round 3

May 23 2010
ALL JAPAN ROAD RACE CHAMPIONSHIP AUTO POLIS
第3戦 オートポリスサーキット

大雨により決勝レース中止のため予選結果でハーフポイント
JSB1000は秋吉耕佑が3位、J-GP2は山口辰也がトップ
ST600は2位に山口辰也、J-GP3は山本剛大が初勝利となった

前半戦の折り返しとなる第3戦は、雄大な阿蘇山を望む大分県オートポリスで開催される。晴れれば欧州のサーキットをほうふつとさせる、緑豊かで美しい起伏に富んだテクニカルコースは最高の戦いの舞台となるが、天気が崩れると霧が発生し、視界の確保が難しいところである。予選午後から雨が落ち、決勝では大雨警報が発令され、すべての決勝レースがキャンセルされた。ライダーたちは集まってくれたファンのために、急きょ、トークショーやサイン会、撮影会を実施し、来年の再会を誓った。

最高峰クラスJSB1000のランキングトップは高橋巧(MuSASHi RT ハルク・プロ)。昨年JSB1000にステップアップした高橋は、昨年のオートポリスでは事前テストで転倒し、人さし指の付け根を骨折、レースを欠場したため、今回がJSB1000での初参戦となる。

第2戦鈴鹿2&4で優勝した秋吉耕佑(F.C.C.TSR Honda)は、昨年はスポット参戦だったためオートポリスは2年ぶりの参戦だが、地元コースとあって気合満点。事前テストから好調で、金曜日のフリー走行でもトップタイムを記録した。伊藤真一(Keihin Kohara R.T.)は鈴鹿2&4終了後に再検査した結果、両方の肩甲骨を骨折している上、左腕のはく離骨折も判明し、全治4週間と診断された。懸命に治療したものの、右側の肩甲骨がうまくつかず事前テストをキャンセルしたため、ぶっつけ本番でのレースとなる。同じく鈴鹿で全身打撲した亀谷長純(Honda DREAM RT 桜井ホンダ)は、首や腕に痛みが残っているものの順調な回復を見せ、今回のレースに挑んだ。

J-GP2には小西良輝(MuSASHi RT ハルク・プロ)、山口辰也(モリワキクラブ)、高橋江紀(バーニングブラッドRT)が挑んだ。

  • 秋吉耕佑秋吉耕佑
  • 秋吉耕佑秋吉耕佑
  • 亀谷長純亀谷長純
  • 亀谷長純亀谷長純
  • 高橋巧高橋巧
  • 伊藤真一伊藤真一

予選はノックアウト方式で争われた。Q1セッションが始まるころから雨が落ち始めウエット宣言となり、タイヤ本数制限が解除された。Q1はスリックタイヤでのアタックとなり、ここでは24番手までに入ればQ2に進むことができる。Q2は雨の量が増え、難しいコンディションとなったが、各ライダーは上位12台に残るためにアタックを重ねた。最終セッションの結果でグリッドが決まるが、雨はさらに激しくなった。それでもトップライダーたちのアタック合戦はし烈さを増し、少しでも路面がいい状況でのアタックを狙って、序盤から攻めの走りとなった。

最終的にPPは柳川明(カワサキ)、2番手に中須賀克行(ヤマハ)、3番手に秋吉、4番手に亀谷、5番手に高橋、6番手に伊藤が僅差で続き、グリッドが決定した。J-GP2は、JSB1000との混走で13番手に入った山口がトップ(モリワキクラブ)となった。

予選開始早々に最終コーナーで多重クラッシュが発生し、赤旗中断という波乱が起きたST600では、大崎雅之(ヤマハ)がPPを獲得。2番手にはJ-GP2とダブルエントリーの山口がつけた。3番手には國川浩道(92R・HiRaNo)、4番手に小林龍太(MuSASHi RT ハルク・プロ)、5番手に岡村光矩(RSGレーシング&フィービー)が入った。開幕戦で勝利した中上貴晶(MuSASHi RT ハルク・プロ)は23番手となった。

