第7戦スペイン大会から2週間のインターバルを経て、スーパーバイク世界選手権(WSB)第8戦チェコ大会がブルノで開幕しました。昨年の大会は、ジョナサン・レイ(Castrol Honda World Superbike Team)が第1レースで優勝、第2レースで2位とすばらしいリザルトを収めました。しかし、第6戦サンマリノ大会のウオームアップで転倒、右腕とう骨などを骨折しているため、残念ながら今大会も欠場します。そのためCastrol Honda World Superbike Teamはレイの代役として、英国スーパーバイク選手権(BSB)に出場しているアレクサンダー・ロウズを抜てき。チャウスとロウズの2台体制で今大会に挑みます。
第8戦の行われるブルノ・サーキットは、一周5.403km。アップダウンに富み、中速コーナーが連続するリズム感あふれるレイアウトが特徴です。コース幅が広く、パッシングポイントが多いために、すばらしいバトルが繰り広げられます。今年は22台が出場。フリー走行と予選が行われた金曜日と土曜日は好天に恵まれ、土曜日は31℃という猛暑となりました。
予選でトップタイムをマークしたのは、総合首位のカルロス・チェカ(ドゥカティ)。以下、1秒差以内に11台という厳しい接戦になり、チャウスが17番手、代役出場のロウズが21番手と、上位16台で行われるスーパーポール進出を逃しました。
わずかの差でスーパーポール進出を逃したチャウスは、この数戦、抱えているリアのセッティングに今大会も苦しみました。気温と路面温度が上がった土曜日は、その症状がより顕著に出たことで、初日のタイムを更新することができませんでした。
2年前のヨーロッパ選手権でブルノを走った経験があるロウズ。しかし、スーパーバイク仕様のCBR1000RRで走るのは、今回が初めての経験となります。今季、BSBでレースをこなすごとに成長を続ける20才のルーキーは、昨年の大会で2戦ともに優勝争いを繰り広げたレイのセッティングをベースに、フリー、予選と合計4回のセッションを走り込みました。
今大会は、ともに後方グリッドから決勝に挑むことになるCastrol Honda World Superbike Teamの両選手ですが、追い上げのレースにチャレンジします。
スーパースポーツは、初日3番手につけたファビアン・フォーレ(Hannspree Ten Kate Honda)が、2日目にタイムを上げて今季初PPを獲得しました。以下、4番手にジノ・レイ(Step Racing Team)、6番手にサム・ロース(Parkalgar Honda)、8番手にロビン・ハームス(Harms Benjan Racing Team)、10番手にミゲル・プライア(Parkalgar Honda)と、トップ10に5台のCBR600RRが名前を連ねました。今大会は37台が出場。チェコ大会は05年にスタートして今年で7回目を迎えますが、CBR600RRは2年連続5回目の優勝に挑むことになります。
ルーベン・チャウス(スーパーバイク 17番手) 「ここまでのところ、とても厳しい週末になっています。今大会も、これまで抱えているチャターの問題を解決することができませんでした。とくに気温が上がり、路面温度が上がったときは、チャターが激しくなります。そしてグリップも落ちるので、タイムを上げるのは難しかったです。唯一の救いは明日の天候が、今日ほどは暑くならないだろうということ。しかし決勝レースは、厳しい戦いを強いられることになるでしょう。前回のスペインでも、スーパーポールに進出できず、決勝もポイントを獲得できませんでした。もっといいパフォーマンスをしたいと思ってはいましたが、ここまでのところは、あまりよい状態ではありません。ポイント獲得圏内は1秒差という厳しい戦いが多かったです。今回はその差がちょっと開いていますが、厳しいことに変わりはありません。とにかく、ポイントを獲得できるようにベストを尽くしたいと思っています」
アレクサンダー・ロウズ(スーパーバイク 21番手) 「ブルノはブレーキングが難しいサーキットですが、昨日から今日にかけて、かなり進歩することができました。データを見ても、この2日間で力強くブレーキを掛けられるようになっています。乗り方を変えていくのは難しいですが、すべてが新しい経験なので楽しくもあります。昨日、今日と、このサーキットで優勝しているレイのセッティングで、とにかく一周でも多く走ろうと思いました。明日の2レースは、たくさんのことが学べると思います。このチャンスを与えてくれたチームに感謝していますし、このチャンスを生かしていきたいです」
