レースで勝つために ニューマシン、Hondaの挑戦 レースで勝つために ニューマシン、Hondaの挑戦

CBR1000RR SP2 レースベース車

2017年3月、Hondaはレースマシンのベースとして使用されている「CBR1000RR SP」のフルモデルチェンジを行いました。そして、17年4月には、「CBR1000RR SP2 レースベース車」を発売。このマシンが、各チームの手によって鈴鹿8耐仕様となり、今年のレースに参戦します。

第2回 鈴鹿8耐仕様のマシンへ


 鈴鹿8耐仕様のマシンへ

市販車ベースのマシンで戦う鈴鹿8耐。レギュレーションにより改造範囲が決まっている中で各チームが試行錯誤を重ね、自分たちの8耐マシンを作り上げていきます。通常のスプリントレースとは異なる8耐ならではの特色が備わるマシンを、今回は「CBR1000RR SP2 レースベース車」をもとにご紹介します。
※ EWCクラス仕様による説明となります。

発光ゼッケン

■発光ゼッケン 鈴鹿8耐ではゼッケンは発光しなければならない決まり。発光する(有機EL)シートを使い数字そのものを光らしたり、全体が光るシートに数字を切り抜いたカッティングシートを貼ったり、そしてLEDライトを数字のかたちに並べるなどのやり方がある。これにより夜間走行時でもファンが観戦しやすくなった。

灯火類

■灯火類 レースベース車のヘッドライトは、レンズだけでライト本体は入っていない状態。夜間走行もある8耐マシンではヘッドライト装着が必要となってくる。公道仕様のものをそのまま使うチームもあれば、オリジナル形状にするチームも。テールライトも必要で、市販車からの流用、社外品、オリジナル形状と、チームによってさまざま。

外装

■外装ABS樹脂とPP樹脂(ポリプロピレン)からなるレースベース車から8耐マシンはFRP(繊維強化プラスチック)素材のものに変更される。走行風による疲労の軽減のために、ウインドスクリーンは少し高いものを装着。外観は公認マシン(CBR1000RR SP2)の形状と合致しないといけないが、ウインドスクリーンなど変更が認められる部分もある。

タンク

■タンク 8耐マシンの燃料タンクは最大24Lまで認められている。レースベース車の燃料タンクはスチール製で16Lと小さいので、アルミ素材の24Lのものを採用するチームが大多数を占める。レース用部品として市販されているものを使うチームが多いが、チームによっては独自に制作したものを採用することも。ピットストップ時間を安全かつ短くするために、2つ穴のクイックチャージ用給油口になっているのも、8耐仕様の特長である。

ポジション ポジション ポジション

■ポジションシート、ハンドル、フットレストの調節によりライディングポジションをライダーの体格や好みに合わせる。しかし、2名や3名といった複数ライダーで走る8耐では、ライダーの体格や好みが必ずしも一致しないので難しい。どのライダーに合わせるかなどチームの戦略によって違いが出てくる。お尻が下がるのを止めるシート後方のウレタンクッションは、ピットストップで簡単に変更できるので、ライダー交代時に素早く付け替える。

クイックリリース クイックリリース

■クイックリリース フロントフォークやリアショックユニット、スイングアーム、ブレーキは変更可能でほとんどのチームがレースベース車とは違うものになっている。大きな特徴として、レース中のタイヤ交換を迅速に行えるように、前後がクイックリリース構造になっていること。チームによってはチェーンとスプロケットがスイングアームに残ったままとなり、よりタイヤ交換時間を短縮できるペンタゴンというシステムを導入している。

エンジン

■エンジンヘッドや吸排気ポート、カムシャフトのプロフィールなど加工が認められているので、レースベース車よりもポテンシャルが上がっている。トラクションコントロールや出力特性など電子制御のセッティングも必要となり、ライダーの好みを反映し、より速く走れるよう試行錯誤する。エキゾーストもマフラーもチタン素材がメインだが、アルミやステンレスのチームもある。


 鈴鹿8耐仕様のマシンへ

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