J-GP3はフリー走行から好調の山本剛大(Team NOBBY)がPPを獲得し、「初めてノビーさん(元ロードレース世界選手権ライダー)に褒められた。すごくうれしい」と初々しい笑顔を見せた。2番手に鎌田悟(ENDURANCE+桶川スポーツランド)、3番手に篠崎佐助(ヤマハ)、4番手に森俊也(racing sayama)、5番手にスペイン選手権参戦中の尾野弘樹(BATTLE FACTORY)がつけた。開幕勝利を飾った大久保光(18 GARAGE RACING TEAM)は6番手に入った。

コメント

秋吉耕佑(JSB1000 3位) 「事前テストから順調にマシンセッティングを詰め、いい状態になってきました。予選ではタイヤの使い方の段取りがうまくいかず、アタックが決まりませんでした。路面の状態がよくなかったこともあり、無理をすれば転倒してしまうのが分かったので、攻めきれない部分もありました。予選では1番がとれなかったけれど、決勝ではきっちりと勝負できる位置にいたので中止は残念です。ここは地元ですし、コースも好きなのでファンの前でいいレースがしたかったですね」

高橋巧(JSB1000 5位) 「咋年はケガで走ることができなかったので、データもないスタートだったのですが、思ったよりも順調にテストを行い、レースウイークに入ることができました。予選では雨が強くなり、アタックが難しかったです。慎重になりすぎたのかも知れません。先輩たちは攻めていましたし、経験の差が出たのかなと思います。自分も路面が悪くなる前に、序盤でタイムを出そうとトライしたのですが、やっぱり攻めが足りなかったと思います。今度はもっとがんばります」

伊藤真一(JSB1000 6位) 「ケガの方は、まだ完治という状況ではなく、特に右肩甲骨部分がうまくつかずに痛みが残っています。ここは右コーナーが多いので右肩に負担がかかり、満足な走行ができず、決勝を走りきれるか不安もありました。だけど、今年はきっちりと走りきったレースができていないので、なんとしても完走しようと決めていました。雨の決勝への覚悟もしていたので、中止は残念です。オートポリスはブルノに似たレイアウトで大好きなコース。今年限りで全日本卒業を決めている自分にとっては最後のチャンスだったので、走りたかったですね」

山口辰也(J-GP2 優勝、ST600 2位) 「今回、初めてJ-GP2とST600にダブルエントリーしましたが、森脇尚護監督の助けもあり、順調にセットアップができました。ST600では、アタックの時にほかのマシンにひっかってしまったにもかかわらず2番手タイムが出せたので、決勝はいい勝負ができると楽しみにしていました。J-GP2も雨の中でよいタイムを出せたので、両方とも走りたかったですね。ここは昨年JSB1000で勝っているので、今年もいいレースがしたかったです」

小西良輝(J-GP2 2位) 「悪条件の方がJSB1000と勝負できるので、チャンスだと思っていました。雨の鈴鹿で混走でもトップタイムを出すことができた実績もありますし、CBR600RRの力を示したかったので残念です。全日本はこの後長いインターバルがありますが、次戦のSUGOで実力を示せるようにがんばりたいと思います」

小林龍太(ST600 4位) 「今回はレースウイークを通して調子を上げていけたので、レースがなくなったのは残念です。でも、組み立てていく流れはいい感じでしたし、方向性が見えたので後半戦では結果を残せるようにしたいと思っています」

中上貴晶(ST600 23位) 「事前テストから不調で、転倒して波に乗れずにレースウイークに入ってしまい、タイムも上がりませんでしたが、雨の決勝なら追い上げる自信もありました。気持ちを切り替えて、厳しい状況ではあってもなんとかしなければと思ったし、できると思っていたので、やっぱりレースがないのは残念です。でも、本当に強い雨なのであきらめなければならないですね」

