ペンシルベニア州ロングポンドにある全長2.5マイルのポコノ・レースウェイで開催されたABCサプライ500は、今シーズン2回目の500マイルレース。予選は土曜日に行われ、ロシア出身のミハイル・アレシン(Schmidt Peterson Motorsports)が2周平均220.445mphでキャリア初のポールポジションを獲得しました。しかし、決勝が予定されていた日曜日は雨が降り、レースは翌月曜日に延期されました。
ミハイル・アレシン
表彰式
月曜日のポコノは朝から快晴に恵まれましたが、強い風が吹き付け、気温は正午になっても19℃にしか達していませんでした。まだ8月だというのに、涼しいというよりも肌寒いと表現する方が合っているコンディションで、500マイルレースがスタートしました。
アレシンはスタートから快調にトップをキープし、200周のうち87周をリード。しかし、ゴールまで残り35周のところで2番手にポジションダウン。その後のリスタートではさらに5番手まで下がることもありましたが、自信にあふれた走りで2番手までばん回し、トップを走行するウィル・パワー(シボレー)を最後まで攻め続け、1.459秒差の2位でゴールしました。アレシンはデビュー年の2014年にヒューストンでの第2レースで2位フィニッシュを記録しており、このポコノでキャリアベストタイのリザルトを残しました。
ミハイル・アレシン
ライアン・ハンターレイ
3位はライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)でした。予選前のプラクティスでアクシデントを起こしたために予選に出場できず、最後尾の22番グリッドからスタートしたハンターレイは、目ざましいスタートダッシュで次々と先行するマシンをパスし、レース距離の4分の1に到達する直前の49周目にしてトップに躍り出る大活躍を見せました。しかし、レース終盤のリスタート直後に突然エンジンがシャットダウンし、プログラムをリセットしてパワーを取り戻したときにはトップから1周遅れに陥ってしまっていました。それでもあきらめずに走り続け、フルコースコーションでトップと同一周回へとばん回すると、12番手から猛チャージ。3位で表彰台に上り、ファンからの大きな拍手と歓声を浴びました。
佐藤琢磨(A.J. Foyt Racing)は、予選3番手からスムーズなスタートを切り、ターン3に3番手のポジションを保って戻ってきたのですが、メインストレートへと出るコーナーでスピンし、コース外側の壁に激突してレースを終えました。チームのウイングセッティングの計算が間違っており、想定していたよりも大きなダウンフォースがフロントにかかっていたために、リアのグリップが失われた結果でした。
インディカー・シリーズは今週末にテキサス州へと向かい、6月に71周を戦ったところで中断されている第9戦ファイアストン600を戦います。8月27日に争われる残り周回数は177ラップ。10分間のウォームアップセッションのあとに、レースは再開されます。
佐藤琢磨(#14)
順位 | No. | ドライバー | エンジン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 12 | W.パワー | シボレー | 200 | 2:46'28.9856 |
2 | 7 | ミハイル・アレシン | ![]() | 200 | +1.1459 |
3 | 28 | ライアン・ハンターレイ | ![]() | 200 | +5.9076 |
4 | 21 | J.ニューガーデン | シボレー | 200 | +7.0750 |
5 | 11 | S.ブルデー | シボレー | 200 | +7.5285 |
6 | 9 | S.ディクソン | シボレー | 200 | +7.8896 |
7 | 26 | カルロス・ムニョス | ![]() | 200 | +11.5938 |
8 | 2 | J.P.モントーヤ | シボレー | 200 | +13.4345 |
9 | 10 | T.カナーン | シボレー | 200 | +13.7988 |
10 | 5 | ジェームズ・ヒンチクリフ | ![]() | 200 | +14.2235 |
11 | 15 | グレアム・レイホール | ![]() | 200 | +14.3471 |
12 | 27 | マルコ・アンドレッティ | ![]() | 200 | +16.3334 |
14 | 41 | ジャック・ホークスワース | ![]() | 200 | +18.5585 |
16 | 88 | コナー・デイリー | ![]() | 198 | +2Laps |
17 | 19 | ピッパ・マン | ![]() | 197 | +3Laps |
20 | 98 | アレクサンダー・ロッシ | ![]() | 63 | +137Laps |
22 | 14 | 佐藤琢磨 | ![]() | 1 | +199Laps |
順位 | No. | ドライバー | エンジン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
- | 1 | 22 | S.パジェノー | シボレー | 497 |
