round 7

August 20/21 2011
FIM Trial World Championship Japan
第7戦 日本(ツインリンクもてぎ)

2日目は満身創痍の藤波が2位、ボウ3位で表彰台に立つ

当初の予定の6月から、東日本大震災の影響で2カ月遅れで開催されたツインリンクもてぎでの日本GP。1日目はチャンピオンのトニー・ボウ(Repsol Montesa Honda)がいつもの実力を見せて快勝しました。しかし、ライバルのアダム・ラガ(ガスガス)も1点差の2位と接近戦となり、2日目の日曜日の戦いも波乱が予想されました。

1日目の藤波貴久(Repsol Montesa Honda)は、マシンのセッティングに悩み、トップ争いにはやや差をつけられての3位。藤波もまた、ジェロニ・ファハルド(オッサ)に1点差に迫られながらの3位表彰台獲得でした。

  • 藤波貴久(左)、トニー・ボウ(右)藤波貴久(左)、トニー・ボウ(右)
  • 藤波貴久藤波貴久
  • 藤波貴久藤波貴久
  • 藤波貴久藤波貴久
  • トニー・ボウトニー・ボウ
  • トニー・ボウトニー・ボウ
  • トニー・ボウトニー・ボウ

そして日曜日。土曜日に優勝したボウはワールド・プロクラスの最初のスタート。いくつかのセクションは、設定を変更して難易度が下げられていましたが、夜半の雨で泥はさらに水を含んで、難コンディションとなっていました。ラインもつかみきれません。誰よりも最初に走るボウは苦戦を強いられます。第2セクションを1点で抜けたあと、第3セクションから第5セクションまでが連続5点。これがボウには手痛い減点となりました。

ラガは同じく第3から第5までを連続5点としますが、そのあとを次々にクリーンしていきました。1ラップ目、ボウが30点の減点を取ってしまったのに対し、ラガの減点は20点。ボウの苦戦が明らかになってきました。

一方の藤波は、第3セクションを3点で抜け、続く第4セクションを1点で抜けるなど、序盤はラガやボウに対してアドバンテージを築いていきました。第6セクション以降、ラガのようにすべてのセクションをクリーンとまではいきませんでしたが、5点が1つという好調ぶりで、第9セクションまではトップに立っていました。

しかし、第10セクションで悪夢に見舞われます。わずかに滑ったリアタイヤ、岩に届かなかったフロントタイヤ。その結果、藤波はヒザをセクションの外の岩とマシンの間に挟んでしまい、ひねってしまうことになりました。

激痛にその場でうずくまる藤波。担架が要請され、周囲にはリタイアかという空気さえ流れましたが、藤波自身は、激痛に耐えながらも、試合をあきらめてはいませんでした。

なんとか足が動くことを確認した藤波は、15分ほどしたのち、第11セクションを目指します。歩いて下見もできないような状況ながら、マシンに乗るやパワーは全開に。第11セクション、第12セクション、そして第13セクションと、藤波は次々にクリーンで突破していきます。第14セクションこそ3点となりましたが、第15セクションをクリーン。その減点は22点。なんと、トップのラガとたったの2点差の2位で試合を折り返しました。

2ラップ目、痛むヒザにテーピングを施し、残る15セクションを走りきるべくコースに出ていく藤波を、日本のファンの大歓声が後押しします。2ラップ目は、第3セクションと第4セクションで5点となりますが、この2セクションはラガも5点で点差は変わらず。接戦の様相に変化が現れたのは第7セクション。ここでラガがクリーン、藤波が5点になります。これで両者の点差は7点に。優勝争いはラガの優位に傾いていきました。

しかしこの日、藤波が得たものは、勝利よりもはるかに大きなものでした。試合の続行さえ危ぶまれる負傷を負いながら、大きく調子を落とすことなく試合を続け、見事2位を獲得しました。

試合後のレントゲン検査では骨折はなし。じん帯には損傷がある模様ですが、残るフランスでの最終2戦に向けて、早い回復が望まれます。

日本からのスポット参戦では、小川友幸(Honda)が7位と、土曜日より1つ順位を上げてフィニッシュしました。険しいセクションへの挑戦、目指すセッティングのテストと、今回の世界選手権参戦は、小川にとって得るものが大きな2日間となりました。北海道大会で3位に入って調子を上げてきている柴田暁(Honda)は、土曜日と同様の11位でした。

コメント

藤波貴久(2位)「昨日から、セッティングをがらりと変えて、今日はいいフィーリングで走ることができました。第10セクションでのクラッシュは本当に痛かったです。今回のレースをリタイアすることより、2週間後のフランスにも影響があるのではないかという心配をまず考えました。それでも足は動いたので、やめようとは思いませんでした。それからは、失敗して落ちたら痛い思いをするので、とにかくセクションを走破しようとがんばりました。優勝争いをしていたので2位は悔しいですが、今日の2位は大きな意義があったと思います」

トニー・ボウ(3位)「今日のコンディションで、トップでスタートするというのは大きなハンデでした。序盤の3連続5点や、中盤の失敗が今日の敗因でした。しかし今日は3位でよかったです。最終戦の2戦を残して13ポイント差ですから、油断はできませんが、リードは保っていると思います。残る2戦、気を引きしめて走りたいと思います」

決勝(2日目)
順位 No. ライダー マシン ラップ1 ラップ2 総減点 クリーン数
1 2 A.ラガ ガスガス 20 21 41 18
2 3 藤波貴久 モンテッサ(Honda) 22 29 51 12
3 1 トニー・ボウ モンテッサ(Honda) 30 31 61 11
4 15 黒山健一 ヤマハ 35 40 75 7
5 8 M.ブラウン ガスガス 40 43 83 6
6 18 野崎史高 ヤマハ 56 41 97 3
 
7 16 小川友幸 Honda 49 49 98 4
11 17 柴田暁 Honda 57 66 123 2
12 20 砂田真彦 Honda 69 72 141 0
13 21 松浦翼 Honda 73 73 146 0
ポイントスタンディング
順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 トニー・ボウ モンテッサ(Honda) 167
2 A.ラガ ガスガス 154
3 藤波貴久 モンテッサ(Honda) 131
4 J.ファハルド オッサ 102
5 A.カベスタニー シェルコ 99
6 L.ギュビアン ガスガス 74
 
15 小川友幸 Honda 17
18 柴田暁 Honda 10
19 砂田真彦 Honda 7
24 松浦翼 Honda 4
25 斎藤晶夫 Honda 2