川越市と上尾市に跨がるウエストポイント オフロードヴィレッジが、全日本モトクロス第2戦の会場。フラットな河川敷に設けられたタイトなコースですが、今回はジャンプ形状などの見直しやフィニッシュラインの移設が実施されました。
クラス首位を示す赤いポイントリーダーズゼッケンは、開幕時にはディフェンディングチャンピオンの成田亮(Team HRC)が保持していましたが、今大会からはチームメートの山本鯨のマシンに装着されています。
●IA1 ヒート1
Team HRCの山本鯨と成田亮はいずれもスタートで出遅れてしまい、山本が8番手、成田が12番手で1周目をクリアしました。オープニングラップのHonda勢最上位は、2番手の小島庸平(Bells Racing/SoCal MXTF)。これに大塚豪太(T.E.SPORT)が続きました。2周目、山本は6番手、成田は11番手に浮上。次周には、山本が5番手で成田が10番手となりました。
4周目以降、山本は直前を走る深谷広一(スズキ)をマークしながら順位をキープ。成田は、池谷優太(KTM)を攻略できずにいました。6周目、大塚が順位を落として池谷の先行を許すと、その背後に成田が接近。7周目に大塚をパスした成田は、再び池谷の後ろに迫りました。しかしここでも、成田は池谷を抜けずに周回を重ねることになりました。
一方の山本は、11周目にミスでラップタイムを落とし、6番手に後退。13周目、成田がついに池谷をパッシングして、今度は星野裕(TEAM HAMMER)に近づきました。15周目に星野を抜いた成田は、そこから少しずつ山本に接近。ラスト5周となった18周目に山本を抜いた成田は、最終ラップに小島の攻略にも成功して5位に入りました。小島が6位、山本が7位、大塚が8位となっています。
●IA1 ヒート2
開幕戦から掲げてきた課題を克服して好スタートに成功した成田が、ホールショットを奪ってオープニングラップをトップでクリア。山本は5番手でレースを開始すると、2周目に池谷と深谷を抜いて、3番手に浮上しました。レース序盤、トップグループは成田を先頭に小方誠(カワサキ)、山本、深谷、星野優位(ヤマハ)、岡野聖(ヤマハ)までが数珠つなぎ状態となりました。
レースが中盤に入っても、成田を先頭に6台がつながるトップ集団の構成はほぼ変わらず、タイム差がほとんどなく効果的なパッシングラインもないことから、全員が大きな勝負を仕掛けられないような状態。そしてレース時間が残り5分ほどになると、集団の距離はさらに縮まりました。この段階で深谷と岡野は集団から脱落しており、優勝争いは4台にほぼ絞られました。
そして迎えたラスト2ラップの20周目、好機を待ち続けてきた山本が、小方を抜いて2番手にポジションアップ。ラストラップの前半で、山本が成田をパスしてトップに浮上しました。しかしその後のタイトターンで、成田が再逆転を狙い両者が接触。山本が転倒を喫し、これでトップに返り咲いた成田が勝利を収め、再スタートを切った山本は4位でフィニッシュしました。
成田亮(IA1・5位/優勝)
「ヒート2で今季初勝利を挙げることができたとはいえ、自分の走りができていたわけではないので、その点は不満に感じています。開幕戦の終了時に、スタートが今季の大きな課題になるかもと予想していたのですが、今大会のヒート1ではまさに不安視していたとおりとなってしまいました。スタートが決まっていたら優勝できたかどうかはわかりませんが、悔しく思っていました。それだけにヒート2では、とにかくスタートに集中して臨みました。ずっと後続がいる状態でトップをキープしていましたが、このコース設定だとタイム差が出ないから仕方がないと自分に言い聞かせ、後ろを振り返らず走ることを意識しました。次戦は、コース改修後は苦手意識が薄れた中国大会。事前テストでマシンを煮詰めて、気持ちよく走りたいです」
山本鯨(IA1・7位/4位)
「実は大会1週間前に右手小指を脱臼してしまい、いつもと違う指でフロントブレーキを操作していました。慣れるのに時間がかかり、予選では転倒を喫して11番手に終わり、決勝ヒート1でも不甲斐ない走りが続いてうまく追い上げることができませんでした。それでもヒート2では、序盤からトップグループを走行。スタートでトップに立っていたら逃げきりを試みるつもりでしたが、早めに勝負を仕掛けて勝てるほど万全な体調ではなかったので、トップグループのペースを考慮して、終盤に抜いて気合でトップフィニッシュというプランを思い描いていました。そのとおりにはなりませんでしたが、今回に関してはそこまでの過程も含めてリザルトとして捉えられるくらい、よいレースができたと自分では感じています」