山本剛大(J-GP3 優勝) 「今回は初めてポールポジションが取れて、すごくうれしかったです。フリー走行から単独で走ってタイムが出せました。予選でもみんなと一緒にならないようにタイミングを計ってコースインし、うまくクリアを取ることができました。集中して走行し、PPタイムを出すことができました。本当はもっと上のタイムを狙っていたのですが、ミスもあって更新できませんでした。早めにタイムを出したので、きっと、誰かに抜かれると心配していましたが、PPだとわかった時はホッとしました。初めて上田昇監督に褒められました。決勝も落ち着いていけば勝てるよって言われていたので、走れなくて本当に残念です。尊敬できて速い僕の先生も走っているので、簡単に勝てるとは思っていませんでしたが、一緒に走りたかったです。残念で仕方がないですが、次のレースでも、しっかり走ります。がんばります」

菊池寛幸(J-GP3 8位) 「決勝に向けての改善点も見つかっていたので、いいレースができると思っていました。残念です。九州はファンが多いので、レースを見てもらいたかったと思います。今回、PPの剛大(山本)が決勝を走れなかったのも心残りです。剛大は鈴鹿レーシングスクールの生徒です。彼や大治朗(日浦)がいたから、自分たちは真剣に気合を入れて教えなければと思えました。彼らがいるので私のレースに挑む姿勢もしっかりしなければと思えた部分もあり、感謝しています。今回のPPは自分のことのようにうれしいです。だからこそ、決勝を走らせてやりたかったな、と思います」

浦本修充(J-GP3 9位) 「事前テストから状況がよくなったり悪くなったりと、まだセッティングがきっちりと出せていません。すごくがんばって走っているけれど、気持ちが空回りしているような感じでした。予選は一発タイムですが、決勝では、しっかりと結果を残したいと思っていました。決勝が中止になり残念です。後半戦に向けて、身体づくりを含めてしっかりと準備していきたいと思います」

決勝

JSB1000 / J-GP2

順位 No. ライダー マシン タイム
1 87 柳川明 カワサキ 1:50.193
2 1 中須賀克行 ヤマハ 1:50.317
3 64 秋吉耕佑 Honda 1:50.633
4 6 亀谷長純 Honda 1:50.966
5 634 高橋巧 Honda 1:51.115
6 33 伊藤真一 Honda 1:52.188

ST600

順位 No. ライダー マシン タイム/差
1 75 大崎誠之 ヤマハ 1:55.370
2 30 山口辰也 Honda +0.190
3 19 國川浩道 Honda +0.766
4 634 小林龍太 Honda +1.065
5 56 岡村光矩 Honda +1.114
6 53 田中浩哉 カワサキ +1.225

J-GP3

順位 No. ライダー マシン タイム/差
1 10 山本剛大 Honda 1:59.500
2 23 鎌田悟 Honda +0.064
3 11 篠崎佐助 ヤマハ +0.172
4 91 森俊也 Honda +0.433
5 3 尾野弘樹 Honda +0.516
6 6 大久保光 Honda +0.694
※決勝レースは、大雨注意報が発令されたため中止となり、予選結果で順位が決定しました。
ポイントスタンディング

JSB1000

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 高橋巧 Honda 55
2 中須賀克行 ヤマハ 51
3 柳川明 カワサキ 48.5
4 亀谷長純 Honda 47
5 武田雄一 ヤマハ 38
6 秋吉耕佑 Honda 37

ST600

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 山口辰也 Honda 29
2 大崎誠之 ヤマハ 27.5
3 國川浩道 Honda 26
4 中上貴晶 Honda 25
5 新垣敏之 ヤマハ 22
6 豊田浩史 ヤマハ 20

J-GP2

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 小西良輝 Honda 61
2 生形秀之 スズキ 50
3 宇井陽一 ヤマハ 49
4 山口辰也 Honda 34.5
5 高橋江紀 Honda 23
6 黒川武彦 カワサキ 16

J-GP3

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 大久保光 Honda 32.5
2 鎌田悟 Honda 31
3 岩田裕臣 Honda 29
4 森俊也 Honda 21
5 菊池寛幸 Honda 20.5
6 矢作雄馬 Honda 20