2016.08.22 インディカー・シリーズ 第14戦 アメリカ ポコノ 決勝

ミハイル・アレシンが最多リードラップを記録して2位フィニッシュ

2016年8月22日(月)・決勝  会場:ポコノ・レースウェイ

ペンシルベニア州ロングポンドにある全長2.5マイルのポコノ・レースウェイで開催されたABCサプライ500は、今シーズン2回目の500マイルレース。予選は土曜日に行われ、ロシア出身のミハイル・アレシン(Schmidt Peterson Motorsports)が2周平均220.445mphでキャリア初のポールポジションを獲得しました。しかし、決勝が予定されていた日曜日は雨が降り、レースは翌月曜日に延期されました。

ミハイル・アレシンミハイル・アレシン

表彰式表彰式

月曜日のポコノは朝から快晴に恵まれましたが、強い風が吹き付け、気温は正午になっても19℃にしか達していませんでした。まだ8月だというのに、涼しいというよりも肌寒いと表現する方が合っているコンディションで、500マイルレースがスタートしました。

アレシンはスタートから快調にトップをキープし、200周のうち87周をリード。しかし、ゴールまで残り35周のところで2番手にポジションダウン。その後のリスタートではさらに5番手まで下がることもありましたが、自信にあふれた走りで2番手までばん回し、トップを走行するウィル・パワー(シボレー)を最後まで攻め続け、1.459秒差の2位でゴールしました。アレシンはデビュー年の2014年にヒューストンでの第2レースで2位フィニッシュを記録しており、このポコノでキャリアベストタイのリザルトを残しました。

ミハイル・アレシンミハイル・アレシン

ライアン・ハンターレイライアン・ハンターレイ

3位はライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)でした。予選前のプラクティスでアクシデントを起こしたために予選に出場できず、最後尾の22番グリッドからスタートしたハンターレイは、目ざましいスタートダッシュで次々と先行するマシンをパスし、レース距離の4分の1に到達する直前の49周目にしてトップに躍り出る大活躍を見せました。しかし、レース終盤のリスタート直後に突然エンジンがシャットダウンし、プログラムをリセットしてパワーを取り戻したときにはトップから1周遅れに陥ってしまっていました。それでもあきらめずに走り続け、フルコースコーションでトップと同一周回へとばん回すると、12番手から猛チャージ。3位で表彰台に上り、ファンからの大きな拍手と歓声を浴びました。

佐藤琢磨(A.J. Foyt Racing)は、予選3番手からスムーズなスタートを切り、ターン3に3番手のポジションを保って戻ってきたのですが、メインストレートへと出るコーナーでスピンし、コース外側の壁に激突してレースを終えました。チームのウイングセッティングの計算が間違っており、想定していたよりも大きなダウンフォースがフロントにかかっていたために、リアのグリップが失われた結果でした。

インディカー・シリーズは今週末にテキサス州へと向かい、6月に71周を戦ったところで中断されている第9戦ファイアストン600を戦います。8月27日に争われる残り周回数は177ラップ。10分間のウォームアップセッションのあとに、レースは再開されます。

佐藤琢磨(#14)佐藤琢磨(#14)

ミハイル・アレシン(2位)
「チームがすばらしい仕事をしてくれたと思います。マシンはとても速く、ピットストップも最高でした。レース中にはいくつかのセッティング変更を行いました。一度、変更がコンディションに合わずポジションを下げたこともありましたが、次のピットストップで行った変更によってスピードを取り戻し、順位もばん回できました。しかし、残念ながら最後のバトルでウィル・パワーを捕らえることはできませんでした。自分としては限界の走りを続けており、何度かアクシデントを起こしそうになったほどでした。彼のマシンに近づくと乱気流のために自分のマシンが揺れ、オーバーテイクを実現できませんでした。オーバルレースは本当にエキサイティングです。フォンタナで大きなアクシデントを経験したあとには、あまり好きではなかったオーバルレースでしたが、今はそのおもしろさを理解し、いくつかのロードコースよりも楽しいと感じるほどです。今日のレースは本当にすさまじい、緊迫した戦いでした。常に220mphで限界にマシンを保って走り続ける必要がありました。一瞬後になにが起こるか分からない、そういう戦いになっていました。今日のような強風下でのレースは特に難しい。ですから、今日は2位でも満足することとします。あと一歩で優勝できたのは確かですが、今日はパワーが速かった。彼の勝利を称えたいと思います」

