2012年9月15日(土)・決勝 会場:フォンタナ・オートクラブスピードウェイ 天候:快晴 気温:30〜37℃
カリフォルニア州ロサンゼルスから内陸に入ったフォンタナで開催されたインディカー・シリーズ最終戦は、決勝日の昼間の気温が40℃に迫り、夕方の6時前にスタートした時点でもまだ暑さは残ったままでした。
スタートから1時間半が過ぎると、太陽は完全に沈み、今度は照明を浴びながらのバトルへと変わりました。ダウンフォースの小さいマシンを操っての戦いは、一瞬のコントロールミスで大きなアクシデントにつながるスリリングなもので、まさに手に汗握るすさまじい戦いとなりました。
12人のドライバーがトップを走るという、だれが勝つか分からない緊迫したバトルは、250周のレースがゴール間近となった241周目にアクシデントが発生し、即座に赤旗が出されて中断となりました。グリーンフラッグ下でのゴールをファンに見せるため、マシンをピットレーンにストップさせ、コースの清掃が行われることになりました。
最後のリスタートは残り6周で切られました。優勝をかけたバトルはここからさらに白熱、最終ラップの250周目にまたもアクシデントが発生し、イエローフラッグとチェッカーフラッグが同時に振られ、2時間58分の熱戦に幕が下ろされました。
4回のインディカー・タイトル獲得経験を持ち、インディ500は今年を含め3回優勝した経歴を持っているダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)は、9番手からスタートし、レースが終盤を迎えてから満を持してトップ争いへと加わりました。そして、最後まで優勝を争い、2位でゴールしました。3位は彼のチームメートのスコット・ディクソンで、6位でゴールしたのも同チームのグレアム・レイホールでした。
佐藤琢磨(Rahal Letterman Lanigan Racing)は21番グリッドからスタートすると、前をいくマシンを次々とパス、燃費セーブもトップレベルで38周目にはトップに躍り出ました。レース中盤にはさらに力強い戦いぶりを発揮し、トップ集団の一員となってゴールまで戦い続けました。リスタートでの加速が思うようにいかなくなったものの、粘り強い走りで3位争いを繰り広げていた佐藤でしたが、最終ラップのターン1からターン2でタービュランスを浴びたのかバランスを失い、クラッシュ。それでも最終結果は7位となりました。
最終戦までもつれていたチャンピオン争いは、ポイントリーダーのウィル・パワー(Team Penske/シボレー)が単独アクシデントによるリタイアを喫した一方、ポイント2位のライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport/シボレー)が4位でゴールして逆転で初タイトルを獲得しました。
ダリオ・フランキッティ(2位)「あと少し、では十分ではないのです。エド・カーペンター(Ed Carpenter Racing/シボレー)が最後にすごいアタックを仕かけてきました。なにが原因で彼のスピードが戻ってきたかは分かりませんが、アウト側のラインを使って私をパスし、その直後にイエローフラッグが出ました。私としては、今シーズンを通してがんばり続けてくれたチームのクルーたちに感謝の気持ちでいっぱいです。今日のレースでも優勝争いができたのはすばらしいことでした。ほんの小さな差によって今日は敗れましたが、勝つ時にもそうした小さな差がものを言う、レースとは常にそういうものだと思います。ライアン・ハンターレイとAndretti Autosportのタイトル獲得は驚きですが、彼らがいい仕事をしたということです。今日のハンターレイはいいレースを戦っていました」
佐藤琢磨(7位)「本当にエキサイティングなレースでした。とても長いレースでもありました。レース中にセッティング変更を重ね、マシンはどんどんよくなっていきました。ただ、日が沈んでからはコース自体のスピードが上がって、私はトップスピードとマシンバランスで苦しい状況になっていました。それでも、我々はレースをリードできるところまでいきました。しかし、レース終盤のリスタートでオーバーブーストのトラブルが発生し、エンジンがせき込み出しました。そのために加速が思うようにいかなかったのがとても残念でした。リスタートでポジションをいくつか落としました。レースの最後はさらに残念なものとなりました。ライアン・ハンターレイとサイド・バイ・サイドでターン1からターン2を走っていました。その時、私のマシンのリアがグリップを失いました。最終ラップに入っていたというのに。週末を通して奮闘してくれたチーム、シーズンを通してがんばってくれたクルーに対して申し訳ない気持ちです。今シーズンは本当にすばらしいものでしたし、今日のレースは本当にエキサイティングでしたので、最終戦をこのような形で終えるのは残念です」
ロジャー・グリフィス|HPDテクニカル・ディレクター「シーズン最後の500マイルレースで勝てなかったことを、本当に悔しいと感じています。シーズンを勝利という最高の形で終えたいと考えていただけに、そうできなかったことが残念でなりません。ダリオ・フランキッティが勝利を収めるレースと見ていましたが、赤旗による中断などがなければ、今日の結果は違ったものになっていたでしょう。この悔しさをはね返し、来年またインディ500で優勝し、タイトルも獲得したいと思います。そのために、このオフシーズンも全力を投入します。世界中の人々にHondaのエンジンが最強であることを知らしめたい。そう考えて開発を続けていきます。私たちとともに戦ってくれたチーム、HPDで働くスタッフの今シーズンのハードワークに深く感謝します」
順位 | No. | ドライバー | チーム | エンジン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 20 | E.カーペンター | Ed Carpenter Racing | シボレー | 02:57:34.7433 |
