滑りやすい路面コンディションだったため、選手たちにとっては、難しい3日間となりました。

前回のテストで192ラップをこなし、2014年型RC213Vのシェイクダウンに取り組んだダニ・ペドロサ(Repsol Honda Team)は、今回のテストでベストタイムの更新とロングランに挑むことが大きな目標となっていました。路面コンディションが最悪だった初日は、6番手とマシンの確認程度の走行でしたが、路面コンディションがやや回復した2日目にはトップタイムをマーク。最終日の3日目には、首位のバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)と同タイムの1分59秒999をマークしました。この日は、2番目に良かったタイムでロッシが上回ったため、トップこそ譲りましたが、ロングランではすばらしい内容で3日間を締めくくりました。さらに、最終日に行ったレースシミュレーションで、昨年のマレーシアGPで優勝した自身のタイムを10秒以上も上回る好走。コンディションが万全ではなかったことを考慮すれば、ベストタイムもロングランも満足のいくものでした。

3年目のシーズンを迎えるステファン・ブラドル(LCR Honda MotoGP)は、第1回のテストで2分00秒112をマークしています。今回のテストでは1分59秒台を狙っていましたが、路面コンディションがあまりよくなかったこともあり、2分00秒164と前回のベストタイムを更新できませんでした。今回はタイヤテストを中心に行い、2日目、3日目と2日連続でレースシミュレーションに取り組みました。ブラドルの今年の課題は、どのサーキットでも安定したスピードを発揮すること。そのためにもタイヤのパフォーマンスをしっかり引き出すことが必要になります。今回のテストでは3日間で150ラップを走行。気温が高い厳しいコンディションの中で積極的に走り込む姿勢は、さらなる飛躍を期待させました。目標タイムには届きませんでしたが、充実の3日間。次回のカタールテストで開幕戦に向けて最後の仕上げを行うことになります。

路面コンディションが悪い中で、今回、大きな進化を感じさせたのが、アルバロ・バウティスタ(GO & FUN Honda Gresini)でした。初日にトップタイムをマークし、2日目には3番手。最終日は僅差の中で6番手でしたが、前回のベストタイムを更新するなど、大きな自信を得る3日間となりました。独自ECUソフトウェアを使う「ファクトリーオプション」で参加するHonda勢4台の中では、ただ一人、ShowaのサスペンションとNissinのブレーキを使うバウティスタによる連日の快走は、大きな注目を集めました。

共通ECUソフトウェアソフトを使う「オープンカテゴリ−」に「RCV1000R」で参加する3チーム4台の選手も、開幕に向けてセットアップに取り組みました。前回のテストで2分01秒514をマークしたニッキー・ヘイデン(Drive M7 Aspar)は、さまざまな組み合わせにトライしてデータ収集に努めました。今回のベストタイムは2分01秒924と、タイム更新は果たせませんでしたが、RCV1000Rのパフォーマンスを引き出すためのテストが続いています。

チームメートの青山博一は、192ラップを走行。ベストタイムは前回の2分02秒383を更新する2分02秒070をマークしました。今回は路面コンディションが悪かったこともあり、全体的にタイムが伸び悩みましたが、青山は最終日に大きく前進し、大きな収穫を得たテストになりました。今季2回目のテストで、開幕戦に向けての課題もはっきりしたことで、次のカタールテストでは、その課題克服に取り組みます。

MotoGPクラスルーキーのスコット・レディング(GO & FUN Honda Gresini)は、今回もMotoGPマシンに慣れることを大きな目標に、3日間で151ラップをこなしました。今回のテストでは、MotoGPマシンのパワーをうまく引き出すために、スムーズな走りに切り替え、ベストタイムもアベレージも大きく前進しました。着実に前進を続けるレディング。次のカタールテストでは、同じRCV1000Rに乗るヘイデンと青山博一を目標にタイム短縮を狙います。

昨年痛めた左肩が完治していないカレル・アブラハム(Cardion AB Motoracing)は、今回も万全の体調ではありませんでしたが、3日間で90ラップをこなしました。

ダニ・ペドロサ(総合2番手/1分59秒999)
「今回のテスト結果には満足しています。最終日はコーナリングを改善するためにエンジンマッピングの調整を行い、レースシミュレーションをしました。これが今回のテストで最も重要なメニューでした。ベストタイムを伸ばすためのアタックもうまくいきました。今回は3日間を通して路面コンディションがあまりよくなく、初日はほとんどグリップしなかった上、マシンからの感触を得ることも難しい状態でした。時差ぼけによる睡眠不足で身体的にも完ぺきとは言えず、あまりいいスタートではありませんでしたが、2日目以降はまずまず順調でした。2日目はフロントエンドのセットアップに集中できましたし、最終日はレースシミュレーションもできました。3日間を通してかなり進歩したと思いますが、まだまだ改善の余地があります」

