モータースポーツ > 全日本ロードレース選手権 > SPOTLIGHT ON THE FIGHTERS 「Hondaで戦うライダーたち」 > 高橋 巧、小林龍太、高橋裕紀、山田誓己

JSB1000クラス #634 高橋巧選手(MuSASHi RT ハルクプロ)
全8戦中 優勝2回 2位4回 シリーズランキング2位

■ラストレースまで壮絶なチャンピオン争い

前半4戦を優勝2回、2位2回で終え、ランキングトップでシーズンを折り返した高橋巧選手。シリーズのインターバル期間中に行われた鈴鹿8時間耐久ロードレースでも2年連続優勝の偉業を成し遂げるなど、念願のシリーズチャンピオン獲得への期待も大きく膨らみました。しかし、最終戦レース2でまさかのマシントラブルが発生してしまい、惜しくもチャンピオンを逃してしまいました。

■今シーズンの2位の悔しさを来シーズンチャンプの糧とします

昨シーズンと違い、レースの組み立て方を大きく変え、追い上げ逆転のレースだけでなく、序盤から攻める走りができるようになり、シリーズ前半はランキングトップで折り返すことができました。しかし、オートポリスでの取りこぼしでアドバンテージはゼロになり、その後なかなか勝てないまま最終戦までチャンピオン争いがもつれこんでしまいました。その最終戦のレース1では2位に甘んじましたが、僕にはチャンピオンへの可能性はまだ十分残っていたし、「勝負できる」だけの手ごたえをレース1でつかんでいたので、午後のレース2で僕の持っているすべてをぶつけていきました。レース2はあいにくの雨でさらに難しいコンディションとなりましたが、チャンピオン争いをしている中須賀選手にとってもリスクが大きいですし、心理的に大きな負担がかかるはず。だからこそ、前を行く中須賀選手に僕のエンジン音を聞かせることでプレッシャーを与え、逆転するチャンスをうかがうつもりでした。しかし、突然のメカニカルトラブルが起きて、MCシケインで僕の2014シーズンが終わってしまいました。あまりに悔しくて、そのままホテルに戻ろうとさえ思いましたが、多くの方に声をかけていただいて冷静さを取り戻し、いまここに立っている自分は、たくさんの方々に支えられているということに改めて気づかされました。悔やむより前を向いてやり直します。一昨年が3位、そして今年が悔しすぎる2 位ときているので、チャンスをもう一度いただけるなら、必ず来シーズンはチャンピオンを奪ってみせます。

ST600クラス #24 小林龍太選手(ミストレーサwith HARC-pro.)
全6戦中 優勝2回 3位1回 2014 シリーズチャンピオン

■ラストシーズンで初優勝とチャンピオンを奪取

全日本ロードレース選手権への初参戦から、足かけ10年目の小林龍太選手は、自身のチームを立ち上げると、今シーズンを現役最後の一年と心に誓って2014シーズンに臨んでいました。早くも初戦から表彰台に上がるなど好調ぶりは健在で、ツインリンクもてぎで念願の表彰台中央に登壇。2勝目を岡山国際であっさりと奪い、シリーズチャンピオンまで手中に収めました。

■ラストシーズンで初優勝とチャンピオンを奪うことができました

ポケバイでレースデビューしてから、もう20年以上たちますが、その長いレース人生の中でも、一番しびれたのが今シーズンの最終戦でした。予選まではいつもと変わらずルーティンをこなしていたのに、日曜日の朝のウォームアップあたりから様子がおかしくなり、決勝グリッドに着いたころには全身ガチガチで自分のカラダじゃないような気がしました。その呪縛が解けたのは、4周目にチャランポン選手にパスされたときでした。「なにやってんだよ、おれ」と自分に言い聞かせ、ようやくスイッチオン。それでも本来の走りには程遠く、チャンピオン争いをしているライダーだけが味わう特殊なプレッシャーの中で残り周回を走っていました。チェッカーまでが長かったですね。実は何周目を走っているのかも途中分からなくなり、残り2周になっても鈴鹿8耐の1スティントぐらいの長さに感じました。最終ラップはあふれる涙をこらえながらの周回となり、チェッカーを受けるころには前がぼんやりとしか見えない状態。チャンピオンフラッグを受け取ったあとのウイニングランでは、この10年間を思い出していました。走馬灯のように浮かぶというのは本当なんですね。苦しかったときに支えていただいた方々の顔が浮かんでは消え、消えては浮かびの一周でした。今シーズンでライダー人生に区切りをつけますが、サーキットには顔を出したいと考えています。応援、本当にありがとうございました。

