7月21日(土)・予選 会場:エドモントン・シティセンター・エアポート特設コース 天候:曇りのち雨のち曇り
気温:19〜21℃
熱狂的なレースファンが多いカナダで、今年もインディカー・レースが2戦開催されました。その1レース目は東海岸のオンタリオ州トロントで先々週に行われたばかりですが、2戦目は今年も西海岸寄りのアルバータ州都のエドモントンが開催地となりました。
エドモントンでのレースは、町中にある空港がコースとして使われる大変ユニークなものです。長い滑走路を利用したストレートが2本あり、それらが両方ともタイトコーナーと組み合わされているために、ハードブレーキングが必要で、レースはオーバーテイクの多いエキサイティングなものになります。
昨年は走行初日の金曜日が1日中雨でしたが、今年は金曜日と土曜日、2日間に行われた3回のプラクティスで、すべてドライコンディションに恵まれました。ところが、3段階で構成される予選は雨に見舞われることになりました。それも、第2セグメントだけがウエットコンディションとなる、大変珍しい予選となりました。
予選第1セグメント第1グループでは、昨年度のエドモントン・ウイナーで現在ポイント2位のウィル・パワー(Team Penske)がトップで通過。昨年のエドモントンでポールポジションだった佐藤琢磨(Rahal Letterman Lanigan Racing)は3番手で第2セグメント進出を決めました。
予選第1セグメントの第2グループでは現在3連勝中でポイントリーダーのライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)がトップタイムをマーク。第2セグメントを戦う12人が決定しました。
第2ステージの前に雨が降り始め、コースは瞬く間にウエットコンディションへと変わりました。10分間の予選はウエットタイヤで戦われることとなったのです。
雨を得意とする佐藤は勢いよく先頭を切ってコースインし、次々とセッション内での自己ベストラップを更新、トップで第3セグメント=ファイナルステージ進出を決めました。今シーズン初めてのファイナルです。
佐藤のほかにファイナルへと進んだドライバーは、金曜日にトップタイムをマークしていた、現在ポイントランキング3位のエリオ・カストロネベス(Team Penske)、ライアン・ブリスコー(Team Penske)、朝のプラクティスで最速だったダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)、カナダの期待を担うアレックス・タグリアーニ(Bryan Herta Autosport)、そして、ハンターレイでした。パワーは7番手でファイナル進出を逃し、現在ポイント4位のスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)も8位だったために、予選ファイナルを走ることはできなくなりました。
注目の予選ファイナルステージは、一転して再びドライコンディションでの戦いとなりました。佐藤はここでもいち早くコースイン。装着タイヤはドライ用のソフトコンパウンドを採用したオルタネートタイヤでした。
ドライコンディションのもと、10分間のセッション終盤にアタックを成功させたハンターレイがトップタイムをマークしました。しかし、彼はトロントでのレース後にエンジン交換を行ったペナルティで10グリッドの降格となってしまいます。そこで、明日のレースをポールポジションからスタートするのは、今日の予選で2番手タイムをマークしたフランキッティに決まりました。
フロントロー外側はブリスコー、グリッド2列目イン側は佐藤、アウト側はタグリアーニです。プラクティス1日目から2日目、さらには予選へとマシンを着実に進歩させて来ている佐藤は、明日のレースに3番グリッドからスタートする権利を獲得したのです。
明日の天気予報は晴れ。ドライコンディション下で75周の激しいレースは、ハイスピードで戦われることでしょう。
ダリオ・フランキッティ(ポールポジション)「非常に難しい予選でした。第1セグメントはドライで、第2セグメントはウエット。そして、ファイナルステージはドライタイヤでいくか、ウエットタイヤでいくかの判断が非常に難しくなっていました。結局、私たちはファイナルステージでドライコンディション用タイヤを使うことに決めました。それは正しい判断だったと思います。結果論になりますが、アタックへと飛び出していくタイミングは、少々早過ぎたということかもしれません。我々のマシンの仕上がりは大変いいので、明日のレースでは思う存分に戦うことができるでしょう。このところずっと不運が続いているので、今週末は何もそうしたことが起こらず、上位でのフィニッシュを達成したいと考えています」
佐藤琢磨(3番手)「昨年のポールポジションほどいい結果にはできませんでしたが、予選4位(3番手スタート)は自分にとっても、チームにとってもいい結果だと思います。ファイナルに進んだのは今年初めてですが、それよりも、今週末はセッションを重ねるごとにマシンを着実に進歩させることができている点がうれしいですね。ファイナルステージでは雨が降る前にいいタイムを出しておく作戦を採用したのですが、逆に路面が乾いていく展開となって、セッション終盤に好タイムを記録することができませんでした。しかし、2列目のイン側からスタートできるのは大きいと思います。上位スタートのレースでは、同じように上位でフィニッシュできることを目指します」
ロジャー・グリフィス│HPDテクニカル・ディレクター「セグメントによって天候、そして路面コンディションが大きく変わるというのは、非常に珍しいことでした。そのような難しい条件下、Hondaドライバーがトップ6に3人食い込んだことを我々は喜んでいます。すさまじいラップタイムの応酬が見られた、非常にエキサイティングな予選でしたね。そして、明日のレースをポールポジションからスタートするのは、Hondaドライバーのフランキッティと決まりました。佐藤もウエットだった予選第2セグメントですばらしい走りを披露していました。彼はトップタイムをマークしたのです。明日のレース、我々はマニュファクチャラータイトルを獲得するためにも絶対に勝たねばなりません」
順位 | No. | ドライバー | チーム | エンジン | タイム |
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1 | 28 | R.ハンターレイ | Andretti Autosport | シボレー | 1:17.2338 |
2 | 10 | ダリオ・フランキッティ | Chip Ganassi Racing | Honda | 1:17.2446 |
3 | 2 | R.ブリスコー | Team Penske | シボレー | 1:17.4238 |
4 | 15 | 佐藤琢磨 | Rahal Letterman Lanigan Racing | Honda | 1:17.5526 |
5 | 98 | アレックス・タグリアーニ | Bryan Herta Autosport | Honda | 1:17.6139 |
6 | 3 | H.カストロネベス | Team Penske | シボレー | 1:17.6401 |
7 | 12 | W.パワー | Team Penske | シボレー | 1:27.5666 |
8 | 9 | スコット・ディクソン | Chip Ganassi Racing | Honda | 1:27.7001 |
9 | 77 | シモン・パジェノー | Schmidt Hamilton Motorsports | Honda | 1:27.8412 |
10 | 8 | R.バリチェロ | KV Racing Technology | シボレー | 1:28.2521 |
11 | 38 | グレアム・レイホール | Chip Ganassi Racing | Honda | 1:28.6737 |
12 | 27 | J.ヒンチクリフ | Andretti Autosport | シボレー | 1:28.7409 |
13 | 18 | ジャスティン・ウィルソン | Dale Coyne Racing | Honda | 1:16.6190 |
15 | 67 | ジョセフ・ニューガーデン | Sarah Fisher Hartman Racing | Honda | 1:16.7533 |
16 | 19 | ジェームズ・ジェイクス | Dale Coyne Racing | Honda | 1:16.9900 |
19 | 83 | チャーリー・キンボール | Chip Ganassi Racing | Honda | 1:17.0078 |
25 | 14 | マイク・コンウェイ | A.J. Foyt Racing | Honda | 1:18.8781 |
※R.ハンターレイはエンジン交換によるペナルティのため、10グリッド降格となります