ライアン・ハンターレイ(3位)
「今日は2度も後方から追い上げるレースを戦いました。しかし、優勝することはできませんでした。とても残念です。今シーズンはこういうレースが多いです。インディ500でもトップ争いを行い、非常に速いマシンで走ることができていたのですが、ピットでのアクシデントで優勝のチャンスを失いました。今日も優勝のチャンスは十分にあったと思います。優勝できるマシンに仕上がっていたと確信しています。レース終盤、ターン2を出たところで突然エンジンが止まりました。一度プログラムをリセットしたのですが、パワーは復活しませんでした。ピットロードに戻ってきて、もう一度リセットするとエンジンが息を吹き返しました。その時点で1周遅れになっていましたが、リードラップに戻ることができ、そこから何台もパスすることができました。今日のマシンは本当にスピードがありました。それだけに3位という結果でも残念でなりません」

佐藤琢磨(22位)
「大きなアクシデントでした。インディカーとポコノ・レースウェイのセーフティクルーによる迅速な救出作業に感謝します。少しアザはできるでしょうが、体は全く問題ありません。土曜日のプラクティスとコンディションは大きく違っていました。プラクティスでの走りから、私たちはダウンフォースを増やす必要性を感じていました。強く吹いている風についての対応も考えました。ターン3でリアが突然スピンしたのは、フロントウイングのセッティングが間違っていたからでした。フロントのダウンフォースを増やそうとガーニー・フラップを装着しましたが、それにより、計算以上にフロントのダウンフォースが大きくなっていたのです。予選3番手だっただけに、悔しいアクシデントです。最後までトップを激しく競い合うレースをしたかったので、残念です」

決勝リザルト
順位 No. ドライバー エンジン 周回数 タイム/差
112W.パワーシボレー2002:46'28.9856
27ミハイル・アレシンHonda200+1.1459
328ライアン・ハンターレイHonda200+5.9076
421J.ニューガーデンシボレー200+7.0750
511S.ブルデーシボレー200+7.5285
69S.ディクソンシボレー200+7.8896
726カルロス・ムニョスHonda200+11.5938
82J.P.モントーヤシボレー200+13.4345
910T.カナーンシボレー200+13.7988
105ジェームズ・ヒンチクリフHonda200+14.2235
 
1115グレアム・レイホールHonda200+14.3471
1227マルコ・アンドレッティHonda200+16.3334
1441ジャック・ホークスワースHonda200+18.5585
1688コナー・デイリーHonda198+2Laps
1719ピッパ・マンHonda197+3Laps
2098アレクサンダー・ロッシHonda63+137Laps
2214佐藤琢磨Honda1+199Laps
ポイントスタンディング
順位 No. ドライバー エンジン 総合ポイント
-122S.パジェノーシボレー497
-212W.パワーシボレー477
321J.ニューガーデンシボレー397
49S.ディクソンシボレー386
53H.カストロネベスシボレー384
-610T.カナーンシボレー380
726カルロス・ムニョスHonda354
85ジェームズ・ヒンチクリフHonda349
-915グレアム・レイホールHonda343
-1083C.キンボールシボレー333
 
1128ライアン・ハンターレイHonda330
1298アレクサンダー・ロッシHonda327
157ミハイル・アレシンHonda287
1614佐藤琢磨Honda265
1727マルコ・アンドレッティHonda255
1818コナー・デイリーHonda254
-2041ジャック・ホークスワースHonda178
-2219ギャビー・シャヴェスHonda105
-2477オリオール・セルビアHonda72
-2519ルカ・フィリッピHonda61
-2629タウンゼント・ベルHonda55
2863ピッパ・マンHonda46
3035アレックス・タグリアーニHonda35
-3288ブライアン・クロウソンHonda21
-3519RC.エナーソンHonda11

ランキング詳細

ミハイル・アレシン

表彰式

ミハイル・アレシン

ライアン・ハンターレイ

佐藤琢磨(#14)