J-GP2クラス #72 高橋裕紀選手(MORIWAKI RACING)
全6戦中 優勝4回 2位1回 2014 シリーズチャンピオン

■10年ぶりに全日本へ戻ってきたGPライダー

Hondaのスカラシップ制度で戦いの舞台を世界に移した高橋裕紀選手が、10年ぶりに全日本ロードレースに復帰しました。選んだのはMotoGP世界選手権のMoto2クラスに直結するJ-GP2クラス。世界で戦ってきた実力を発揮して、予選・決勝ともにほかを寄せつけない速さで、開幕から2連勝。表彰台を逃したのは1度だけで、全6戦中4勝という圧倒的な強さでチャンピオンとなりました。

■勝ち方にもこだわってシリーズを戦っていました

全日本ロードレースに戻ってきたのは、世界への再挑戦を視野に入れたときに、ベストな方法だと確信したからです。同じようなベクトルで動いていたのがモリワキさんで、ともに同じ目標をもって1年間を戦うロードプランが出来上がりました。もちろん、全日本には世界のレベルに匹敵するライダーとマシンがそろっているだけに、自分の能力を全部使いきって、初めから全開でいかないと勝てないことも分かっていました。事実、シーズンを振り返って楽に勝てたレースは一つとしてなかった。大きなアドバンテージを保ったまま臨んだ最終戦も、粘る生形選手をなかなか振りきれず、スタートから全開走行しました。残り数周で生形さんとの距離が少し開きましたが、レース中はサインボードを見ることができないほどの雨量で、最後までアクセルを緩めず、自分のリズムで走ることを徹底しました。「チャンピオンを奪うだけではなく、その勝ち方にもこだわりたい。それが来シーズンへのチケットになる」と心に決めていましたが、おかげでほぼ達成できたのではないかと思います。ワイルドカードで参戦した日本GPでは結果が残せませんでしたが、手ごたえと課題をつかむことができたので、チームと相談しながらこのオフを過ごしたいと考えています。来シーズン、どんな形でサーキットに戻ってくるのかも含め、じっくり話し合いたいと思います。

J-GP3クラス #1 山田誓己選手(リベルト PLUSONE&ENDURANCE)
全6戦中 優勝2回 2位2回 2014 シリーズチャンピオン

■2年連続チャンピオンの重圧に屈しなかった若きエース

7戦中4勝を挙げ、2013年のシーズンチャンピオンに輝いた山田誓己選手は、「勝って当
たり前」という空気が漂う中で、2014シーズンの開幕を迎えました。優勝こそ逃しましたが、その重圧に耐えて開幕から2戦連続で2位表彰台を獲得すると、3戦目で今季初優勝を奪い、クラス5戦目となる第7戦の岡山国際で今季2度目の優勝。ランキングトップの座も奪い返し、そのまま2年連続チャンプを達成しました。

■連続チャンピオン達成の難しさを経験して大きく成長

最終戦はホールショットこそ奪いましたが、シリーズチャンピオンのプレッシャーなのか、いつもの自分が出せないまま序盤で大きく後退してしまいました。それでも、トップグループの最後尾に食らいついていたので、奮起して追い上げ体制に入りました。いったんはトップに出ることができましたが、スリップの奪い合い状態の中ではなかなか逃げきることができず、再び集団に飲み込まれるなど、厳しいレース展開になりました。でも、緊迫したレース展開が重圧をはねのけるきっかけになっていたのかもしれません。隙あらば前へ出る。他車のミスを逃さないという姿勢で、冷静にマネジメントすることができました。最終ラップの攻防で惜しくも前に行けませんでしたが、チェッカーを受けるまでバトルを続けた結果、不意のアクシデントや大きなミスを犯すことなく、100%の力を出しきれたと思っています。振り返ると、2年連続チャンピオンの重圧は思った以上に大きく、優勝まで3戦を要しました。また、CEV(FIM CEVレプソルインターナショナル選手権)や、ワイルドカードによるMotoGP日本GP参戦など、全日本を軸としながら、世界の舞台にも足を踏み入れる機会を作っていただき、次年度への大きなステップにつながったと感謝しています。まだ来シーズンについては未定の部分が大きいのですが、今シーズンの経験を何倍にもして、結果を残せるようがんばります。一年間、応援ありがとうございました。

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