ステファン・ブラドル(総合5番手/2分00秒164)
「今回のテスト結果には、かなり満足しています。コンディションはあまりよくなくて大変でしたが、チームとともにマシンのセットアップに集中することができました。最終日は、セッションの早い段階にソフトタイヤでアタックし、その後、ロングランもできました。ハードタイヤでは満足できる内容となりませんでしたが、トップとはそれほど離れていませんし、希望の持てるテストとなりました。今回は、主にコーナー出口でのトラクション改善に向けてタイヤの接地感を増やすことに取り組みました。ブレーキングを安定させるための調整も行えました。今回は路面コンディションがよくない3日間でしたが、成果のあるテストになりました」

アルバロ・バウティスタ(総合6番手/2分00秒500)
「今回のテストはコンディションがあまりよくありませんでしたが、手応えある3日間となりました。着実にセットアップを改善できたし、ShowaのフロントフォークとNissinのリアブレーキのテストもしっかり行うことができました。電子制御の部分にも取り組み、気温が高いときも低いときも、路面コンディションが変化する中で、方向性が間違っていないことを確信できるテストになりました。新しく投入したリアサスペンションは引き続き改善の余地はありますが、この部分に関しては、次のカタールテストで改善していきたいと思います。今回はコンディションはよくありませんでしたが、レースシミュレーションを完ぺきにこなし、重要なデータを収集することができました。昨年に比べると新しいショーワのサスペンションはとてもよくなっています。特にタイヤが摩耗してからのフィーリングがよかったです。3日間を通して収穫の多いテストになったので、とてもうれしいです」

ニッキー・ヘイデン(総合15番手/2分01秒924)
「3日間を通していろんなことに取り組みました。正直、まだこのマシンを理解するところまでいっていないと感じています。潜在的な能力はまだまだ高いところにあると思うので、次のカタールテストで今回できなかったことに取り組みたいです。また、コースが変わることでマシンがどんなパフォーマンスをするのかという点も楽しみです。開幕戦に向けて引き続き準備しなければなりません。今回は満足いく結果ではありませんでしたが、トップとの差がなくなってきていることはポジティブです。今回はフロントフォークのセットアップと、ブレーキングの安定性に力を注ぎ、コーナー出口での電子制御にも取り組みました。ギアボックスにも取り組むなど、いろんなことにトライすることができました。次のカタールでは、さらにトップとの差を縮められることを期待しています」

青山博一(総合17番手/2分02秒070)
「とりあえずの目標だった2分01秒にはわずかに届きませんでしたが、それに近いタイムが出せたことに満足しています。今回は路面のグリップが悪くて苦労しました。一番の問題はスタッフとのコミュケーション不足でした、正直、こちらのリクエストがうまく伝わらず、2日目はかなり混乱しました。最終日の午後になってなんとかセットアップもまとまり、タイムを上げられました。混乱したことで、チーフメカニックのセットアップの進め方もだんだん分かってきましたし、次のカタールでは、こちらの求めることをきちんと理解してもらえるようにしたいと思います。今回はマシンが2台そろいましたが、ブレーキの部品が2台分そろわず、2台のマシンを十分に使いこなすところまではいきませんでした。思ったよりもセットアップが進められなかったので、次のカタールテストで遅れを取り戻したいと思っています」

スコット・レディング(総合19番手/2分02秒228)
「満足のいくテストになりました。今月初めの最初のテストに比べれば、すべての面で大きく改善できたと思います。ライディングにも自信が持てるようになりました。最初はアグレッシブな走りでしたが、今はスムーズに走ることを心がけています。そうすることで、マシンのセットアップも順調に進めらるようになりました。今回はブレーキングなどで前進できましたが、電子制御はまだよく分からないので、次のカタールテストでも引き続き取り組みたいと思っています。RCV1000Rをかなり理解できましたし、楽しく乗れるようになってきました」

カレル・アブラハム(総合22番手/2分04秒304)
「前回のテストよりは周回数を刻めましたが、依然として肩の状態がよくなくて、ブレーキングからコーナリング、切り返しやコーナーの立ち上がりなど、すべてのポイントで影響がありました。3日間を通して十分な能力が発揮できずに大変でした。開幕戦に向けて体調を整えたいと思っています」