- | 2 | 12 | W.パワー | シボレー | 477 |
▲ | 3 | 21 | J.ニューガーデン | シボレー | 397 |
▲ | 4 | 9 | S.ディクソン | シボレー | 386 |
▼ | 5 | 3 | H.カストロネベス | シボレー | 384 |
- | 6 | 10 | T.カナーン | シボレー | 380 |
▲ | 7 | 26 | カルロス・ムニョス | ![]() | 354 |
▼ | 8 | 5 | ジェームズ・ヒンチクリフ | ![]() | 349 |
- | 9 | 15 | グレアム・レイホール | ![]() | 343 |
- | 10 | 83 | C.キンボール | シボレー | 333 |
▲ | 11 | 28 | ライアン・ハンターレイ | ![]() | 330 |
▼ | 12 | 98 | アレクサンダー・ロッシ | ![]() | 327 |
▲ | 15 | 7 | ミハイル・アレシン | ![]() | 287 |
▼ | 16 | 14 | 佐藤琢磨 | ![]() | 265 |
▲ | 17 | 27 | マルコ・アンドレッティ | ![]() | 255 |
▼ | 18 | 18 | コナー・デイリー | ![]() | 254 |
- | 20 | 41 | ジャック・ホークスワース | ![]() | 178 |
- | 22 | 19 | ギャビー・シャヴェス | ![]() | 105 |
- | 24 | 77 | オリオール・セルビア | ![]() | 72 |
- | 25 | 19 | ルカ・フィリッピ | ![]() | 61 |
- | 26 | 29 | タウンゼント・ベル | ![]() | 55 |
▲ | 28 | 63 | ピッパ・マン | ![]() | 46 |
▼ | 30 | 35 | アレックス・タグリアーニ | ![]() | 35 |
- | 32 | 88 | ブライアン・クロウソン | ![]() | 21 |
- | 35 | 19 | RC.エナーソン | ![]() | 11 |
ミハイル・アレシン(2位)
「チームがすばらしい仕事をしてくれたと思います。マシンはとても速く、ピットストップも最高でした。レース中にはいくつかのセッティング変更を行いました。一度、変更がコンディションに合わずポジションを下げたこともありましたが、次のピットストップで行った変更によってスピードを取り戻し、順位もばん回できました。しかし、残念ながら最後のバトルでウィル・パワーを捕らえることはできませんでした。自分としては限界の走りを続けており、何度かアクシデントを起こしそうになったほどでした。彼のマシンに近づくと乱気流のために自分のマシンが揺れ、オーバーテイクを実現できませんでした。オーバルレースは本当にエキサイティングです。フォンタナで大きなアクシデントを経験したあとには、あまり好きではなかったオーバルレースでしたが、今はそのおもしろさを理解し、いくつかのロードコースよりも楽しいと感じるほどです。今日のレースは本当にすさまじい、緊迫した戦いでした。常に220mphで限界にマシンを保って走り続ける必要がありました。一瞬後になにが起こるか分からない、そういう戦いになっていました。今日のような強風下でのレースは特に難しい。ですから、今日は2位でも満足することとします。あと一歩で優勝できたのは確かですが、今日はパワーが速かった。彼の勝利を称えたいと思います」
ライアン・ハンターレイ(3位)
「今日は2度も後方から追い上げるレースを戦いました。しかし、優勝することはできませんでした。とても残念です。今シーズンはこういうレースが多いです。インディ500でもトップ争いを行い、非常に速いマシンで走ることができていたのですが、ピットでのアクシデントで優勝のチャンスを失いました。今日も優勝のチャンスは十分にあったと思います。優勝できるマシンに仕上がっていたと確信しています。レース終盤、ターン2を出たところで突然エンジンが止まりました。一度プログラムをリセットしたのですが、パワーは復活しませんでした。ピットロードに戻ってきて、もう一度リセットするとエンジンが息を吹き返しました。その時点で1周遅れになっていましたが、リードラップに戻ることができ、そこから何台もパスすることができました。今日のマシンは本当にスピードがありました。それだけに3位という結果でも残念でなりません」
佐藤琢磨(22位)
「大きなアクシデントでした。インディカーとポコノ・レースウェイのセーフティクルーによる迅速な救出作業に感謝します。少しアザはできるでしょうが、体は全く問題ありません。土曜日のプラクティスとコンディションは大きく違っていました。プラクティスでの走りから、私たちはダウンフォースを増やす必要性を感じていました。強く吹いている風についての対応も考えました。ターン3でリアが突然スピンしたのは、フロントウイングのセッティングが間違っていたからでした。フロントのダウンフォースを増やそうとガーニー・フラップを装着しましたが、それにより、計算以上にフロントのダウンフォースが大きくなっていたのです。予選3番手だっただけに、悔しいアクシデントです。最後までトップを激しく競い合うレースをしたかったので、残念です」