芹沢勝樹(Team HRC監督)
「開幕戦で掲げた『全ヒートでTeam HRCが勝利』という今季の目標が、第2戦で早くも途切れることになりました。今大会の会場はHRCの地元で、応援に訪れてくれる方々がいつも以上に多いので、そんな環境でヒート1の勝利を落としたことが悔しいです。このコースはこれまでも、ラップタイム差が表れにくいという特徴を持っていましたが、例年以上にその傾向が強く、そこへの対処が足りていなかったと反省しています。昨年の関東大会では、成田が大逆転劇を演じており、そのことからスタートで出遅れてもなんとかなるという、少し甘い考えがあったのかもしれません。事前テストではスタートを重要視して取り組んできましたが、予選や決勝ヒート1で狙いどおりの結果が得られなかったことから、ヒート2に向けて徹底的に映像分析を実施。この成果によって、ヒート2ではスタートで好位置を確保でき、成田の優勝につながったことには満足しています」
ヒート1
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 4 | 小方誠 | カワサキ | 22 | 33'04.888 |
2 | 166 | 星野優位 | ヤマハ | 22 | +00'04.438 |
3 | 51 | 深谷広一 | スズキ | 22 | +00'16.383 |
4 | 8 | 岡野聖 | ヤマハ | 22 | +00'18.399 |
5 | 114 | 成田亮 | 22 | +00'30.427 | |
6 | 44 | 小島庸平 | 22 | +00'31.872 | |
7 | 400 | 山本鯨 | 22 | +00'38.438 | |
8 | 155 | 大塚豪太 | 22 | +00'39.135 | |
9 | 6 | 星野裕 | 22 | +00'40.693 | |
10 | 793 | 池谷優太 | KTM | 22 | +00'58.722 |
11 | 322 | 横澤拓夢 | 22 | +01'00.720 | |
15 | 23 | 長門健一 | 21 | +1Lap | |
17 | 24 | 道脇白龍 | 21 | +1Lap |
ヒート2
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 114 | 成田亮 | 21 | 31'45.256 | |
2 | 4 | 小方誠 | カワサキ | 21 | +00'01.198 |
3 | 166 | 星野優位 | ヤマハ | 21 | +00'04.448 |
4 | 400 | 山本鯨 | 21 | +00'06.076 | |
5 | 8 | 岡野聖 | ヤマハ | 21 | +00'10.712 |
6 | 793 | 池谷優太 | KTM | 21 | +00'22.725 |
7 | 51 | 深谷広一 | スズキ | 21 | +00'23.570 |
8 | 6 | 星野裕 | 21 | +00'30.760 | |
9 | 155 | 大塚豪太 | 21 | +00'43.469 | |
10 | 44 | 小島庸平 | 21 | +00'49.549 | |
14 | 322 | 横澤拓夢 | 21 | +01'01.219 | |
15 | 23 | 長門健一 | 21 | +01'32.315 | |
17 | 24 | 道脇白龍 | 20 | +1Lap |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|---|
1 | 114 | 成田亮 | 83 | |
2 | 400 | 山本鯨 | 82 | |
3 | 166 | 星野優位 | ヤマハ | 78 |
4 | 4 | 小方誠 | カワサキ | 66 |
5 | 8 | 岡野聖 | ヤマハ | 66 |
6 | 51 | 深谷広一 | スズキ | 65 |
7 | 793 | 池谷優太 | KTM | 52 |
8 | 44 | 小島庸平 | 51 | |
9 | 155 | 大塚豪太 | 48 | |
10 | 6 | 星野裕 | 42 | |
11 | 718 | 富田俊樹 | 40 | |
12 | 322 | 横澤拓夢 | 40 | |
16 | 23 | 長門健一 | 24 | |
17 | 24 | 道脇白龍 | 14 | |
21 | 77 | 鈴木涼太 | 3 |