第12戦、Honda 200 アット・ミッドオハイオの週末はずっと好天に恵まれ、押し寄せた大勢のファンが入場ゲートに長い列を作り、主催者が決勝のスタートを遅らせる事態になるほどだった。彼らはコースサイドの地形を見事に利用した観戦エリアの思い思いの場所に陣取り、全長2.258マイルの名門コースで行われたアメリカ最高峰のオープンホイール・レースを楽しんだ。
予選ではエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)が今シーズン6回目のポールポジションを獲得。IndyCarシリーズにおける1シーズン中の獲得ポールポジション回数で最多タイ記録に並んだ。予選2番手は女性ドライバーのダニカ・パトリック(アンドレッティ・グリーン・レーシング)。彼女にとってキャリアベストとなるロードコースでの予選パフォーマンスであった。
しかし、スタート直後のコーナーでパトリックはコースオフ。初優勝は果たせなかったが、5位でゴールした。パトリックのコースアウトしたすぐ後方では、トニー・カナーン(アンドレッティ・グリーン・レーシング)とマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング)が接触。アンドレッティは裏返しになってその場でリタイアし、パトリックは9位、カナーンは16位までそれぞれ大きく後退した。このチャンスを生かし、ディクソンは6位から一挙に2位までポジションアップ。ダリオ・フランキッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング)を交えたトップ3は85周のゴールまで激しく競り合った。
46周目、4位走行中だったサム・ホーニッシュJr.(チーム・ペンスキー)がクラッシュし、フルコースコーションが出された。ほぼ全車がピットストップを行ったあとにレースが再開されると、トップの座を巡るバトルはさらにヒートアップした。まだ、あと1回は給油を行わなければならない距離が残されていたが、1周目のアクシデントで後退していたカナーンが、ここでピットストップを控える作戦により一時トップに躍り出た。
トップグループから最初に給油のためのピットストップへと向かったのは、エリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)だった。ディクソンはその1周後に続いた。これでフランキッティはトップに立ったが、彼は驚くべき燃費のよさを実現しており、ディクソンより5周多く走行。残りの走行距離を短かくすることで燃料補給にかかる時間を短くしたが、ピットアウトしてみるとトップはディクソンのものとなっていた。フランキッティの追い上げは2秒6917届かず、ディクソンはワトキンス・グレンでの第10戦から3連勝を飾った。カストロネベスは最後のピットストップのあとにカナーンから激しいチャージを受けたが、それをはね除けて3位フィニッシュを果たした。
スーパーアグリ・パンサー・レーシングから出場している松浦孝亮は、プラクティスからマシンセッティングに苦しみ、予選は13番手。グリッド中団からのスタートとなったが、1周目に11位までポジションを上げ、レース終盤にはトップ10入りを目指して戦っていた。しかし、2回目のピットストップで燃料が十分に給油されておらず、ゴールを目前にライバルたちより多い3回目のピットインをしなければならず、12位でのゴールとなった。
IndyProシリーズにスーパーアグリ・パンサー・レーシングのマシンでフル参戦中の武藤英紀は、ミッドオハイオで行われた第12戦を予選9番手からスタートし、4つポジションを上げて5位でフィニッシュした。今シーズン8度目のトップ5入りを果たした武藤は、ポイントリーダーのアレックス・ロイドがリタイアに終わったため、シリーズポイントの差を132点から112点へと縮めてランキング2位を保っている。
なお、土曜日にスーパーアグリ・パンサー・レーシングはサーキット内で記者会見を開き、シカゴで開催される今シーズンの最終戦で武藤をIndyCarシリーズにデビューさせると発表した。松浦孝亮、ヴィットール・メイラを走らせる彼らは、カーナンバー60をまとうダラーラ・Hondaを3台目のエントリーとして出場させる。 |