2 | 10 | ダリオ・フランキッティ | Chip Ganassi Racing | Honda | +1.9132 |
3 | 9 | スコット・ディクソン | Chip Ganassi Racing | Honda | +2.6091 |
4 | 28 | R.ハンターレイ | Andretti Autosport | シボレー | +3.0477 |
5 | 3 | H.カストロネベス | Team Penske | シボレー | +4.1933 |
6 | 38 | グレアム・レイホール | Chip Ganassi Racing | Honda | +5.4383 |
7 | 15 | 佐藤琢磨 | Rahal Letterman Lanigan Racing | Honda | +1Lap |
8 | 26 | M.アンドレッティ | Andretti Autosport | シボレー | +1Lap |
9 | 6 | K.レッグ | Dragon Racing | シボレー | +1Lap |
10 | 83 | チャーリー・キンボール | Chip Ganassi Racing | Honda | +1Lap |
12 | 19 | ジェームズ・ジェイクス | Dale Coyne Racing | Honda | +2Laps |
14 | 14 | ウェイド・カニンガム | A.J. Foyt Racing | Honda | +4Laps |
15 | 77 | シモン・パジェノー | Schmidt Hamilton Motorsports | Honda | +4Laps |
16 | 67 | ジョセフ・ニューガーデン | Sarah Fisher Hartman Racing | Honda | +6Laps |
20 | 98 | アレックス・タグリアーニ | Bryan Herta Autosport | Honda | DNF |
23 | 18 | ジャスティン・ウィルソン | Dale Coyne Racing | Honda | DNF |
順位 | ドライバー | チーム | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | R.ハンターレイ | Andretti Autosport | 468 |
2 | W.パワー | Team Penske | 465 |
3 | スコット・ディクソン | Chip Ganassi Racing | 435 |
4 | H.カストロネベス | Team Penske | 431 |
5 | シモン・パジェノー | Schmidt Hamilton Motorsports | 387 |
6 | R.ブリスコー | Team Penske | 370 |
7 | ダリオ・フランキッティ | Chip Ganassi Racing | 363 |
8 | J.ヒンチクリフ | Andretti Autosport | 358 |
9 | T.カナーン | KV Racing Technology | 351 |
10 | グレアム・レイホール | Chip Ganassi Racing | 333 |
11 | J.R.ヒルデブランド | Panther Racing | 294 |
12 | R.バリチェロ | KV Racing Technology | 289 |
13 | O.セルビア | Panther DRR Racing | 287 |
14 | 佐藤琢磨 | Rahal Letterman Lanigan Racing | 281 |
15 | M.アンドレッティ | Andretti Autosport | 278 |
16 | ジャスティン・ウィルソン | Dale Coyne Racing | 278 |
17 | アレックス・タグリアーニ | Bryan Herta Autosport | 272 |
18 | E.カーペンター | Ed Carpenter Racing | 261 |
19 | チャーリー・キンボール | Chip Ganassi Racing | 260 |
20 | E.J.ヴィソ | KV Racing Technology | 244 |
21 | マイク・コンウェイ | A.J. Foyt Racing | 233 |
22 | ジェームズ・ジェイクス | Dale Coyne Racing | 232 |
23 | ジョセフ・ニューガーデン | Sarah Fisher Hartman Racing | 200 |
24 | S.デ・シルベストロ | HVM Racing | 182 |
25 | S.ブルデー | Dragon Racing | 173 |
26 | K.レッグ | Dragon Racing | 137 |
27 | S.サーベドラ | Andretti Autosport | 41 |
28 | ウェイド・カニンガム | A.J. Foyt Racing | 29 |
29 | A.ベアトリス | Andretti/Conquest Racing | 28 |
30 | タウンゼント・ベル | Schmidt Hamilton Racing | 26 |
31 | ミシェル・ジョルダイン | Rahal Letterman Lanigan | 16 |
32 | ジョルジオ・パンターノ | Chip Ganassi Racing | 16 |
33 | J.アレジ | Fan Force United | 13 |
34 | ブライアン・クラウソン | Sarah Fisher Hartman Racing | 13 |
35 | ブルーノ・ジュンケイラ | Sarah Fisher Hartman Racing | 12 |
順位 | マニュファクチャラー | 総合ポイント |
---|---|---|
1 | シボレー | 123 |
2 | Honda | 102 |
3 | ロータス | 60 |