ファビアン・フォーレ(スーパースポーツ ポールポジション) 「PPを獲得できて、本当にうれしい。昨日から今日にかけて、マシンの状態がよくなって、今日のフリー走行でトップタイムをマークすることができました。しかし午後の予選は、気温も路面温度も上がり、フロントのフィーリングがあまりよくありませんでしたが、セッティングの変更で最後はプッシュすることができました。今回も台数が多いので、クリアラップを見つけるのがすごく難しくなりました。ベストタイムを出したときも遅いバイクに引っかかったので、一度、ピットに入って新品のタイヤに入れ替えました。それが結果としてよかったようです。09年にはここで優勝しています。今年は、勝てるチーム、勝てるマシンがあるので、決勝は優勝を狙いたいです」
サム・ロース(スーパースポーツ 6番手) 「今日の予選は、電気系の問題があって100%のアタックができませんでした。しかし2列目に並べましたし、トップとのタイム差もそれほど大きくはないので、それだけにがっかりもしています。昨日、今日とレースタイヤのアベレージは悪くありません。決勝ではトップグループについていって、レースができると思っています。表彰台争いをする自信があります。決勝が楽しみです」
ミゲル・プライア(スーパースポーツ 10番手) 「ベストグリッドを獲得できて、とてもうれしいです。今日はフリー走行でなかなかセットアップが決まらず、苦しみました。夕べの雨が路面のグリップを変えてしまったせいだと思うのですが、午後の予選では気持よく走ることができました。チームが全力でがんばってくれました。決勝はそれに応えたいです」
スーパーバイク
順位 | ライダー | マシン | タイム |
---|---|---|---|
1 | M.ビアッジ | アプリリア | 1:58.580 |
2 | M.メランドリ | ヤマハ | 1:58.801 |
3 | C.チェカ | ドゥカティ | 1:58.908 |
4 | E.ラバティ | ヤマハ | 1:59.055 |
5 | J.シュムルツ | ドゥカティ | 1:59.541 |
6 | M.ファブリッツォ | スズキ | 1:59.908 |
17 | ルーベン・チャウス | Honda | 2:00.681 |
21 | アレクサンダー・ロウズ | Honda | 2:01.724 |
22 | ヴィクトル・キスパタキ | Honda | 2:02.721 |
スーパースポーツ
順位 | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|
1 | ファビアン・フォーレ | Honda | 2:03.548 |
2 | B.パークス | カワサキ | +0.063 |
3 | D.サロン | カワサキ | +0.133 |
4 | ジノ・レイ | Honda | +0.361 |
5 | M.ロッコリ | カワサキ | +0.545 |
6 | サム・ロース | Honda | +0.575 |
8 | ロビン・ハームス | Honda | +1.091 |
10 | ミゲル・プライア | Honda | +1.314 |
11 | フローリアン・マリーノ | Honda | +1.411 |
13 | ジェームス・エリソン | Honda | +1.587 |
14 | オンドレイ・ジュゼク | Honda | +1.603 |
16 | アレクサンダー・ルンド | Honda | +2.067 |
17 | パトリック・ボスタレク | Honda | +2.196 |
19 | パウェル・スコペック | Honda | +2.306 |
21 | イムレ・トース | Honda | +2.418 |
22 | ローマン・スタム | Honda | +2.971 |
24 | ウラジミール・イワノフ | Honda | +3.082 |
26 | ヤーノシュ・クロヴァーク | Honda | +3.313 |
27 | ミケーレ・コンティ | Honda | +3.868 |
30 | カタリーン・カツァーク | Honda | +5.290 |
32 | コンスタンティン・ピザレフ | Honda | +5.771 |
33 | ミッチェル・ピロッタ | Honda | +6.160 |